ロシアが極超音速ミサイル「ジルコン」発射 ベラルーシと共同軍事演習
ロシアがベラルーシとの共同軍事演習の一環として、バレンツ海の標的に向けて極超音速巡航ミサイル「ジルコン」を発射し、周辺の安全保障環境にあらためて注目が集まっています。
バレンツ海で極超音速ミサイル「ジルコン」発射
ロシア国防省は、バレンツ海の標的に向けて極超音速巡航ミサイル「ジルコン(ツィルコン)」を発射したと発表しました。国防省によりますと、発射はロシア海軍北方艦隊に所属するフリゲート艦「アドミラル・ゴロフコ」から行われました。
公開された映像では、艦上から垂直にミサイルが打ち上がり、その後、水平線に向かって角度を変えて飛び去る様子が映されています。国防省は「リアルタイムで受信した客観的な監視データによれば、標的は直撃によって破壊された」として、作戦は成功だったと強調しています。
今回の演習には、北方艦隊の混成航空部隊に所属する長距離対潜哨戒機も参加したとされます。また、スホイSu-34超音速戦闘爆撃機の乗員は、地上目標に対する爆撃訓練も行ったと説明しています。
共同戦略演習「ザーパド」とは何か
ミサイル発射や航空機による攻撃訓練は、ロシアとベラルーシが実施している共同戦略演習「ザーパド(西)」の一部とされています。両国の国防当局によると、この演習は2025年9月12日に始まりました。
演習の目的は、ロシアまたはベラルーシのいずれかが攻撃を受けた場合を想定し、軍の指揮系統や部隊間の連携を強化することだと説明されています。ロシアとベラルーシは、演習はあくまで防御目的であり、北大西洋条約機構(NATO)加盟国を攻撃する意図はないと繰り返し強調しています。
- 開始日:2025年9月12日
- 参加:ロシア軍とベラルーシ軍
- 内容:ミサイル発射、航空打撃、対潜哨戒など
- 目的:攻撃を受けた事態を想定した指揮・連携の向上
ポーランド上空の無人機とNATO作戦「イースタン・セントリー」
一方、米国主導の軍事同盟であるNATOも、東側の防衛体制を意識した動きを見せています。9月9日から10日にかけて無人機がポーランドに侵入した事案を受け、NATOは「イースタン・セントリー」と名付けた作戦を開始したとされています。
モスクワとミンスクは自らの演習を「防御的」と位置づけていますが、無人機の侵入や大規模演習の実施は、周辺国にとっては緊張感を高める要因ともなり得ます。NATOが別個の作戦を展開することで、双方が相手の動きを注視し合う構図がより強まっているとも言えます。
極超音速ミサイルが示すメッセージ
今回の発射に使われたジルコンは、ロシアが開発を進めているとされる極超音速巡航ミサイルです。極超音速兵器とは、音速を大きく上回る速度で飛行しながら軌道を変えることができるとされる兵器の総称で、迎撃を難しくし得る点が特徴とされています。
ロシア国防省が、フリゲート艦からの発射映像を公開し、「直撃」で標的を破壊したと強調したことは、自国の技術力と抑止力を内外にアピールする狙いがあるとも考えられます。同時に、長距離対潜哨戒機やSu-34による爆撃訓練を組み合わせることで、海・空を含む複合的な作戦能力を示した形です。
こうした極超音速兵器の実戦的な訓練は、対立する陣営にとっては新たなプレッシャーとなり得ます。一方で、軍事バランスに変化をもたらしうる技術が現れると、各国が追随して開発を進める「軍拡競争」の懸念も指摘されます。
読み解きのポイント:軍事演習と安全保障
東欧をめぐる安全保障環境は、軍事演習とそれに対する警戒や対抗措置が重なり合うことで、複雑さを増しています。今回のニュースから、少なくとも次のようなポイントが見えてきます。
- ロシアとベラルーシは、演習を「防御的」と説明しつつも、極超音速ミサイルを含む高性能兵器の能力を示していること
- NATO側も、無人機のポーランド侵入を受けて「イースタン・セントリー」作戦を始動させるなど、東側の警戒を強めていること
- 軍事演習そのものがメッセージ性を持ち、相手の警戒感を高める要因にもなりうること
私たちが国際ニュースを読むとき、大事なのは「どちらが正しいか」を即断することではなく、関係国がそれぞれどのような不安や計算を抱えているのかを想像してみることかもしれません。演習は防御と抑止の手段であると同時に、誤解や偶発的な衝突のリスクもはらんでいます。
緊張を高める動きと同時に、対話や信頼醸成のためのルールづくりがどこまで進むのか。東欧の空と海で続く軍事演習は、遠い地域の出来事に見えて、日本を含む世界全体の安全保障のあり方を考えるきっかけにもなりそうです。
Reference(s):
Russia launches missiles during joint military exercises with Belarus
cgtn.com








