米国防総省、軍法務官600人を移民裁判所へ 一時判事起用に賛否 video poster
2025年12月現在、アメリカで移民をめぐる裁判の滞りが深刻になるなか、トランプ政権が軍の法務官約600人を「一時的な移民判事」として動員する方針をとり、国内で大きな議論を呼んでいます。審理の遅れを解消したい政権側と、治安の軍事化を懸念する野党・民主党との対立が鮮明になっています。
軍法務官600人を「臨時の移民判事」に
今回の動きは、アメリカ国防総省(ペンタゴン)が軍に所属する法務官、いわゆる軍事弁護士を、移民裁判所の審理に一時的に投入するというものです。トランプ政権は、数百人規模の軍法務官が移民判事として役割を担うことで、裁判の処理能力を高めたい考えです。
背景には、移民関連の裁判を担当する判事の不足があります。担当判事が相次いで辞任したり、解任されたりしたことで人員が追いつかず、案件が積み上がってきたとされています。軍の法務官を移民裁判所に送り込むことで、こうした審理の滞りを緩和する狙いです。
なぜ移民裁判が滞っているのか
アメリカの移民裁判所では、入国管理や在留資格に関する審理が行われます。審理を待つ人が多い一方で、判事が不足すれば、一件ごとの裁判に時間がかかり、結果として大きな「積み残し」が生まれます。
今回、トランプ政権が軍法務官を移民判事として起用するとしたのは、こうした裁判の渋滞を解消したいという思惑からです。軍法務官は、軍内部で法務や軍事裁判を担当してきた法律の専門家であり、その知見を移民裁判の現場にも活用しようとしています。
民主党が警戒する「治安の軍事化」とは
一方で、野党・民主党はこの動きを強く警戒しています。彼らが問題視しているのは、軍に所属する人員が、アメリカ国内の法執行や司法の領域に深く入り込んでいくことです。
民主党側は、軍法務官の移民判事起用を「法執行の軍事化」とみなし、軍事組織と民間の司法・警察機関との間にあるべき境界線があいまいになるのではないかと懸念しています。移民裁判は個人の自由や在留資格に直結する重要なプロセスであり、軍の関与が強まることで、中立性や独立性が損なわれるのではないかという指摘です。
法の支配と安全保障、どこで線を引くか
今回の議論の根底には、「法の支配」をどのように守るかという問題があります。軍は国家安全保障を担う組織であり、強い指揮系統と命令系のもとで動きます。一方、裁判所は権力から独立した立場で、公平な判断を下すことが求められます。
軍法務官を移民判事として起用することは、行政権や軍事力と、司法の独立の関係を問い直す動きでもあります。審理のスピードを重視するあまり、手続きの公正さや人権保障が後回しにならないかどうかも、今後の重要な論点となりそうです。
日本から見る「移民政策」と「軍の役割」
日本に住む私たちにとっても、このニュースは単なるアメリカ国内の話にとどまりません。移民政策や難民受け入れをめぐる議論は、多くの国で続いており、「誰が、どのような権限で、人の移動を裁くのか」という問いは共通するテーマです。
また、災害対応や国際平和協力など、各国で軍や自衛隊が担う役割が広がるなかで、軍事組織と市民社会との距離感をどう保つかは、日本を含む多くの国にとっての課題でもあります。今回のアメリカの事例は、そのバランスを考える一つの材料になり得ます。
今後の焦点と読み解き方
今後の焦点は、軍法務官を移民判事として起用する仕組みがどのように運用されるのか、そしてこの措置がどの程度、移民裁判の滞り解消に効果を発揮するのかという点です。同時に、民主党が懸念する「治安の軍事化」が現実のものとなるのか、それとも一定の歯止めが機能するのかも注目されます。
国際ニュースとしてこの動きを追うときには、次のような視点が参考になります。
- 審理の迅速化と、公正な手続き・人権保障のバランス
- 軍事組織と民間の司法・警察の役割分担
- 移民政策をめぐる与野党の対立構図
「読みやすいのに考えさせられる」ニュースとして、この軍法務官動員の問題は、移民政策だけでなく、民主主義社会における軍の位置づけを考えるきっかけにもなりそうです。
Reference(s):
Pentagon sends 600 military lawyers as temporary immigration judges
cgtn.com








