ウクライナが「防空の新フォーマット」を米国に提案 パリ会合で何が話し合われたか
ウクライナのゼレンスキー大統領が米国に対し、自国の領空を守るための「新しい防空フォーマット(枠組み)」を提案したと明らかにしました。パリで開かれた有志国会合や、フランス・マクロン大統領による部隊派遣の表明、ロシアの反発など、ウクライナ情勢をめぐる安全保障の駆け引きが一気に動いています。
パリの「有志連合」会合と米ウクライナ協議
ゼレンスキー大統領の広報によりますと、米国への「新しい防空フォーマット」の提案は、パリで開かれた「有志連合」会合の後に行われたトランプ米大統領との電話協議の中で示されました。
この会合には、欧州委員会のフォンデアライエン委員長、NATOのマルク・ルッテ事務総長、複数の欧州各国の指導者らが参加し、ウクライナ支援や今後の安全保障の在り方が話し合われました。
ゼレンスキー大統領は、ウクライナ上空の防衛を強化するために新しい協力の枠組みが必要だと強調し、その具体案を米国側に提示したとしています。ただし、どのような仕組みなのか、詳細は公表されていません。
26カ国が停戦後の部隊派遣に前向き
同じ記者会見の場で、フランスのマクロン大統領は、将来のロシア・ウクライナ停戦に関連して、主に欧州の26カ国が部隊派遣に正式にコミットしたと発表しました。派遣される部隊は前線には直接配置されない見通しだと説明しています。
ゼレンスキー大統領は、この表明を「具体的な前進」と歓迎しました。そのうえで、和平努力を進めるにはロシアのプーチン大統領との会談が不可欠だとし、二者間でも三者間でもいずれの形であっても、対話の場が「必要だ」と強調しました。
ロシア産原油と欧州エネルギーのジレンマ
ロイター通信によりますと、トランプ米大統領はパリの会合に出席した欧州の指導者らに対し、ヨーロッパはロシア産の石油購入をやめるべきだと求めました。トランプ氏は、ロシア産原油の代金が紛争の資金源になっていると主張しています。
エネルギー輸入をめぐる判断は、各国の経済や国民生活への影響とも直結します。ロシアへの圧力を強めつつ、自国のエネルギー安全保障も確保しなければならないというジレンマに、欧州は直面しています。
米国の長射程ミサイル売却にロシアが警告
一方で、米国はウクライナへの軍事支援も続けています。最近、米国はウクライナ向けに、空中発射型の長射程攻撃ミサイル「エクステンデッド・レンジ・アタック・ミュニションズ」システム用のミサイル3,350発の売却を承認しました。長距離から目標を攻撃できる兵器の供与は、戦場の様相を変えうる動きと受け止められています。
これに対し、ロシア外務省のザハロワ報道官は、米国の決定はウクライナ紛争を外交的に解決したいとする米国自身の姿勢と矛盾すると批判しました。ロシアは以前から、ウクライナへの軍事支援は「ウクライナの苦しみを長引かせる」だけであり、紛争が制御不能な形で拡大するリスクを高めると繰り返し警告してきたとしています。
揺れる安全保障バランスと今後の論点
今回の一連の動きからは、ウクライナをめぐる安全保障のバランスが、軍事・外交・エネルギーの三つの軸で揺れている様子が見えてきます。
- ウクライナは、自国の領空防衛を強化するため、既存の支援にとどまらない新たな協力枠組みを米国に求めている。
- フランスをはじめとする欧州の26カ国は、停戦後の安定に向けて部隊派遣を含む関与を検討し始めている。
- 米国は軍事支援を拡大しつつ、欧州に対してロシア産原油の購入停止を促し、経済面からの圧力も強めようとしている。
- ロシアは、こうした動きを紛争の激化につながりかねないとみなし、軍事支援の中止と外交的解決を訴え続けている。
ゼレンスキー大統領が求めるプーチン大統領との会談が実現するのか、そして「防空の新フォーマット」がどのような形で具体化するのか。ウクライナ情勢は、各国の思惑が交錯する中で、今後も国際社会の大きな関心事であり続けそうです。
Reference(s):
cgtn.com








