IAEAが警告 ウクライナ・ザポロジエ原発近くで砲撃、黒煙も確認
国際原子力機関(IAEA)は、ウクライナのザポロジエ原子力発電所の周辺で砲撃が報告され、現地に常駐するIAEAチームが砲撃音を聞き取り、近くの複数地点から黒煙が上がる様子を確認したと明らかにしました。欧州最大の原発をめぐり、核安全を揺るがしかねない事態が続いています。
ポイントで読む今回の動き
- IAEAの専門家が、ザポロジエ原発近くで砲撃音と黒煙を確認
- 砲弾は原発敷地の外、ディーゼル燃料貯蔵施設から約400メートルの地点に着弾
- 死傷者や設備被害の報告はないものの、核安全への「絶え間ない危険」をIAEAが指摘
- 原子炉は停止中だが、燃料は今も継続的な冷却が必要な状態
- 先週には無人機の爆発や訓練センターへの攻撃も報告され、緊張が長期化
原発外周から約400メートルで砲弾が着弾
IAEAによると、現地時間の火曜日、ザポロジエ原発に常駐する同機関のチームが、発電所周辺で複数の砲撃音を確認しました。その後、原発近くの三つの地点から黒煙が立ち上るのを目撃したとされています。
声明では、砲弾は原発の敷地外に着弾し、その位置は敷地外のディーゼル燃料貯蔵施設からおよそ400メートル離れていたと説明されています。
今回の砲撃による負傷者や設備の損傷は報告されていません。ただ、ラファエル・グロッシ事務局長は今回の事案について、核の安全とセキュリティに対する「常に続く危険」を改めて示すものだと強調しています。
原子炉は停止中、それでも続く冷却の必要性
ザポロジエ原発の原子炉は現在すべて停止しているものの、施設内の核燃料は今も継続的な冷却を必要としています。IAEAは、こうした状況では、原発周辺での砲撃やその他の軍事行動そのものが核安全を脅かしかねないと警告しています。
直接的な被害が報告されていない今回の事案も、原発に必要なインフラの近くで砲弾が着弾したと伝えられており、危険が目前に迫っている状態が続いていることを浮き彫りにしました。
無人機の爆発や訓練センター攻撃も報告
砲撃のような事案は、ザポロジエ原発周辺では頻繁に起きているとされています。先週には、ロシア側が任命したウクライナ・ザポロジエ州の知事が、ウクライナの無人機が原発施設の上空で爆発したと述べました。
原発の職員からは、その前の1週間に、原子炉に隣接する訓練センターが2度攻撃を受けたとの報告もあったとされています。こうした出来事が重なり、発電所を取り巻く安全環境は不安定なままです。
ロシアが支配する欧州最大の原発
ザポロジエ原発は6基の原子炉を持つ欧州最大の原子力発電所で、2022年以降はロシア軍が施設を掌握しています。原発をめぐっては、モスクワとキーウが互いに相手側の行動が核安全を危険にさらしていると非難を繰り返してきました。
今回の砲撃をめぐっては、現時点でロシア側、ウクライナ側のいずれからも公式なコメントは出ていません。誰が砲撃を行ったのかや、狙いがどこにあったのかといった詳細も明らかにされていません。
IAEAは現地常駐で監視、双方に自制を要求
IAEAは、ザポロジエ原発とウクライナ国内の他の3つの原子力発電所に監視チームを常駐させ、原子炉や関連施設の安全状況を継続的に監視しています。同機関は紛争当事者の双方に対し、原発施設に危険を及ぼすおそれのある行動を避けるよう繰り返し求めています。
グロッシ事務局長は、原発が軍事行動の影響を受け続けている現状に強い懸念を示し、ザポロジエ原発を軍事的なリスクから切り離すための枠組み作りの必要性を改めて訴えています。それでもなお、砲撃や無人機、周辺施設への攻撃が断続的に続いているとされる現状は、核施設が紛争地にあることの深刻なリスクを物語っています。
核施設をどう守るかが問われている
原子力発電所のような大型インフラは、一度重大な事故が起きれば国境を越えて広範囲に影響が及びます。ザポロジエ原発をめぐる度重なる危うい事態は、一地域の安全保障問題にとどまらず、国際社会全体の核安全のあり方を問い直すものになっています。
紛争が長期化するなかで、どこまで原発を戦闘から切り離し、国際機関の監視やルールで守ることができるのか。IAEAの警告は、ウクライナ情勢をフォローする私たちに対しても、改めてその問いを投げかけています。
Reference(s):
IAEA says shelling reported near Ukraine's Zaporizhzhia nuclear plant
cgtn.com








