ロシア市場に再び? エクソン再参入報道とクレムリン発言の意味
2022年にロシアから撤退したエクソンモービルが、市場への再参入を探っていると報じられました。クレムリンは「関心を持つ企業は1社ではない」と述べ、欧米企業とロシアの関係が動き始めた可能性があります。
今回の国際ニュースのポイント
- クレムリン報道官が「ロシア市場への復帰に関心を持つ企業はエクソンだけではない」と発言
- エクソンモービルとロシア国営ロスネフチが、46億ドルの減損処理を巡る法的拘束力のない初期合意に署名したと報道
- 本格的な関係修復は、ロシアのウクライナ和平に向けた前進と、米国・欧州連合(EU)の制裁緩和が前提とみられる
- プーチン大統領は「政治的圧力」でロシアを離れた企業の復帰を歓迎する姿勢をあらためて示し、サハリン1への再投資の道も開く大統領令に署名
クレムリン「関心ある企業は1社ではない」
ロシア大統領府(クレムリン)のドミトリー・ペスコフ報道官は、エクソンモービルのロシア復帰の可能性について質問を受け、RBCラジオの番組で次のように述べました。
ペスコフ氏は「信じてほしい、ロシア市場での存在感を取り戻すことに関心を示している企業は一つではない」とし、エクソンモービル以外にも複数の企業がロシアへの再参入を模索しているとの見方を示しました。
これは、2022年以降にロシアから撤退した欧米企業の一部が、状況を見極めながら再びビジネスの可能性を探り始めていることを示唆する発言だと受け止められます。
エクソンとロスネフチの「法的拘束力のない」暫定合意
関係筋の話として、エクソンモービルとロシア国営のエネルギー企業ロスネフチが、非拘束的な初期合意(レター・オブ・インテントのような位置づけ)に署名したと伝えられています。
この合意の狙いは、エクソンモービルが2022年にロシア事業で計上した46億ドルの減損(評価損)の一部または全部を取り戻すことを支援することにあります。エクソンモービル側は、この報道についてコメントを控えています。
ロイター通信などの報道によると、この暫定合意は、米ロ間の商業関係を修復するための「試験的な一歩」とみなされています。ただし、
- ロシアがウクライナとの和平に向けて目に見える前進を遂げること
- 米国と欧州連合(EU)が対ロ制裁を緩和すること
といった条件が整わないかぎり、より踏み込んだ進展は見込みにくいとの見方も示されています。
2022年の撤退から約3年、何が変わったのか
多くの欧米企業は、ロシアが2022年2月にウクライナに軍を送り込んだ直後、相次いでロシア市場からの撤退を表明しました。エクソンモービルもその一社で、エネルギー開発プロジェクトからの撤退に伴い、大きな減損を計上しています。
それから時間がたち、現在は次のような要素が企業の判断を複雑にしています。
- エネルギー価格や供給をめぐる不確実性
- ロシア市場でのビジネス機会の大きさ
- 制裁や世論を含む政治的リスク
今回報じられたエクソンモービルとロスネフチの動きは、こうしたリスクとリターンのはざまで、企業がどこまで踏み込むのかを試す「試金石」ともいえます。
プーチン大統領のメッセージとサハリン1
ウラジーミル・プーチン大統領はこれまで、政治的な圧力を理由にロシアから撤退した企業について、「ロシアはいつでも彼らの復帰を歓迎する」との姿勢を繰り返し示してきました。
報道によれば、プーチン大統領は先月、エクソンモービルを含む海外投資家が、極東での大規模油ガス田プロジェクト「サハリン1」の持ち分を取り戻せる可能性を開く大統領令に署名しました。
この動きは、
- ロシア側が海外資本の復帰に前向きであることをアピールする狙い
- 撤退した企業に対し、「条件次第では戻る道もある」と示すメッセージ
といった意味合いを持つとみられます。
政治はブレーキか、それともアクセルか
一方で、政治の動きは必ずしもビジネス加速の追い風になっていません。報道によると、ドナルド・トランプ米大統領は前日、対ロシア政策に関する発言のトーンをやや硬化させたと受け止められています。
ロシアのウクライナでの軍事行動をめぐる情勢や、米国・EUの制裁方針は依然として不透明です。企業の側も、
- 将来的な制裁強化・緩和の可能性
- 自社の評判や投資家からの評価
- 長期的なエネルギー戦略との整合性
といった点を慎重に見極める必要があります。
私たちがこのニュースから考えたいこと
今回のエクソンモービルとロスネフチの暫定合意、そしてクレムリンの発言は、単なる一企業の判断を超えた意味を持っています。そこには、
- 安全保障と経済の間で揺れる国際ビジネスの現実
- エネルギー安全保障と脱炭素のはざまで模索される各国の戦略
- 制裁という手段の中長期的な影響
といったテーマが重なっています。
今後、ロシアと欧米企業の関係がどこまで修復に向かうのか。そのペースは、企業の思惑だけでなく、ウクライナ情勢と各国の政治判断に大きく左右されることになりそうです。
Reference(s):
Kremlin: Exxon not alone as others also keen to return to Russia
cgtn.com








