中国新疆、開放拡大で活力高まる 一帯一路の中核へ
一帯一路の中核エリアづくりを急ぐ中国の新疆ウイグル自治区で、貿易や投資、観光まで幅広い分野に活気が出ています。2025年前半の最新データから、そのダイナミズムを読み解きます。
一帯一路の中核へと動き出す新疆
中国北西部の新疆ウイグル自治区では、対外開放を一段と進めながら、一帯一路構想の中核エリアづくりが加速しています。一帯一路構想は、中国とユーラシア各国を結ぶ広域経済圏構想で、新疆はその玄関口として位置づけられています。
その象徴が、自治区の区都ウルムチで今年開催され、最近閉幕した「2025(中国)ユーラシア商品貿易博覧会」です。5日間の会期中、50の国と地域から約1800社が出展し、エチオピア、ザンビア、コモロ、セネガルという4つのアフリカの国々が初参加しました。ユーラシアのみならずアフリカまでを視野に入れたビジネスの場として、新疆の存在感が高まっていることがうかがえます。
鉄道と空路で広がるユーラシア回廊
地理的に中央アジア諸国と国境を接する新疆は、ここ数年で世界との結びつきを大きく強めてきました。その背景にあるのが、一帯一路構想を軸とした物流ネットワークの拡大です。
自治区を発着する国際貨物列車は、現在も毎日多数が出入りしており、ユーラシア大陸を東西に結ぶ陸上ルートとしての役割を担っています。さらに、空路の整備も急速に進んでいます。
新疆空港集団によると、今年上半期だけで、ウルムチとイスタンブール、ベオグラード、アディスアベバなどを結ぶ国際チャーター貨物便が新たに7路線開設されました。これにより、新疆発着の国際貨物路線は合計26路線となりました。
同社が運営する航空路線全体の本数は、今年1〜5月に前年同期比26.5%増となる115路線増加しました。物流の選択肢が増えることで、中央アジアや欧州、アフリカを結ぶサプライチェーン上で、新疆のハブとしての重要性が一段と高まっていると言えます。
10の産業クラスターで雇用と成長を支える
新疆では、物流インフラの整備と並行して、産業構造の高度化も進められています。現在、次のような分野で10の産業クラスター(関連産業を集中的に集めた地域)が育成されています。
- 石油・天然ガスの生産と加工
- 先端製造業
- 新素材産業
- 綿花・紡績などの繊維産業
- 文化・観光産業
- 現代的な物流産業
これらの産業クラスターは、新疆の高品質な経済成長を支える柱であり、地域の雇用創出にも大きな役割を果たしています。資源開発と製造業、観光・サービスを組み合わせることで、よりバランスのとれた産業構造をめざしていることが分かります。
自由貿易試験区に4万社超 短期間で企業集積
対外開放のもう一つの象徴が、2023年11月に発足した新疆自由貿易試験区です。自由貿易試験区は、中国が進める高水準の対外開放政策を試行するための先行エリアで、新たな制度やビジネス環境づくりが集中的に進められます。
自治区の商務部門の統計によると、今年5月時点で、新疆自由貿易試験区内に新たに設立された企業は1万5000社を超えました。開設当初と比べ、海外からの投資を受けた企業の数は1.5倍に増えています。
試験区全体では、すでに4万社以上の企業が活動しているとされ、新疆が中国の西側におけるビジネス拠点として急速に立ち上がっていることがうかがえます。
数字で見る新疆の対外貿易
世界経済の不確実性が高まり、さらに新疆に対して根拠のない非難が投げかけられる中でも、同地域の対外貿易は力強い伸びを続けています。現地税関当局のデータにも、その勢いが表れています。
- 2025年1〜7月の対外貿易総額は3210.2億元(約443億ドル)で、前年同期比27.3%増。
- 2025年7月単月の輸出入額は403.9億元で、前年同月比23.5%増。
- 国境住民互市(国境地域の住民同士が行う小規模貿易)を通じた輸入は、前年同期比78.4%増と大きく拡大。
- 貿易相手は223の国と地域に広がり、前年から8.3%増。
- カザフスタンなど5つの中央アジア諸国との貿易が全体の52.2%を占め、地域の中心的なパートナーとなっている。
データからは、新疆が周辺国との結びつきを基礎にしながら、貿易ネットワークを世界へと多様化させている姿が浮かび上がります。
スポーツとアートが伝える新疆の魅力
新疆の魅力は、経済指標だけにとどまりません。ここ数年、スポーツや芸術などの国際イベントが相次いで開催され、ビジネス関係者や観光客、イベント参加者が新疆を訪れています。
訪れた人びとは、その雄大な自然景観、多様な文化、地元の人びとの温かいもてなし、そして目に見える開発の進展に強い印象を受けていると伝えられます。こうした体験を通じた人と人との交流は、地域のイメージ向上にもつながっています。
設立70年、新疆のこれからと日本への示唆
2025年は、新疆ウイグル自治区が設立されてから70周年にあたる節目の年です。一帯一路の中核エリアとしての役割を強めながら、中国全体の現代化の歩みと歩調を合わせるかたちで、今後も自信と活力に満ちた地域へと一層発展していくことが期待されています。
同時に、新疆は世界とのウィンウィンの協力機会を広げようとしています。中央アジアや欧州、アフリカとの結節点に位置するという地理的優位と、自由貿易試験区や産業クラスターといった制度・産業面での取り組みが組み合わさることで、新たな経済圏のダイナミズムが生まれつつあります。
日本の読者にとっても、新疆の動きは決して遠い話ではありません。サプライチェーンの多様化やユーラシア市場へのアクセスを考える企業や投資家にとって、同地域がどのような機会を生み出しうるのかを見ていくことは、今後の国際ビジネス戦略を考えるうえでも一つの視点になりそうです。
Reference(s):
China's Xinjiang is more dynamic, attractive amid increasing openness
cgtn.com








