米控訴裁、リサ・クックFRB理事の解任を当面差し止め FOMC直前
米ワシントンの連邦控訴裁判所は8日(月、現地時間)、ドナルド・トランプ大統領が解任を試みていたリサ・クック米連邦準備制度理事会(FRB)理事について、当面は職にとどまることを認める判断を示しました。あすから2日間の日程で始まる連邦公開市場委員会(FOMC)を前に、米金融政策の行方を左右しうる重要な動きです。
控訴裁、2対1でトランプ政権の申し立て退ける
米コロンビア特別区巡回区連邦控訴裁判所の3人の裁判官からなる合議体は、2対1の多数決で、トランプ政権によるクック理事の「迅速な解任」を認めないとする決定を出しました。
裁判所は、この訴訟の現段階では、クック氏に対する主張がFRB理事の職を解くために必要とされる正当な理由にあたるかどうかを判断する必要はないと指摘し、まずは現状を維持したまま審理を進めるべきだとの考えを示しています。
この結果、トランプ政権側には、最高裁判所に不服を申し立てるための時間が、FOMC開始までの数時間しか残されていないとされています。最高裁がそれまでに判断を示さない場合、クック氏はFOMCに出席し、政策金利をめぐる採決に参加することになります。
9月の地裁判断を維持
クック氏の処遇をめぐっては、9月9日に連邦地裁がトランプ大統領による解任を差し止め、同氏をただちにFRB理事へ復職させるよう命じていました。今回の控訴裁の決定は、この地裁命令を支持し、少なくともFOMC開催前までは現状を維持すべきだという判断を改めて確認するものです。
FOMCとFRBの独立性をめぐる注目点
FRBはアメリカの中央銀行にあたり、日本の日本銀行に相当する存在です。その政策決定会合にあたるFOMCでは、金利を引き上げるか、据え置くか、あるいは引き下げるかが話し合われ、世界の金融市場が注目します。
理事1人ひとりに1票の投票権があり、その構成は最終的な決定に影響を与えます。FOMC直前に理事の去就が法廷で争われた今回のケースは、中央銀行の独立性と政治の関係について、あらためて議論を呼びそうです。
トランプ大統領の経済ブレーン・ミラン氏が新理事に
同じ8日には、米上院がスティーブン・ミラン氏をFRBの理事に指名する人事を、賛成48、反対47の僅差で承認しました。ミラン氏はトランプ大統領の経済ブレーンの一人とされており、8月初めに理事を辞任したアドリアナ・クーグラー氏の後任として、来年1月までの残り任期を務める予定です。
報道によると、ミラン氏はホワイトハウスの大統領経済諮問委員会(Council of Economic Advisers)の委員長職を続けながら、無給の休職扱いでFRB理事を務める計画とされています。ホワイトハウスとFRBの両方に関わる人事は、政策決定の現場にどのような影響を与えるのか注目されます。
日本の読者が押さえておきたい3つのポイント
- FOMC直前でも、FRB理事の人事が政治・司法の争点となりうること
- 最高裁が今後この問題に介入するかどうかで、FRBとホワイトハウスの力関係が変わる可能性があること
- FRBの判断は、為替や株式市場、日本の金利にも波及しうるため、日本からも注視が必要なこと
中央銀行のトップ人事が裁判所の決定に左右される局面は、そう頻繁に起きるものではありません。今回の一連の動きは、「誰が金利を決めるのか」というシンプルでありながら重い問いを、改めて私たちに突きつけています。FOMCでの議論とあわせて、今後の司法判断にも注目が集まりそうです。
Reference(s):
U.S. appeals court lets Lisa Cook remain Fed governor for now
cgtn.com







