国連80年の節目:グテーレス氏、SDGs加速と国連改革を訴え video poster
2025年9月22日、国連設立80周年を記念するハイレベル会合がニューヨークの国連本部で開かれました。国連のアントニオ・グテーレス事務総長は、紛争や飢餓、気候危機が深刻化する今、国連を強化し持続可能な開発目標(SDGs)の達成に向けた取り組みを加速させるよう、各国に呼びかけました。本稿では、この国際ニュースのポイントを日本語で整理します。
国連原則は「これまでになく攻撃されている」
グテーレス事務総長は、国連設立80周年を記念する本会合の冒頭で、国連の指導原則が「これまでになく攻撃されている」と危機感を示しました。背景には、各地で続く武力紛争、広がる飢餓、そして気候の崩壊とも言える事態があります。
今回の会合テーマは、英語でのスローガンを用いて「Better together: 80 years and more for peace, development, and human rights(より良く、ともに:平和・開発・人権の80年とその先へ)」と掲げられました。第二次世界大戦の廃墟から生まれた国連憲章を改めて強化する必要性が、多くのスピーチの中で強調されました。
グテーレス氏は「こうした課題に立ち向かうためには、国連を守るだけでなく、国連を強化しなければならない」と述べ、今後の改革構想として、パクト・フォー・ザ・フューチャー(将来のための協定)や、国連創設80年を見据えた議論(UN80プロセス)などの取り組みを挙げました。
さらに「前に進む道は、ともに歩む道しかない。明確さと勇気、確信を持ってこの瞬間に向き合い、平和の約束を実現しよう」と訴え、協調と連帯の重要性を強く打ち出しました。
国連総会議長ベアボック氏「今は転換点」
国連総会(UNGA)の議長を務めるアナレーナ・ベアボック氏も、国連80年の節目が国際社会にとって大きな転換点であると指摘しました。
ベアボック氏は「国連80年目の今こそ、私たちはどの道を選ぶかを問われている。世界に対し、私たちが本当に『より良く、ともに』進めることを示さなければならない」と述べました。そして、この「Better together」は単なるスローガンではなく、困難な歴史を経て得られた教訓であり、これからの80年に向けた約束だと位置づけました。
SDGsモーメントで示された厳しい現実
同じくニューヨークで行われた国連総会ハイレベルウィークの一環として、SDGsへの進捗を点検する「SDGモーメント」も開かれました。ここでもグテーレス事務総長は、持続可能な開発目標の達成に向けた一層の行動を求めました。
事務総長が示した「SDGs達成への道筋」は大きく三つです。
- 国際的な金融システムを見直すなど、世界の金融アーキテクチャ(構造)の改革
- 気候変動対策をすべての政策の中心に据えること
- 急速に進む技術革新への備えと、その恩恵を公平に分かち合う仕組みづくり
そのうえで「すべての行動において、平和を最優先にしなければならない」と強調しました。グテーレス氏は、2024年の世界の軍事支出が、各国の政府開発援助(ODA)の13倍に達したと指摘し、資源配分のバランスが大きく崩れている現状に警鐘を鳴らしました。
SDGsの進捗:35%が「順調」、18%は「逆行」
SDGモーメントでベアボック国連総会議長が示した数字は、現状の厳しさを物語っています。2030年まで残り5年となった今、SDGsの進捗は次のように分類されています。
- およそ35%の目標が予定通り、あるいはそれ以上のペースで進んでいる
- 47%の目標は進捗が不十分で、達成が危ぶまれている
- 18%の目標は、むしろ状況が悪化する「逆行」が見られる
資金面でも厳しい状況が続きます。ニーズが高まっているにもかかわらず、最新の数字では純額ベースの政府開発援助が前年より7.1%減少したとされています。ベアボック氏は「開発は、これまでしばしば無視されてきた人々の声に耳を傾け、ともに努力し、互いに連帯するときにはじめて、公正で持続可能なものになる」と述べ、支援のあり方そのものを問い直す必要性を訴えました。
2030アジェンダと「誰一人取り残さない」という約束
国連は2015年9月、17のSDGsを柱とする「2030アジェンダ」を採択しました。このアジェンダは、極度の貧困をなくし、不平等を是正し、気候変動に対応することなどを2030年までに実現することを目指す包括的な約束です。その根底にあるのが「誰一人取り残さない」という理念です。
しかし、今回示された進捗や資金のデータは、その約束を守るための時間と余裕が決して多くないことを意味します。グテーレス氏やベアボック氏の発言は、単なる警告ではなく、国際社会が進路を修正する最後の機会に近づいているというメッセージとも読み取れます。
およそ150人のトップが集うニューヨークで何が問われているか
現在、約150の国家・政府のトップを含む各国代表が国連本部に集まり、一連のハイレベル会合や二国間会談に臨んでいます。ここでの議論や合意は、国連改革、金融システムの見直し、気候対策、デジタル技術のルール作りなど、今後の国際秩序の方向性を左右する可能性があります。
軍事費が膨らむ一方で開発資金が不足し、SDGsの一部は逆行しているという現実の中で、各国がどこまで「平和」と「開発」を優先できるのか。今回の国連80周年会合は、その覚悟が試される場となっています。
国際ニュースを追う私たちにとっても、これは遠い世界の話ではありません。気候変動、経済格差、デジタル技術の急速な進展は、日常生活や働き方にも直結しています。「Better together」という言葉を、単なるキャッチコピーで終わらせず、自分たちの社会や世代の課題としてどう受け止めるかが問われていると言えます。
Reference(s):
Guterres calls for strengthening UN, more efforts to achieve SDGs
cgtn.com








