イスラエル、ハマス停戦案を拒否 ガザ市制圧と西岸併合構想が同時進行
イスラエルがハマスの停戦提案を拒否し、ガザ市への大規模攻撃の準備を続ける一方で、ヨルダン川西岸の併合構想も浮上しています。ガザ情勢とパレスチナ国家構想の行方が、改めて国際社会の焦点となっています。
イスラエル、ハマスの「包括的停戦案」を拒否
イスラエルはある水曜日、ガザでの紛争を終結させるためにハマスが示した「包括的合意」案を受け入れないと表明しました。イスラエル側は、ガザ市への大規模軍事作戦の準備を続ける姿勢を崩していません。
ハマスは声明で、ガザで拘束されているイスラエル人の人質を解放する代わりに、イスラエルに収監されている一定数のパレスチナ人受刑者の釈放を求める案を提示しました。これに対し、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は、この声明を「スピン(ごまかし)」と一蹴し、受け入れを拒否しました。
ハマス側が提示した主な内容
ハマスが示した「包括的合意」案には、停戦だけでなく、ガザの統治や復興までを含む複数の要素が盛り込まれています。
- ガザで拘束されているイスラエル人人質の解放
- それと引き換えとなる、イスラエルに収監中のパレスチナ人受刑者の釈放
- 恒久的な停戦の実現
- イスラエル軍のガザからの撤退
- 国境検問所の再開による、人道支援や生活必需品の搬入
- ガザ復興に向けた本格的な再建の開始
- 専門家(テクノクラート)で構成される独立した「国民的な行政機構」による、ガザの民政管理
特に、ハマスはガザの民政を担うために、党派色の薄い専門家による独立した行政体制を立ち上げる考えを支持するとしています。これは、治安と統治をどのような形で再構築するのかという、戦後ガザの姿に直結する提案です。
イスラエル側が掲げる厳しい条件
一方で、ネタニヤフ首相は、停戦に応じるための条件として、より厳格な枠組みを示しました。首相府が出した声明によると、イスラエルが停戦に同意するためには、少なくとも次のような条件が必要だとしています。
- ガザ地区に対するイスラエルの全面的な治安支配の容認
- ハマスおよびガザ全体の非武装化(軍事力の排除)
- 「非パレスチナ人」による新たな行政機構の設置
- すべての人質の解放
この条件を見ると、ハマスが求める「イスラエル軍の撤退」と「パレスチナ人による行政」と、イスラエル側が主張する「イスラエルの治安支配」と「非パレスチナ人による行政」という点で、大きな溝があることが分かります。
ガザ市制圧へ「全力」で準備
イスラエルのイスラエル・カッツ国防相も、ハマス側の提案を改めて否定しました。カッツ氏は、ガザ市を制圧するため、軍が「全力」で作戦準備を続けていると強調しています。
停戦に向けた政治的な枠組みよりも、軍事作戦の遂行に重心が置かれていることを示す発言であり、ガザ市周辺で激しい戦闘が続く可能性をうかがわせます。
ヨルダン川西岸併合構想:パレスチナ側が強く反発
同じ水曜日、イスラエルのベツァレル・スモトリッチ財務相は、占領下にあるヨルダン川西岸の一部領域を併合するための地図を作成していると発言しました。ネタニヤフ首相の明確な支持があるかどうかは不明だとされています。
パレスチナ側はこの発言を強く拒否し、「将来のパレスチナ国家の可能性を脅かすものだ」と批判しました。パレスチナ外務省は国際社会に対し、イスラエルによる暴力的な抑圧や入植地拡大を止めるため、制裁を含む圧力をかけるよう求めています。
イスラエルのメディアによると、ネタニヤフ首相は翌木曜日、スモトリッチ氏を含む閣僚らと会合を開き、この併合案について協議すると報じられました。国営放送局カンは、この動きが、近くニューヨークで予定されている国連総会に先立ち、欧州がパレスチナ国家を承認しようとする動きへの対応として検討されていると伝えています。
ガザと西岸、二つの前線で揺らぐパレスチナ国家構想
今回の一連の動きは、ガザとヨルダン川西岸という二つの地域で、異なる形でパレスチナ問題が深刻化していることを浮き彫りにしています。
- ガザでは、停戦条件とガザ統治のあり方をめぐって、イスラエルとハマスの主張が大きく対立
- ヨルダン川西岸では、イスラエル側の併合構想が、将来のパレスチナ国家樹立の見通しをさらに不透明に
- パレスチナ外務省は、制裁を含む国際的圧力を要請し、危機感をあらわに
- 欧州の一部が国連総会でのパレスチナ国家承認を模索しているとの報道もあり、外交の場でも攻防が続く見通し
停戦の枠組みだけでなく、ガザと西岸をどう統治し、将来のパレスチナ国家像をどう描くのかという根本的な問題が、改めて問われています。
日本の読者が押さえておきたいポイント
今回のニュースは、単に「停戦に応じるかどうか」という軍事的な駆け引きにとどまりません。ガザの統治、パレスチナ人受刑者の扱い、ヨルダン川西岸の地位、そして国連や欧州を含む国際社会の関与といった、複数のレイヤーが重なっています。
- 停戦交渉は、「戦闘の停止」だけでなく、「誰がガザをどのように統治するか」をめぐる争いでもあること
- ヨルダン川西岸の併合構想は、将来のパレスチナ国家樹立の前提を揺るがしかねないこと
- 欧州によるパレスチナ国家承認の動きや、制裁を求める声など、外交的な圧力も重要な要素になっていること
イスラエルとパレスチナをめぐる問題は、日本からは遠い地域の出来事に見えるかもしれません。しかし、国際秩序のあり方、人権や安全保障、戦後復興のモデルなど、多くのテーマが重なっています。どのような停戦条件と政治的枠組みならば、人々の安全と尊厳を守れるのか。国際社会はどこまで関与すべきなのか。ニュースを追いながら、自分なりの視点を持って考えることが求められています。
Reference(s):
Israel rejects Hamas' ceasefire deal, vows to seize Gaza City
cgtn.com








