国連、北部ガザへのイスラエル攻勢を非難 民間人への「壊滅的影響」警告
国連は8日、北部ガザで続くイスラエル軍の新たな攻勢が、市民の犠牲や飢餓をさらに悪化させているとして強い懸念を示しました。国連機関や専門家は、相次ぐ空爆と砲撃、避難の繰り返し、食料の欠乏が「民間人に壊滅的な影響」を与えていると警告しています。
国連報道官「民間人への影響は壊滅的」
国連のステファン・ドゥジャリック事務総長報道官は8日、北部ガザ・ガザ市で週末にかけて行われたイスラエル軍の攻勢について「民間人が飢餓と苦難に耐えている中で、壊滅的な影響を及ぼしている」と述べ、強く非難しました。
ドゥジャリック報道官は、「ガザ市全域で見られたイスラエル軍事攻勢の致命的なエスカレーションを非難する」としたうえで、次の点を改めて求めています。
- 民間人の保護
- 人道支援要員の安全確保
- 国際法、とくに国際人道法の全面的な尊重
北部ガザで続く激しい攻撃と再避難
国連人道問題調整事務所(OCHA)によると、ガザ市全域で激しい空爆や砲撃が続く中、数千人規模の避難民が再び南部に向けて移動しています。人々は、南へ向かう唯一のルートとされる海岸沿いのアル・ラシード道路に殺到し、道路はひどく混雑した状態になりました。
パレスチナ難民を支援する国連機関、国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)のフィリップ・ラザリーニ事務局長は、ここ4日間でガザ市にある同機関の建物10棟が攻撃を受けたと明らかにしました。被害を受けたのは、避難所として利用されていた7つの学校と2つの診療所などで、いずれも数千人規模の避難民が身を寄せていたとされています。
ラザリーニ氏は、ガザ市や北部ガザ全体で空爆が激化するなか、疲弊し恐怖におびえた市民が再び避難を強いられていると警告しました。
飢餓と栄養失調が拡大
国連世界食糧計画(WFP)は、ガザ市からの強制的な避難が家族のわずかな資源を使い果たし、人々の「最後の命綱」を断ち切っていると指摘しています。安全で継続的な人道アクセスが確保されなければ、特に子どもたちの間で飢餓がさらに悪化する危険が高まると訴えました。
ガザの保健当局は、過去24時間で新たに3人が栄養失調と飢餓により死亡したと報告しています。OCHAによると、2023年10月7日以降、ガザ全域で栄養失調と飢餓が原因で死亡した人は計425人に上り、その約3分の1が子どもだとされています。
地元当局は、約2年にわたるとされる今回の軍事作戦全体で、これまでに6万4,000人以上が死亡したと伝えています。
- 栄養失調・飢餓による死者:425人(うち約3分の1が子ども)
- 直近24時間の死者:3人
- 軍事作戦全体の死者:6万4,000人以上(地元当局発表)
国連専門家とイスラエル側の主張
パレスチナ人の権利を担当する国連の専門家フランチェスカ・アルバネーゼ氏は、イスラエルがガザ市に対する攻撃を通じて、この地域を「住めない場所」にしようとしており、ガザに拘束されているイスラエル人の人質の命も危険にさらしていると主張しています。
これに対し、イスラエルの国連代表部はアルバネーゼ氏の見解を退けています。イスラエル側は、ガザ市を掌握するための今回の攻勢は、パレスチナの武装組織ハマスを最終的に打倒する計画の一部だと説明し、住民には南部の「人道区域」へ避難するよう事前に警告していると主張しています。
しかし、国連と多くの国々は、こうした戦術は事実上の強制的な大量移転にあたると批判し、指定された人道区域の環境も劣悪で、食料が深刻に不足していると警鐘を鳴らしています。
問われる国際社会の責任
北部ガザでは、空爆と砲撃、度重なる避難、食料不足が絡み合い、市民生活は極限状態に追い込まれています。国連機関や人道団体は、戦闘が続くなかでも、民間人の保護と人道支援ルートの確保を最優先にすべきだと訴えています。
一方で、軍事作戦の継続を主張するイスラエル側の安全保障上の懸念も根強く、現場では国際法の原則と安全保障上の論理が厳しくぶつかっています。
今後、国連や各国政府がどこまで即時の被害軽減と中長期的な復興支援に踏み出せるのかが焦点となります。北部ガザで続く人道危機は、武力紛争における「民間人保護」を本気で実現できるのか、国際社会全体に重い問いを投げかけています。
Reference(s):
UN: Northern Gaza offensive causes 'appalling impact' on civilians
cgtn.com








