ベネズエラ外相、カリブ海の米軍展開を警告 「地域の平和地帯が脅かされる」
ベネズエラのイバン・ヒル外相は、カリブ海で進む米軍の展開が、ラテンアメリカとカリブ地域が掲げてきた「平和の地帯」としてのあり方を脅かしていると警告しました。発言は、ニューヨークで開かれたラテンアメリカ・カリブ諸国共同体(Community of Latin American and Caribbean States)の外相会合で、現地時間の月曜日に行われました。
米軍のカリブ海展開は「地域全体への脅威」
ヒル外相は会合で、カリブ海での米軍の軍事展開について、「ベネズエラだけでなく、地域の安定そのものを脅かしている」と強い懸念を示しました。
ラテンアメリカとカリブ地域は、対立よりも対話を重視する「平和の地帯」であるべきだという考え方が共有されています。ヒル外相は、こうした流れに逆行する形で軍事的な圧力が高まっているとし、次のように問いかけました。
「わたしたちの国への攻撃が、隣国や地域経済に影響しないなどと、誰が想像できるでしょうか」。
軍事行動がもし現実になれば、国境を越えた経済活動や人の移動、エネルギー供給など、多方面に連鎖的な影響が及ぶ可能性があります。ヒル外相の発言には、そうした広い意味での「地域の平和と安定」への危機感がにじみます。
「米国との争いはない」が、ワシントン発の「軍事的圧力」を指摘
ヒル外相は一方で、「ベネズエラは米国との間に争いを抱えているわけではない」とも述べ、両国関係そのものを敵対関係と位置づけることには慎重な姿勢を見せました。
そのうえで同外相は、現在ベネズエラが直面しているのは、「ワシントン内部の政治勢力が推し進める『軍事的侵略の試み』だ」と指摘しました。つまり、ベネズエラ側の認識では、対立の主な源は特定の政治勢力にあり、必ずしも米国全体との全面的な対立ではないという位置づけです。
こうした整理は、緊張を過度にあおることなく、自国への圧力には警戒を示すという、微妙なバランスを取ろうとするメッセージとも受け取れます。
マドゥロ大統領は「抑止措置」を指示
ヒル外相によると、ニコラス・マドゥロ大統領は、状況がエスカレートしないよう「抑止措置」を取るよう指示したといいます。具体的な中身には触れていませんが、軍の態勢や外交上の対応を通じて、偶発的な衝突などを防ぐ狙いがあるとみられます。
ヒル外相はまた、米側がベネズエラ政府と麻薬取引を結びつけようとしていると批判し、そうした主張を「大いなる嘘」だとして強く退けました。自国政府の正当性を疑問視する物語に対し、あらためて否定することで、国内外に向けて立場を明確にした形です。
地域の平和をどう守るか
今回の発言は、ラテンアメリカとカリブ地域の安全保障をめぐる問いを、あらためて浮き彫りにしています。軍事的な緊張が高まれば、当事国だけでなく、周辺の国や人びとの暮らし、地域経済にも影響が及びます。
ヒル外相が強調した「平和の地帯」という言葉には、域内での紛争を避け、対話と外交を通じて問題を解決したいという願いが込められています。米軍のカリブ海展開をどう評価するか、そして地域の安定をどう守るのか——今回のベネズエラのメッセージは、ラテンアメリカとカリブ地域をめぐる議論の一つの焦点となりそうです。
Reference(s):
Venezuelan FM warns U.S. military buildup threatens regional peace
cgtn.com








