ロサンゼルス港とロングビーチ港に記録的コンテナ 関税前倒しで港湾に負荷 video poster
2025年7月、米カリフォルニア州のロサンゼルス港とロングビーチ港で、1カ月のコンテナ取扱量が過去100年で初めて100万個を超えました。小売各社が関税引き上げを見越して輸入を前倒ししたことが背景にあり、港湾都市と世界のサプライチェーンに新たな負荷がかかっています。
記録更新の背景:小売各社の前倒し輸入
ロサンゼルス港とロングビーチ港は、米国西海岸を代表する港湾として知られています。この2つの港が2025年7月に扱ったコンテナは、合計で100万個超。開港以来およそ100年で初めての規模に達しました。
急増の主な要因とされるのが、小売企業による「駆け込み輸入」です。近く関税が引き上げられるとの見通しが広がるなかで、企業は次のような判断を迫られました。
- 関税が上がる前に、可能な限り多くの商品を輸入しておく
- 在庫を積み増すことで、当面のコスト上昇を抑える
- サプライチェーンの混乱に備え、余裕を持った物流計画に切り替える
その結果、短期間に大量のコンテナが西海岸の港に集中し、港湾インフラや周辺の道路網に大きな負荷がかかったとみられます。
グローバル供給網サミットで見えた懸念
こうした動きを受け、カリフォルニアでは最近、世界の物流や貿易に関わる企業の幹部が集まる「グローバル供給網サミット」が開かれました。会合では、相次ぐ関税措置のもとで、今後の貿易の姿がどう変わるのかが主要な議題となりました。
経営トップたちは、関税が一時的なコスト要因にとどまらず、調達先の見直しや在庫戦略、輸送ルートの選択など、企業活動の根本的な部分に影響しうることを共有しました。関税の方針が変わるたびに、今回のような「前倒し輸入」の波が繰り返される懸念も指摘されています。
米国最大の港湾と地域経済への意味
CGTN Americaのインタビューに応じた、米国最大の港湾の副事務局長は、今回の記録的なコンテナ急増が港の将来や地域経済にどのような意味を持つのかについて説明しました。港の運営や雇用、関連するサービス産業にとって、こうした変動は避けて通れないテーマになりつつあります。
一般に、コンテナ取扱量の急増は、短期的には港湾収入や雇用の押し上げ要因になります。一方で、次のような課題も生まれます。
- 荷役作業やトラック輸送のピークが集中し、現場の負担が増える
- 周辺道路の渋滞や騒音の増加など、地域住民の生活環境への影響
- 翌月以降の荷動きが落ち込むと、港の収入やシフト調整が不安定になる
港湾都市にとって、関税をきっかけとした需要の「山」と「谷」にどう対応するかは、今後の都市計画やインフラ投資にも関わる長期的な課題といえます。
私たちの暮らしにどうつながるのか
こうした国際物流の変化は、日本を含む世界の消費者にも間接的に影響します。関税や輸送コストの変動は、店頭価格や品ぞろえ、配送のスピードなどに反映されやすいためです。
想定される影響としては、例えば次のようなものがあります。
- 一時的な値上げやセール時期の前倒しなど、価格の動きが読みづらくなる
- 特定の商品の在庫が急にだぶついたり、逆に品薄になったりする
- 企業がリスク分散のため調達先を増やし、中長期的にはサプライチェーンが複雑化する
ロサンゼルスから現地の状況を伝えたCGTN Americaのエディズ・ティヤンシャン記者の報告は、関税政策が数字の上だけの議論ではなく、港湾都市の現場や地域経済、そして私たちの日々の買い物にまでつながっていることを示しています。
国際ニュースを追ううえでは、関税という政策のニュースだけでなく、それが具体的にどの港で、どのような人々の仕事や生活に影響しているのかという視点も持っておきたいところです。
Reference(s):
Port cities under pressure as retailers rush to beat tariffs
cgtn.com







