アラブ連盟、英・カナダ・豪・ポルトガルのパレスチナ国家承認を歓迎
英国、カナダ、オーストラリア、ポルトガルが相次いでパレスチナ国家を承認し、アラブ連盟が「長年続いた歴史的な誤りの是正だ」と歓迎しました。二国家解決をめぐる国際世論の地図が、2025年の今、大きく塗り替わりつつあります。
何が起きたのか:主要国がパレスチナ国家を承認
アラブ連盟のアフマド・アブルゲイト事務総長は、自身のX(旧ツイッター)への投稿で、英国、カナダ、オーストラリアが独立したパレスチナ国家を承認したことを歓迎しました。事務総長は、この承認は「長年続いてきた歴史的な誤りを正すもの」だと評価しています。
さらに事務総長は、これらの決定は、各国の人々が「パレスチナの独立と尊厳ある生活を支えるべきだ」と求めてきた声に沿うものだと指摘し、今後もより大きな影響力を持つ国際的な承認が続くとの見通しを示しました。
英・カナダ・豪・ポルトガル、それぞれのメッセージ
英国:二国家解決への「軌道修正」を呼びかけ
英国のキア・スターマー首相はビデオ声明で、英国がパレスチナ国家を正式に承認すると表明しました。そのうえで、イスラエルとパレスチナがそれぞれ国家として共存する二国家解決の枠組みに、国際社会が再び立ち返るべきだと呼びかけました。
カナダ:承認を正式に確認
カナダのマーク・カーニー首相も声明を発表し、カナダがパレスチナ国家を承認したことを確認しました。これにより、北米の主要国の一つがパレスチナ承認に加わった形です。
オーストラリア:長年の願いを支持
オーストラリアのアンソニー・アルバニージー首相とペニー・ウォン外相は連名声明を出し、「パレスチナの人々が自らの国家を持つという正当で長年の願い」をオーストラリアとして認めると述べました。パレスチナ国家承認は、その願いに対する具体的な支持の表明だと位置づけられています。
ポルトガル:二国家解決は「唯一の道」
ポルトガルも同じ日にパレスチナ国家を承認しました。ニューヨークの国連ポルトガル代表部で、パウロ・ラジェル外相は、ポルトガル国家が公式にパレスチナ国家を承認すると宣言し、二国家解決こそが「平和への唯一の道」だと強調しました。
ラジェル外相は、即時停戦と人道支援のための国境開放の必要性にも言及しました。承認の発表は、フランスとサウジアラビアが国連本部で共催した二国家解決に関するハイレベル会合の前日に合わせて行われ、外交的なメッセージ性が意識された形です。
アラブ連盟とパレスチナ側の受け止め
アブルゲイト事務総長は、今回の承認ラッシュを「パレスチナ人の独立と尊厳ある生への権利」を支持する動きだと位置づけています。アラブ諸国にとって、長年求めてきたパレスチナ国家の国際的承認が、西側諸国にも広がり始めたことは大きな意味を持ちます。
パレスチナのマフムード・アッバス大統領も声明を通じて、これらの承認は「国際的な正当性に基づく、公正で永続的な和平を達成するための重要かつ不可欠な一歩だ」と歓迎しました。
すでに多くの国がパレスチナを国家として承認していますが、英国やカナダ、オーストラリア、ポルトガルのような影響力の大きい国の決定は、象徴的にも実務的にも重みを持つとみられます。
イスラエルは強く反発
一方、イスラエル側の反応は極めて厳しいものでした。ベンヤミン・ネタニヤフ首相は、これらの国々は「テロに対して巨大な報酬を与えている」と非難しました。
ネタニヤフ首相はさらに、「ヨルダン川の西にパレスチナ国家が樹立されることはない」と述べ、パレスチナ国家の樹立に断固反対する姿勢を改めて示しました。今回の承認をめぐる評価のギャップは、紛争当事者のあいだに存在する深い溝を浮き彫りにしています。
なぜ「国家承認」がここまで重いのか
国際社会における国家承認は、単なる象徴的なジェスチャーではなく、外交的に大きな意味を持つ行為です。パレスチナの場合、国家承認は次のような点で重要だとされています。
- パレスチナ人の自己決定権と独立国家樹立の正当性を、外交文書として明確に支持することになる。
- イスラエルとパレスチナの双方が国家として共存する二国家解決を、国際社会が改めて支持するシグナルになる。
- 今後の和平交渉や国連など国際機関での議論において、パレスチナ側の発言力や立場を強める可能性がある。
一方で、現地の安全保障や入植地問題、エルサレムの地位など、二国家解決に向けた具体的な論点は山積したままです。国家承認は重要な政治的メッセージである一方、それだけで紛争が解決するわけではないという現実もあります。
これからの焦点:二国家解決への道筋
アラブ連盟は、今回の決定をきっかけに、今後さらに多くの国がパレスチナ国家を承認することを期待しています。どの国が次に続くのか、そして今回の承認が和平プロセスをどこまで動かすのかは、2025年以降の中東外交を考えるうえでの大きな焦点になりそうです。
パレスチナ国家の承認をめぐる動きは、国際社会がどのような平和のビジョンを共有するのかを映し出す鏡でもあります。日本の私たちにとっても、ニュースを追いながら「持続可能な和平とは何か」「二国家解決以外にどのような選択肢があり得るのか」を考えるきっかけになりそうです。
Reference(s):
Arab League welcomes recognition of Palestine by UK, Canada, Australia
cgtn.com








