国連総会、ハマス排除のパレスチナ国家案を圧倒的多数で採択
国連総会は金曜日、中東和平の行方を左右しかねない重要な決議を採択しました。ハマスをパレスチナの統治から外した形で二国家解決を進めると明記したこの宣言は、パレスチナ国家樹立をめぐる国際社会の議論を新たな局面へと押し出しています。
ハマス抜きの二国家解決をうたう「ニューヨーク宣言」
今回採択されたのは、パレスチナ問題の平和的解決と二国家解決の実現に関するニューヨーク宣言と呼ばれる文書です。フランスとサウジアラビアが中心となって提示したこのテキストは、イスラエルとパレスチナの二国家解決を改めて支持しつつ、その過程からハマスを明確に排除する姿勢を打ち出しました。
採決の結果は、賛成142、反対10、棄権12。イスラエルと、その主要な同盟国であるアメリカ合衆国は反対に回りましたが、加盟国の大多数が賛成した形です。
宣言はハマスに対し、ガザで拘束している全ての人質の解放を求めるとともに、ハマスによる10月7日の民間人への攻撃を明確に非難しています。また、ハマスが武装を放棄し、統治の座から退くべきだとし、その上でパレスチナ自治政府が国際社会の関与と支援を受けながら、将来の主権的で独立したパレスチナ国家を構築していくべきだとしています。
ガザ停戦と国際安定化ミッションの可能性
ニューヨーク宣言は、ガザ戦争を終わらせるための「集団的行動」を国際社会に呼びかけています。目的は、単なる停戦ではなく、イスラエルとパレスチナの紛争に対し、公正で持続可能な解決をもたらす二国家解決を実際に実現することにあります。
その一環として、宣言には国連安全保障理事会の権限のもとで、戦禍に苦しむ地域に一時的な国際安定化ミッションを展開する可能性についての記述も盛り込まれました。このミッションは、パレスチナ市民の保護と生活再建を支援することを主な目的としています。
さらに宣言は、将来のガザ統治からハマスを完全に排除することを目指すと明記し、ガザの政治的・治安的な枠組みをパレスチナ自治政府主導へと移行させる構想を描いています。
アラブ連盟や各国の支持、イスラエルの反発
ニューヨーク宣言はすでにアラブ連盟によって支持されており、複数のアラブ諸国を含む17の国連加盟国が7月の時点で共同署名していました。今回の国連総会での採択により、その枠組みがより広い国際的な支持を得た形です。
パレスチナのフセイン・アッ=シェイク副大統領は、この決議が「パレスチナ人民の権利を支援する国際的意思を表現したものであり、占領の終結と独立国家樹立に向けた重要な一歩だ」と歓迎しました。
一方、イスラエル外務省のオレン・マーモルスタイン報道官は、Xへの投稿でこの決議を強く批判。イスラエルは宣言を「完全に拒否する」とした上で、国連総会が「現実からかけ離れた政治的サーカス」になっている証拠だと述べました。
「批判への盾」となる国連決議
今回の採択は、リヤドとパリが共同議長を務める形でニューヨークで開かれる予定だった国連サミットを前に行われました。このサミットでフランスのマクロン大統領は、パレスチナ国家を正式に承認する考えを表明しており、他の首脳からも同様の意向が相次いでいました。
各国の指導者にとって、国連総会での大差による採択は、自国の世論や他国からの批判に向き合ううえで、一種の政治的な「盾」として機能しうる側面があります。国際社会の多数が支持したという事実は、パレスチナ国家承認に踏み切る際の正当性を補強する材料となるからです。
一方で、パレスチナのマフムード・アッバス大統領は、米当局がビザを発給しない方針を示したことで、この国連サミットに出席できない可能性も取り沙汰されています。パレスチナ側の代表性をめぐっても、国際政治の駆け引きが続いています。
二国家解決はどこまで現実的か
現在、193の国連加盟国のうち約4分の3が、1988年に亡命中のパレスチナ指導部が宣言したパレスチナ国家を承認しています。それでも、イスラエルとパレスチナの間で独立したパレスチナ国家が現実のものとなる道筋は、かつてなく不透明です。
2年にわたる戦争でガザ地区は壊滅的な被害を受けています。ヨルダン川西岸ではイスラエルの入植地拡大が続き、イスラエル政府関係者からは西岸地域の併合を求める発言も繰り返されています。こうした状況から、独立したパレスチナ国家が地理的・政治的に成り立たなくなるのではないかという懸念が強まっています。
イスラエルのネタニヤフ首相は木曜日、「パレスチナ国家は認めないというわれわれの約束を必ず守る」と述べ、二国家解決そのものに明確に反対する姿勢を示しました。国連総会の議論と、現場の政治指導者の発言とのギャップは小さくありません。
私たちにとっての意味は何か
今回の決議は、ハマスを統治から排除したうえでパレスチナ国家を樹立するという、一つの将来像を国際社会が共有しようとする試みです。しかし、ガザの安全保障を誰がどのように担うのか、パレスチナ自治政府がガザでどこまで信頼と統治能力を回復できるのかなど、具体的な課題は山積しています。
また、イスラエル側の安全保障上の懸念、パレスチナ人の自決権と安全、周辺アラブ諸国の思惑など、多層的な利害が絡み合う中で、国連総会の決議だけで状況が一気に動くわけではありません。それでも、多数の国が明確に二国家解決を支持し、ハマスによる民間人攻撃を非難したという事実は、今後の和平交渉の大きな文脈を形づくることになります。
日本からこのニュースを読む私たちは、単に「遠い地域の紛争」としてではなく、国際秩序や武力行使のルール、テロと安全保障、人権と自決権といった普遍的なテーマとして、この問題をどうとらえるかが問われています。あなたは、ハマスを排除した二国家解決という構想を、どこまで現実的だと感じるでしょうか。
Reference(s):
cgtn.com







