韓国大統領、米ヒュンダイ-LG工場への移民摘発に「当惑」 投資冷え込みを懸念
韓国の李在明(イ・ジェミョン)大統領が、米国ジョージア州のヒュンダイ-LG電池工場建設現場で行われた大規模な移民摘発について「当惑している」と発言し、対米投資の冷え込みを招きかねないと強い懸念を示しました。韓国企業が積極的に進めてきた対米投資に、思わぬリスク要因が浮かび上がっています。
ジョージア州の電池工場で大規模摘発 数百人を拘束
問題となっているのは、米ジョージア州にあるヒュンダイとLGによる電池工場の建設現場です。2025年9月上旬、この現場に対して米当局が大規模な移民法違反の摘発を行い、数百人規模の労働者が拘束されました。拘束された人の多くは韓国からの労働者とみられています。
韓国側は、拘束された労働者の多くが後に釈放され、韓国へ帰国する見通しだとしていますが、その時点で数百人が収容施設に拘束されていたこと自体が、韓国社会と企業に大きな衝撃を与えました。
この摘発は、ドナルド・トランプ米大統領が包括的な移民取り締まり強化に乗り出して以来、単一の事業所としては最大規模のものとされています。また、トランプ大統領が韓国の李在明大統領をホワイトハウスに迎えてから、1カ月も経たないタイミングで行われたことも注目を集めました。
李大統領「文化の違い」指摘 対米投資への不安広がる
李在明大統領は、この一連の動きについて「当惑している(bewildering)」と表現しました。そのうえで、摘発の背景には「文化の違い」があるとの見方を示しています。
具体的には、韓国では米国人の軽微なビザ違反について、重大な問題として扱わないのが一般的だと説明しました。李大統領は、今回のようなケースが「韓国企業にとって対米直接投資のリスクを再考させるきっかけになりかねない」と述べています。
李大統領によれば、今回の大規模摘発を受けて、韓国企業の間では次のような疑問が生まれているといいます。
- 米国に工場を建設することが、本当にリスクに見合うのか
- ビザや在留資格をめぐる運用が、事業計画を突然揺るがす可能性はないのか
- 移民政策の強化が今後さらに続いた場合、安定的な操業が維持できるのか
李大統領は「これは、米国での直接操業の妥当性を検討するうえで、今後の投資判断に大きな影響を与えうる」と警鐘を鳴らしました。
韓国は主要な対米投資国 揺らぐ「ウィンウィン」関係
韓国は、米国にとって主要な投資パートナーの一つです。自動車、電池、半導体といった分野で、韓国の大手企業は米国内の工場や生産拠点に巨額の資金を投じてきました。ジョージア州のヒュンダイ-LG電池工場も、その象徴的な案件の一つです。
こうした投資は、米国側にとっても雇用創出や産業競争力の強化というメリットをもたらしてきました。一方で、移民政策の運用次第では、企業にとって「いつ、どのタイミングで摘発が入るか分からない」という不確実性が増し、長期的な投資計画を立てにくくなるリスクがあります。
今回のように、単一の事業所として過去最大規模とされる移民摘発が行われれば、韓国企業だけでなく、他国の企業にとっても「対米投資の前提条件」を見直すきっかけになりかねません。
日本企業にとっても「対岸の火事」ではない
今回の韓国と米国の動きは、日本企業にとっても無関係ではありません。海外に工場や研究拠点を構える企業にとって、政治・外交・移民政策の変化は、事業リスクそのものです。
とくに、海外拠点で働く技術者や技能労働者が、ビザや在留資格をめぐって突然摘発の対象となるような事態が起これば、サプライチェーン全体が止まりかねません。企業は法令順守だけでなく、「どの国で、どのようなリスクを織り込むべきか」という視点から、投資先を選ぶ必要が高まっています。
移民政策の厳格化と、海外企業の投資誘致。両者をどう両立させていくのか——。今回のヒュンダイ-LG電池工場をめぐる問題は、韓国と米国だけでなく、グローバルに事業展開するすべての企業に共通する課題を浮き彫りにしています。
Reference(s):
South Korea says 'bewildering' immigration raid could chill investment
cgtn.com








