国連グテーレス氏、中東和平は「二国家解決が唯一の道」と強調 video poster
国連のアントニオ・グテーレス事務総長は、パレスチナ問題の解決と中東和平の実現には「二国家解決」しか現実的な道はないと改めて強調しました。ガザ市での大規模な地上攻勢が報じられる中での発言であり、国際ニュースの大きな焦点となっています。
国連事務総長「二国家解決こそ唯一の道」
グテーレス事務総長は、ニューヨークの国連本部で開かれた記者会見で、中国メディア・China Media Group の質問に答える形で、二国家解決(イスラエルと将来のパレスチナ国家が、それぞれ主権を持つ国家として共存する構想)への支持を改めて表明しました。
事務総長は「二国家解決が実現するよう、国際社会ができる限りのことをし、力を総動員しなければならない」と述べ、各国政府だけでなく国際機関や市民社会も含めた広い連携の必要性を訴えました。
「代わりに何を選ぶのか」21世紀への問い
グテーレス氏は、あえて問いを投げかける形で、二国家解決以外の選択肢の問題点を指摘しました。
- 一つの国家のもとで、人々が基本的な権利を奪われる体制を受け入れるのか。
- あるいは、人々を土地から追い立ててしまうのか。
- そうしたことが、21世紀に本当に可能なのか、そして許されるのか。
そのうえで事務総長は、イスラエルが「パレスチナ人を権利のないまま従属させる一国家体制は、まったく受け入れられない」ことを認識すべきだと指摘しました。国際法や人権の観点から、長期的な安定をもたらす解決策になりえないという見方です。
ガザ地上作戦と中東和平への懸念
こうした発言は、イスラエルがガザ市で大規模な地上攻勢を開始した翌日に出たものです。軍事行動が拡大する局面で、国連のトップがあえて「政治的解決」の枠組みを強調した形です。
グテーレス氏は、「二国家解決なしに中東に平和は訪れない」としたうえで、その影響は地域にとどまらないと警告しました。もし政治的な出口が見えないまま紛争が続けば、「世界の至るところで過激主義が拡大し、極めて否定的な結果をもたらす」と述べ、世界全体の安全保障への波及を懸念しています。
「ハマスへの贈り物ではない」パレスチナ国家承認をめぐる反論
最近、アメリカやイスラエルの一部の当局者からは、パレスチナ国家を承認することは「ハマスへの贈り物だ」とする主張も出ています。これに対し、グテーレス事務総長は明確に反論しました。
事務総長は「それはハマスへの贈り物ではない。長年にわたりハマスによっても苦しんできたパレスチナの人々への贈り物だ」と述べました。ここで強調されているのは、「武装組織」と「パレスチナの人々」を分けて考える視点です。
多くの議論が、安全保障や武装組織への対応に焦点を当てがちな一方で、グテーレス氏は、紛争のなかで最も影響を受けている市民の権利と尊厳に光を当てる必要があると訴えていると言えます。
国連総会の決議草案と二国家解決の枠組み
二国家解決をめぐっては、国連総会も動きを見せています。今年、国連総会は「パレスチナ問題の平和的解決と二国家解決の実施」に関するニューヨーク宣言を支持する決議草案を採択しました。
この草案は、最終的な和平合意に向けて、対話と交渉を軸に問題解決を図るべきだという方向性を示すものです。「二国家解決」という枠組みが、依然として国際社会の重要な基準になっていることを、改めて印象づける内容だと言えます。
日本の読者にとっての意味
日本にいる私たちにとって、中東のニュースは遠い地域の出来事に見えがちです。しかしグテーレス事務総長は、「二国家解決の不在は、中東だけでなく世界の過激主義の拡大につながりうる」と警告しました。これは、国際テロや難民問題、エネルギー安全保障など、多くの論点とつながりうる指摘です。
今回の発言から浮かび上がるのは、次のような問いかけです。
- 軍事行動が続くなかで、政治的な出口をどう描くのか。
- 「国家」や「安全保障」の議論の背後にいる市民一人ひとりの権利を、どう守るのか。
- 国際社会は、本気で二国家解決を支える覚悟があるのか。
中東情勢の行方を追ううえで、「二国家解決は本当に唯一の現実的な選択肢なのか」「もしそうなら、何がその実現を妨げているのか」。グテーレス事務総長のメッセージは、私たち一人ひとりにも、そんな問いを静かに突きつけています。
Reference(s):
UN chief Guterres: Two-state solution 'the only viable' way for peace
cgtn.com







