フランス新首相にルコルニュ氏 マクロン政権の次の一手は
フランスのエマニュエル・マクロン大統領は現地時間火曜夜、国防相のセバスチャン・ルコルニュ氏を新しい首相に指名しました。前政権の信任案否決と歳出削減案への反発、SNS発の抗議運動が重なる中での重要な人事です。
フランス新首相にセバスチャン・ルコルニュ氏
エリゼ宮によると、ルコルニュ氏(39)は約3年以上にわたり国防相を務めてきたマクロン大統領の側近で、火曜夜にフランスの新首相に任命されました。
大統領府は、ルコルニュ氏の主な任務は「今後数カ月の決定に必要な合意を構築するために、各政党と協議すること」だと説明しています。
ルコルニュ氏は自身のSNSで、マクロン氏に対する信頼に感謝の意を示すとともに、退任するフランソワ・ベイルウ首相について「信念を守る勇気」をたたえました。
与党側は歓迎、「合意形成」の手腕に期待
マクロン政権を支える政治家たちは、ルコルニュ氏の起用を歓迎しています。
- ガブリエル・アタル前首相(国民議会で与党連合「一緒に共和国のために」を率いる)は、SNS「X」で今回の人事が「公益にかなう」と評価。
- マクロン政権下で首相を務めたエドゥアール・フィリップ氏も、ルコルニュ氏には他党と交渉し合意に達する「資質がある」と支持を表明しました。
与党側は、対立の激しい政治状況の中で、ルコルニュ氏が他党との対話を通じて安定した政策運営につなげることを期待しているといえます。
野党は「挑発」と批判 SNS発の「全部止めろ」運動も
一方、野党勢力の反応は厳しいものです。
- 極右政党「国民連合」を率いてきたマリーヌ・ル・ペン氏は、マクロン氏が「マクロン主義の最後の切り札を切った」と批判しました。
- 急進左派政党「ラ・フランス・アンシュミーズ(LFI)」の議会会派代表マチルド・パノ氏は、今回の任命を「『全部止めろ』運動の前夜に行われた挑発だ」と非難。マクロン政権は「国民議会でも国全体でも少数派にすぎない富裕層のための同じ政策」を続けていると批判しました。
パノ氏が言及した「全部止めろ(Block Everything)」運動は、主にSNSを通じて組織されている草の根キャンペーンで、水曜日に全国一斉の「ストップ」を呼びかけています。対象は通勤や消費、社会活動など幅広く、ベイルウ氏が推し進めていた予算案、特に公共支出削減に抗議する狙いがあります。
信任案否決から首相交代までの流れ
今回の首相交代は、前政権の信任案否決を直接の引き金としています。
マクロン氏は、ベイルウ首相と内閣が提出した歳出削減を柱とする予算案についての議会の信任投票が否決された翌日に、ルコルニュ氏を新首相に任命しました。ベイルウ氏は火曜日に辞任願を提出しています。
エリゼ宮とマティニョン(フランス首相官邸)をめぐる一連の動きは、以下のように整理できます。
- 火曜日:ベイルウ首相が信任案否決を受けて辞任を表明し、大統領に辞表を提出
- 同日夜:マクロン大統領が国防相のルコルニュ氏を次期首相に指名
- 水曜日正午:マティニョンでベイルウ氏とルコルニュ氏の間で正式な引き継ぎが行われる予定
- 同日:SNS発の「全部止めろ」運動が、ベイルウ氏の予算案に抗議する全国的な行動を呼びかけ
日本の読者にとってのポイント
今回のフランス新首相任命を、日本にいる私たちはどのように見ればよいのでしょうか。いくつかの視点を挙げます。
- 合意形成の政治へ:エリゼ宮がルコルニュ氏に託したのは、政党間の対話と合意形成です。大統領の強いリーダーシップだけでは政策が進みにくい局面にあることがうかがえます。
- SNSが動員の核に:「全部止めろ」運動のように、SNSが政治的不満の共有と行動の呼びかけの中心的なツールになっている点は、日本の若い世代にも共通する流れといえます。
- 若い指導者の起用:39歳のルコルニュ氏が首相に就くことで、フランス政治の世代交代やリスクをとる人事のあり方にも注目が集まりそうです。
ルコルニュ新首相が、マクロン政権の下でどこまで与野党の橋渡し役を果たせるのか。水曜日の引き継ぎと「全部止めろ」運動の行方は、今後のフランス政治の方向性を占う試金石となりそうです。
Reference(s):
cgtn.com








