米国、イラン外交官のコストコ利用など制限 国連総会で異例の措置
米国、イラン外交官の買い物を制限 国連総会「最大限の圧力」の一環
米国務省は今週、ニューヨークで開かれている第80回国連総会(UNGA)のハイレベル週間に合わせ、国連総会に出席するイラン代表団に対し、会員制量販店での買い物や高級品の購入を制限する措置を発表しました。イランへの「最大限の圧力」を掲げる米国の対イラン政策が、外交官の日常生活にまで及び始めています。
何が制限されたのか
米国務省の声明によると、今回の措置は、国連に出席するイラン代表団の移動や消費行動を細かく制限するものです。
移動範囲の制限
イラン代表団は、国連本部地区での公務を行うために必要な経路など、厳密に限定された区域への移動のみが認められます。これにより、ニューヨーク市内での自由な移動は大きく制約されることになります。
会員制量販店の利用制限
米国務省の在外公館局(Office of Foreign Missions)は、コストコやSam's Club、BJ's Wholesale Clubといった会員制量販店の会員資格や利用を、外交官に対する「特典」と位置づけました。そのうえで、こうした店舗の会員資格を新たに取得したり維持したりするには、米国務省の事前承認が必要になると通知しています。
通知は、米政府公報である連邦官報に掲載される予定で、イランの外交官とその家族は、これらの量販店での商品購入についても、いかなる手段によるものであっても承認を得なければならないとしています。
高級品や高額品への承認制
さらに、イラン外交官は次のような品目の購入についても制限を受けます。
- 腕時計、毛皮、宝飾品、ハンドバッグ、財布、香水、たばこ、酒類、自動車などの高級品
- 1,000ドル(約数十万円)を超える高額商品の購入
- 6万ドルを超える自動車の購入
これらの品目を購入する場合も、米国務省の事前の許可が必要とされています。つまり、イラン外交官の高額な消費行動は、ほぼ全面的に米政府の管理下に置かれることになります。
米国務省「最大限の圧力」の一環と位置づけ
米国務省は声明で、「イラン体制に最大限の圧力を加えるため、国連総会代表団の移動と会員制量販店や高級品へのアクセスを制限する措置を取った」と説明しました。イラン代表団に対する今回の制限は、米国による対イラン圧力政策の延長線上にあるといえます。
声明によれば、こうした制限は、外交官に与えられてきた各種の特典を米政府の裁量で見直すものです。在外公館局は、会員制量販店の会員資格や高級品の購入を外交上の「特典」として扱い、それを許可制に切り替えました。
トランプ政権によるビザ・制限措置の流れ
今回の決定は、ドナルド・トランプ米大統領の政権による一連のビザや渡航制限の最新の動きとされています。トランプ政権はこれまでも、国連で各国を代表する外交官に対して、入国や滞在条件を厳しくする方針を取ってきました。
報道によると、今回の措置で名指しで対象になっているのはイランだけです。国連加盟国の代表団の多くがニューヨークに集まり、およそ150人の各国・地域の首脳級が参加する中で、特定の国の外交団だけが生活面の制限を受けるという構図になっています。
外交特権と制裁のあいだで
外交官には、ウィーン条約などに基づき、一定の「特権と免除」が認められています。一方で、国連本部を抱える開催国としての米国は、安全保障上の理由などから、移動範囲などを制限する権限も持っています。
今回特徴的なのは、移動だけでなく、日用品や高級品の買い物といった生活レベルにまで制限が広がっている点です。量販店の会員資格や高級品の購入を「特典」とみなすことで、政治的な圧力の対象にしているともいえます。
こうした措置については、少なくとも三つの視点から考える余地があります。
- 国連本部を置く「ホスト国」として、米国はどこまで各国代表団の活動を制限できるのか
- 外交官の生活条件を交渉カードにすることは、国際的な外交慣行とどのように折り合うのか
- イラン国内や国際社会の世論に対して、どのようなメッセージとして受け止められるのか
国際ニュースとして私たちが押さえておきたい点
今回のイラン外交官への制限は、国連という多国間の場と、二国間の対立(米国とイラン)が交差する局面を示しています。国連の場であっても、ホスト国の政策や思惑が外交官の活動に影響を与えうることが、改めて浮き彫りになりました。
日本を含む多くの国にとって、イラン情勢や米国の対イラン政策は、エネルギー市場や地域情勢を通じて間接的に影響します。ニュースの見出しでは「コストコ」「高級品」といったわかりやすいキーワードが目を引きますが、その背後には、制裁と外交、国際法と国内政策がせめぎ合う複雑な構図があります。
スマートフォンの画面越しにこうしたニュースを追う私たちにとっても、「どこまでが正当な安全保障上の措置で、どこからが政治的な見せ方なのか」という問いを持ち続けることが、国際ニュースを読み解くうえでのヒントになりそうです。
Reference(s):
U.S. restricts Iranian diplomats from wholesale clubs, luxury buys
cgtn.com








