UAEがイスラエル公使を召喚 カタールでのハマス攻撃と発言に抗議
アラブ首長国連邦(UAE)が、カタールの首都ドーハで行われたイスラエルによるハマス指導部への攻撃と、その後のベンヤミン・ネタニヤフ首相の発言をめぐってイスラエルの公使を召喚しました。アブラハム合意で関係正常化を進めてきた両国の間で、緊張が改めて表面化しています。
イスラエル公使を召喚 「看過できない」とUAE
UAE外務省は金曜日、イスラエルの副代表(駐UAEイスラエル大使館のナンバー2)であるデービッド・オハッド・ホルサンディ氏を召喚したと発表しました。対象となったのは、イスラエルによるカタールでのハマス指導者への攻撃と、それに続くネタニヤフ首相の発言です。
UAE側は声明の中で、イスラエル側の「敵対的で挑発的なレトリック」が続くことは「受け入れられず、看過できない状況を固定化する」と強い表現で批判しました。UAEはイスラエルとの経済・防衛面での協力関係を持ちながらも、この点では明確な不満を示しています。
アブラハム合意で関係正常化も、もともと存在した不安要素
UAEは、2020年に米国の仲介で結ばれたアブラハム合意のもと、イスラエルと国交正常化した最も目立つアラブ諸国の一つです。これにより、両国は経済や安全保障、さらには防衛協力に至るまで関係を急速に深めてきました。
一方で、関係は決して一本調子ではありませんでした。UAEは、イスラエルがヨルダン川西岸地区の併合を計画していた際には、それが「レッドライン(越えてはならない一線)」にあたると明言し、強い懸念を示しています。イスラエル史上で最も右派色が強いとされる現在の政権との間には、以前からぎくしゃくした面があったことがうかがえます。
ドーハへの攻撃とネタニヤフ氏の発言が引き金に
今回の緊張の直接のきっかけとなったのは、カタールの首都ドーハに対する攻撃です。イスラエルは、同地にいるハマスの政治部門の指導者を標的にした攻撃を行い、 国際社会から非難が相次ぎました。
その後、ネタニヤフ首相はカタールに対し、ハマス幹部を追放するか、自ら裁くかを迫り、「そうしないのであれば、われわれがやる」と警告しました。この発言が、UAEを含む地域諸国の反発を一層強める結果となっています。
今回の攻撃が特に挑発的だと受け止められている背景には、カタールがガザ地区での停戦協議において重要な仲介役を担ってきたことがあります。カタールはエジプトや米国とともに、イスラエルとハマスの停戦に向けた交渉の場となってきました。
UAE大統領の動きと湾岸諸国の調整
UAEのムハンマド・ビン・ザイド・アル・ナヒヤーン大統領は、ドーハ攻撃後、最初に現地を訪れた国家元首となりました。その後も湾岸アラブ諸国を歴訪し、イスラエルの攻撃に対する立場の調整を進めています。
こうした動きは、UAEが単に経済・防衛のパートナーとしてイスラエルと関係を持つだけでなく、湾岸諸国の間で一定の外交的影響力を行使していることを示しています。一方で、イスラエル外務省は今回のUAEの対応について、現時点でコメントを出していません。
ドーハで緊急サミットへ 中東外交の次のステージ
ドーハでは、イスラエルの攻撃を議題とするアラブ・イスラム諸国の緊急サミットが、日曜日と月曜日にかけて開かれる予定です。カタールがこれまで停戦仲介の舞台となってきたことを踏まえると、この会合は今後の地域情勢や各国のスタンスを占う重要な場となりそうです。
UAEとイスラエルは、アブラハム合意以降、ビジネスや観光、防衛協力など多方面で利益を共有してきました。今回の公使召喚は、その「実利のパートナーシップ」に政治・安全保障面の亀裂がどこまで影響するのかを問う試金石とも言えます。
これからの焦点:実利と原則の間で
今回の動きから見えてくる主なポイントは次の通りです。
- UAEはイスラエルとの関係を維持しつつも、「看過できない一線」は明確に示した。
- カタールでの攻撃とネタニヤフ首相の発言は、仲介役を担う国々との信頼関係を揺さぶっている。
- ドーハでの緊急サミットや湾岸諸国の調整が、今後の中東外交の方向性を左右する可能性がある。
経済・防衛で結びついた国同士が、政治や安全保障をめぐる原則をどこまで譲れるのか。UAEとイスラエルの関係は、2025年現在の中東における「現実と理想のバランス」を映し出す鏡のような存在になりつつあります。
Reference(s):
UAE summons deputy Israeli ambassador over attack on Hamas in Qatar
cgtn.com








