第80回国連総会「Better together」 ベアボック議長が示す4つの優先課題
国連総会第80会期の議長を務めるアンナレーナ・ベアボック氏が、Better together(より良く共に)をキーワードに、国連改革や次期事務総長の選出、SDGs(持続可能な開発目標)の立て直しなど、新会期の優先課題を示しました。分断と多くの危機を抱える2025年の国際社会で、国連総会は何を目指そうとしているのでしょうか。
第80回国連総会、焦点は国連80改革と次期事務総長
ベアボック議長は水曜日、来週に予定される国連総会ハイレベル・ウィークを前に、記者会見で今会期の方向性を語りました。第80会期の国連総会は、UN80改革アジェンダの前進、次期国連事務総長の選出プロセスの指針作り、そして停滞するSDGsへの勢いを取り戻すことなどを中心課題とすると説明しました。
キーワードはBetter together
今会期のテーマの一部となっているBetter togetherという言葉には、一国主義では立ち行かない現実への危機感が込められています。ベアボック議長は、どれほど大きく、強く、豊かな国であっても、いま世界が直面している課題を一国だけで解決することはできないと強調し、私たちは共に取り組まなければならないと呼びかけました。
国連憲章を北極星として
議長は、国連が人類史の暗い時期に生まれた組織であることを振り返りながら、国連憲章こそが、私たちが共に何を達成しようとしているのかを示す北極星だと位置づけました。そのうえで、今こそ立ち止まり、作り直し、適応し、進化させるときだと述べ、次の80年を見据えた国連の再構築の必要性を訴えました。
同時に、約80億人の人びとに対し、なぜ国連が今もなお重要なのかを示さなければならないとし、ガザやウクライナ、スーダン、ハイチからの切実な和平の呼びかけに応えること、そして気候変動や不平等、急速な技術進歩といった共通の課題に意味のある行動で向き合うことが求められていると述べました。
4つの優先課題: 改革、人事、合意の実行、SDGs
ベアボック議長は、今年進めるべき具体的なプロセスこそが焦点になると強調し、次のような優先課題を挙げました。
- 国連80改革アジェンダの前進:国連がより効果的に機能し、各国に対して約束したことを実際に履行できるようにするための改革を進めること。
- 次期国連事務総長の選出プロセスを導くこと:国連という組織の顔であり声となる次期事務総長を選ぶにあたり、その選出プロセスを透明で信頼されるものにする方向性を示すこと。
- Pact for the Futureの実施:各国が合意した未来に向けたパクトを、文書にとどめるのではなく、実際の政策と行動へとつなげ、その履行状況を点検していくこと。
- SDGsの勢いを取り戻すこと:持続可能な開発目標が遅れを見せる中で、再び政治的な関心と資源を集中させ、達成に向けた具体的な進展を生み出すこと。
こうした課題設定からは、国連総会第80会期が、制度そのものの改革と、人事、既存合意の実行、そして開発アジェンダの立て直しを同時に進めようとする意図を読み取ることができます。
紛争と地球規模課題への同時対応
ベアボック議長の発言には、緊急の紛争対応と長期的な地球規模課題の双方へのまなざしが見て取れます。ガザ、ウクライナ、スーダン、ハイチなどで続く危機への平和的な対応を進めつつ、気候変動、不平等、急速な技術進歩といった、どの国も単独では対処しきれない課題に向き合う必要性が示されました。
世界が分断と競争に向かいやすい中で、Better togetherというメッセージは、対立を乗り越えた協調の枠組みをどこまで再構築できるかという問いでもあります。国連総会の場で交わされる演説や声明が、どこまで具体的な行動や資金の裏付けを伴うかが試されることになりそうです。
ハイレベル・ウィークで予定される主な会合
ベアボック議長は、来週からの一般討論演説(General Debate)が対話と外交の重要な機会になると述べるとともに、ハイレベル・ウィーク中に予定される複数の会議を挙げました。
- 国連80周年記念会議:国連創設からの80年を振り返り、次の80年に向けて国連がどのような役割を果たすべきかを話し合う場。
- パレスチナ問題の平和的解決と二国家解決の実施に関する会議:パレスチナ問題の平和的解決と二国家解決の実現に向けた課題と道筋を議論する会合。
- 女性と若者に関する30周年ハイレベル会合:第4回世界女性会議と世界青年行動計画の採択から30年を記念し、ジェンダー平等や若者政策の進展と課題を共有する場。
これらの会合は、過去の合意や行動計画を単に記念するのではなく、現在の現実に照らして何を更新し、どこを加速すべきかを問い直す機会にもなります。
約束を行動に、希望を現実に
ベアボック議長は、国連創設からの8つの十年が、前進と後退、成果と失敗、そして再生と決意の歴史だったと振り返りました。そのうえで、今求められているのは、約束を行動に、コミットメントを進捗に、希望を現実に変えるための意思と野心だと強調しました。
第80回国連総会は、国連という仕組みが次の80年も世界の課題解決に貢献し続けるのか、それとも信頼を失ってしまうのかを占う節目の会期とも言えます。Better togetherという合言葉を、各国の指導者だけでなく、私たち一人ひとりが自国と世界、現在と未来との関係を考え直すきっかけとして受け止められるかどうかも問われています。
Reference(s):
cgtn.com








