米国の新関税でサプライチェーン再編 ベトナム・メキシコに生産移転 video poster
米国が2025年に複数の貿易相手国に対して幅広い関税を導入したことで、世界のサプライチェーン(供給網)が静かに動き始めています。一部の企業は、追加関税を避けるため、生産拠点をベトナムやメキシコなど別の国へ移しつつあります。
中国の国際ニュースチャンネルCGTNのエディズ・ティヤンサン記者は、ロサンゼルスから、こうした動きを現地の企業関係者の声とともに伝えています。本稿では、その報道内容を手がかりに、今回の米国関税の意味と、企業のサプライチェーン戦略の変化を整理します。
米国の新関税、何が変わったのか
今回のポイントは、米国が特定の国や品目に限定せず、複数の貿易相手国に対して幅広い関税を導入した点です。関税は輸入品に上乗せされる税金であり、最終的には企業のコスト、ひいては消費者価格に影響します。
関税が上がると、企業は次のような対応を迫られます。
- 関税分のコストを受け入れ、利益率を下げる
- 製品価格を引き上げ、消費者に負担を転嫁する
- そもそも関税のかからない国・地域に生産拠点を移す
今回、複数の企業が選び始めているのが「生産移転」です。その行き先として注目されているのが、ベトナムとメキシコです。
なぜベトナムとメキシコなのか
ティヤンサン記者の報道によれば、米国の新関税を受けて、一部の企業が生産拠点をベトナムやメキシコに移す動きが出ています。背景には、次のような要因があると考えられます。
- 関税回避のための「迂回生産」
最終製品を米国向けに輸出する際、関税対象となる国からの輸入になるのか、そうでないのかでコストが大きく変わります。生産地を変更することで、関税負担を抑えようとする動きです。 - 人件費やインフラのバランス
ベトナムやメキシコは、比較的安価な労働力と製造業の集積があり、電力や港湾などのインフラ整備も進んでいます。 - 地理的な優位性
メキシコは米国市場に地理的に近く、陸路での輸送も可能です。ベトナムはアジアの生産ネットワークの一角として、多くの企業が既に進出しています。
こうした条件が重なり、「次の生産拠点候補」としてベトナム・メキシコが浮上しているとみられます。
日本やアジアの企業にとっての意味
日本企業やアジアの企業にとっても、今回の米国の新関税と生産移転の動きは他人事ではありません。米国向けの輸出比率が高い企業ほど、関税リスクとサプライチェーン再編の影響を受けやすくなります。
ポイントは、単に「どこが一番安いか」ではなく、「どのくらい柔軟に拠点を切り替えられるか」という視点です。特定の国や地域に依存しすぎると、関税だけでなく、地政学リスクや災害、規制変更などの影響も一度に受けてしまいます。
これからのサプライチェーン戦略
2025年現在、企業が検討すべきサプライチェーン戦略として、次のようなポイントが挙げられます。
- 複数国への分散
生産拠点や調達先を、一つの国に集中させず、複数の国・地域に分散させる。 - 「関税シナリオ」を事前に試算
関税率が変動した場合のコストを事前にシミュレーションし、損益分岐点を把握しておく。 - 現地パートナーとの連携強化
ベトナムやメキシコなど、候補地のパートナー企業との関係を早めに構築し、有事の際に素早く動ける体制をつくる。
関税政策は、政権や国際情勢の変化によって今後も揺れ動く可能性があります。だからこそ、「一度決めたサプライチェーンを固定する」のではなく、「変化に応じて組み替えられる」柔軟な構造を持つことが重要になっています。
米国の新関税と、それに伴うベトナム・メキシコへの生産シフトは、世界の供給網がいかに政治・政策と結びついているかを改めて示す出来事です。日々のニュースを追いながら、自社や自分の仕事がどこでこの動きとつながっているのか、一度立ち止まって考えてみるタイミングに来ているのかもしれません。
Reference(s):
cgtn.com








