プーチン氏「ウクライナ駐留の西側部隊は攻撃対象」発言の波紋
ロシアのプーチン大統領が、ウクライナに展開する西側諸国の部隊はロシア軍の正当な攻撃対象になると発言しました。ウクライナの戦後安全保障を巡る議論が進む中、緊張の新たな火種となっています。
ウクライナ駐留の西側部隊は「正当な攻撃対象」
プーチン大統領は金曜日、ロシア極東のウラジオストクで開かれた経済フォーラムで演説し、ウクライナでの軍事行動が続く中で西側諸国の部隊が現れれば、ロシアにとって攻撃の対象になるとの考えを示しました。
プーチン氏は「今まさに軍事作戦が続いている状況で、そこにいかなる部隊が現れようとも、それらは破壊のための正当な標的になるとみなす」と述べ、西側がウクライナに兵力を派遣した場合、ロシア軍の攻撃対象になると明確に警告しました。
一方で、長期的な平和につながる決定がなされるなら、ウクライナ領内にそうした部隊が駐留する意味はないとも指摘し、西側部隊の存在自体に否定的な姿勢をにじませました。
フランスが主導する「戦後安全保障」構想
今回の発言は、フランスのマクロン大統領が、戦後のウクライナに対する安全保障保証について各国と協議を進める中で飛び出しました。マクロン大統領は前日、26か国がウクライナに戦後の安全保障を提供することで合意し、陸・海・空にまたがる国際部隊の創設も含まれると表明しています。
ロシアは、戦争を始めた理由の一つとして、北大西洋条約機構(NATO)がウクライナを加盟させ、その領土に部隊を展開するのを阻止する必要があったと主張してきました。今回のプーチン氏の警告は、その論理を改めて強調し、西側諸国による軍事的関与の拡大をけん制する狙いがあると受け止められます。
一方、ウクライナ側は、将来の攻撃に備えるため、西側諸国からより強力で具体的な安全保障の仕組みを求めています。
フランス・英国・米国 それぞれの線引き
フランスと英国は、ウクライナ支援を主導する有志国の枠組みの共同議長を務めており、戦争終結後であればウクライナに部隊を展開する可能性に前向きな姿勢を見せています。これは、戦後の治安維持や防衛能力の強化を念頭に置いた構想とされています。
一方、アメリカのトランプ大統領は、ウクライナに地上部隊を派遣する考えはないと明言する一方で、必要に応じて航空戦力など別の形で支援を行う可能性には言及しています。西側内部でも、どこまで軍事的に関与するかを巡り、慎重な線引きが続いていることがうかがえます。
ロシアとウクライナ「双方への安全保障」を強調
プーチン大統領は、安全保障上の取り決めはウクライナだけでなくロシアにも必要だと改めて強調しました。
ロシアはこれまでも、ウクライナを巡るあらゆる合意には自国の安全保障上の利益が反映されなければならないと主張してきました。プーチン氏は、ロシアとしてそのような合意を履行する考えはあるものの「いずれにせよ、真剣なレベルでこの問題についてロシアと協議した国はまだいない」と述べ、現時点で本格的な対話が進んでいないことに不満をにじませました。
アラスカ首脳会談とゼレンスキー氏との距離
プーチン大統領は先月、アラスカで開かれた首脳会談でトランプ大統領と会談しましたが、この場でも紛争解決に向けた目に見える前進はありませんでした。
ウクライナのゼレンスキー大統領は、以前からプーチン氏との直接会談を強く求めてきました。しかしプーチン氏は、金曜日の発言で「主要な論点でウクライナ側と合意に達するのはほとんど不可能だ」と述べ、現時点で会談に大きな期待を持っていない姿勢を示しました。
モスクワ会談案とゼレンスキー氏の反応
それでもプーチン氏は今週初め、ゼレンスキー氏をモスクワに招く用意があると改めて表明しました。「私は準備ができている。ぜひ来てほしい。われわれは必ず仕事ができる環境と、安全について百分の百の保証を提供する」と述べ、自国での会談開催を提案しています。
ただしプーチン氏は、ウクライナ側が別の場所での会談を求めるのであれば「それはわれわれに対する過剰な要求だ」とも語り、開催地を巡る主導権を譲らない構えを見せました。
これに対しゼレンスキー氏は、モスクワ開催の是非には直接触れないまま「われわれはあらゆる形の会談に準備ができている。しかしプーチン氏が本気でこの戦争を終わらせる準備ができているとは感じていない。彼は話すことはできるが、それは言葉にすぎない」と述べ、ロシア側の真意に強い疑念を示しました。
今回の発言が示す三つのポイント
プーチン大統領の一連の発言からは、ウクライナ情勢と欧米諸国の対応をめぐり、少なくとも次の三つのポイントが浮かび上がります。
- ウクライナでの軍事作戦が続く限り、西側部隊の派遣はロシアとの直接的な軍事衝突リスクを高めかねないという警告であること。
- フランスや英国が描く戦後の国際部隊構想と、ロシアが主張する自国の安全保障上の懸念とのギャップが依然として大きいこと。
- トランプ大統領やゼレンスキー氏との対話の糸口は残されているものの、核心的な争点で歩み寄る見通しは現時点で立っていないこと。
ウクライナの戦後安全保障をどう設計するのか、西側諸国とロシア、そしてウクライナ自身の利害が複雑に交差しています。軍事的関与をどこまで拡大するのかと同時に、対話の枠組みをいかに維持し、偶発的な衝突を避けるのかが、今後の国際社会にとって大きな課題となりそうです。
Reference(s):
Putin says Western troops in Ukraine would be legitimate targets
cgtn.com







