ロシアとウクライナが相互非難 クリミア無人機攻撃とザポリッジャ空爆
ロシアとウクライナの間で、クリミア南部とウクライナ南東部ザポリッジャを襲った致命的な夜間攻撃をめぐり、双方が責任をなすり合う構図が鮮明になっています。民間施設にも被害が出る中、先月の米露首脳会談後に高まった停戦への期待は足踏み状態が続いています。
クリミア南部フォロス近郊で無人機攻撃
クリミアの地域トップ、セルゲイ・アクショーノフ氏は、現地時間月曜、フォロス近郊での致命的な無人機攻撃についてウクライナの仕業だと非難しました。攻撃は保養地として知られるフォロス・サナトリウム周辺で発生し、近隣の学校施設にも被害が出ています。
アクショーノフ氏の側近オレグ・クリュチコフ氏によると、フォロスの学校では講堂が完全に破壊され、図書館も深刻な損傷を受けました。この攻撃で警備員が負傷したとされています。
ロシア国防省は、日曜の協定世界時午後四時三十分ごろ、ウクライナが高性能爆薬を搭載した無人機を使い、テロ行為にあたる攻撃を実行したと発表しました。攻撃対象は軍事施設のないクリミアの保養地だったと強調しており、民間地が狙われたと訴えています。
学校や保養施設が戦火にさらされる現実
今回の無人機攻撃では、軍事目標ではなく、学校や保養施設といった日常生活の場が被害を受けたと伝えられています。教室や図書館、講堂といった空間は本来、学びや交流のための場所ですが、戦闘が長引く中で、こうした民間施設が前線から離れた地域でも安全とは言えない状況が続いています。
ザポリッジャへの空爆をウクライナ側が非難
一方、ウクライナ側はロシアによる空爆が自国各地で続いていると訴えています。ウクライナ政府によると、日曜午後七時協定世界時の時点で、ロシア軍による空爆はウクライナ領内で四十六回に達したとしています。
ウクライナ南部の都市ザポリッジャでは、夜間の攻撃により、少なくとも三人が死亡、二人が負傷し、このうち一人は重体とされています。地域軍政のトップであるイワン・フェドロフ氏は、ロシア軍が市内に少なくとも五発の爆弾を投下したと述べました。
- 日曜時点でロシア軍による空爆は四十六回とウクライナ側が発表
- 南部ザポリッジャ市への夜間攻撃で三人死亡、二人負傷
- 地域軍政トップは、少なくとも五発の爆弾が投下されたと説明
互いに相手を責める情報戦
今回の一連の攻撃をめぐり、ロシア側はウクライナによるテロ的な無人機攻撃だと主張し、ウクライナ側はロシア軍が都市部への空爆を強めていると非難しています。双方が自らの軍事行動を正当化しつつ、民間人の犠牲については相手の責任だと訴える構図は、これまでも繰り返されてきました。
現地の被害状況や標的の性格については、ロシア側とウクライナ側の発表内容が食い違うことも多く、どの情報が誰の立場から語られているのかを意識的に見極めることが求められます。
先月の米露首脳会談とクリミアをめぐる発言
軍事的な緊張が続く一方で、先月には外交面で大きな動きもありました。アメリカのドナルド・トランプ大統領は、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領との首脳会談を行い、その後の発言で、ウクライナが和平合意の一部としてクリミアを取り戻すことはできないとの見方を示しました。
トランプ大統領はこの外交ラッシュの中で、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領とも別途会談しています。しかし、こうした一連の首脳外交にもかかわらず、その後の停戦に向けた実務的な前進は停滞しているとされています。
クリミアの扱いが和平の鍵に
クリミアの扱いは、ロシアとウクライナの和平をめぐる最大の争点の一つです。アメリカ大統領による発言は、今後の交渉の枠組みや到達可能な妥協点をめぐる議論に影響を与える可能性があります。
一方で、クリミア南部やウクライナ南東部で民間施設への被害が報じられるたびに、当事国の世論は硬直化しやすくなります。市民の安全が脅かされる状況が続く中で、政治指導者がどこまで妥協を示せるのかという点も、今後の和平プロセスを左右する重要なポイントです。
私たちが読むべきポイント
今回のニュースから見えてくるのは、次のような点です。
- 前線から離れた保養地や学校など、民間施設も攻撃の対象となり得ること
- 双方が情報発信を通じて、自らの正当性と相手の非を訴える情報戦を続けていること
- 先月の米露首脳会談や米ウクライナ首脳会談といった外交努力にもかかわらず、停戦への具体的な道筋は見えていないこと
ニュースを追う側としては、どちらか一方の発表だけで状況を理解した気にならず、複数の立場から出ている情報を並べて読み解く姿勢がますます重要になっています。遠く離れた地域の出来事のように見えても、エネルギーや安全保障、国際秩序の変化を通じて、アジアや日本の社会ともつながっていきます。
今後も、クリミアやザポリッジャなど戦闘が続く地域での民間人の安全確保と、停戦に向けた外交の行方に注目が集まりそうです。
Reference(s):
cgtn.com








