イラン大統領、国連で「核兵器追求せず」 英仏独の制裁復活を批判
イラン大統領、国連で核兵器開発否定 E3の制裁復活を批判
イランのマスード・ペゼシュキアン大統領が国連総会で、自国は核兵器を追求していないと改めて強調し、フランス・イギリス・ドイツ(E3)による国連制裁の復活を目指す動きを「不当」と批判しました。イラン核合意(JCPOA)の行方をめぐり、国際社会の溝が再び浮き彫りになっています。
イラン大統領「核兵器は宗教的にも認められない」
イラン国営通信IRNAによると、ペゼシュキアン大統領はニューヨークで開かれた国連総会一般討論の演説で、イランは核兵器を保有しないという立場を明確にしました。
大統領は、イランはこれまで核爆弾の保有を目指したことはなく、今後も目指すことはないと述べたうえで、その根拠として、最高指導者や宗教指導者が核兵器を禁じる宗教的見解(勅令)を示していることを挙げました。核問題をめぐるイランの主張は、単なる外交的な言明ではなく、宗教上の原則にも基づいていると強調したかたちです。
英仏独(E3)の「制裁スナップバック」を批判
一方でペゼシュキアン大統領は、イギリス・フランス・ドイツ(E3)が、イランに対する国連制裁の復活を主張していることを強く批判しました。これら3か国は、2015年のイラン核合意(JCPOA)の当事国でもあります。
E3は、イランが合意上の義務を履行していないと主張し、8月28日に国連安全保障理事会に通知することで、核合意に盛り込まれた「スナップバック」と呼ばれる仕組みを発動したとしています。この仕組みは、イランの「不履行」が確認された場合、国連制裁を自動的に復活させるためのものです。
これに対しペゼシュキアン大統領は、E3の対応は「不当」であり、「かつて多国間外交の最大の成果」として評価していたJCPOAを、今になって「破壊」しようとしていると非難しました。
2015年のイラン核合意(JCPOA)とは
イラン核合意(JCPOA)は2015年、イランとイギリス、フランス、ドイツ、中国、ロシア、アメリカの6か国との間で結ばれた枠組みです。合意の柱は、イランが核開発活動を制限する代わりに、国際社会が経済制裁を緩和・解除するという「制裁と引き換えの制限」です。
しかし、この枠組みはその後、大きく揺らぎました。アメリカは2018年に一方的に合意から離脱し、対イラン制裁を再開しました。これに反発したイランは、合意で約束していた義務の一部を順次縮小し、履行を後退させてきました。
今回のE3による「スナップバック」主張は、このねじれた状況がさらに深刻化していることを示しています。合意の維持を掲げてきたヨーロッパ側が制裁復活に動き、イラン側はそれを「合意破壊」と受け止めている構図です。
なぜ今、イラン核問題がまた焦点に?
イラン核問題は、核拡散(核兵器を持つ国が増えること)だけでなく、中東地域の安全保障やエネルギー市場にも直結するテーマです。今回のやり取りから見えてくるポイントを整理すると、次のようになります。
- イランは宗教的な理由も含め「核兵器は求めない」と主張し、自国の核計画は平和利用だと強調している。
- 一方でE3は、イランが2015年の合意内容を守っていないとして、国連制裁の復活を試みている。
- アメリカの離脱に端を発した合意の空洞化が続くなか、合意を「守りたい側」と「破壊していると感じる側」が互いに相手を非難し合う状態が続いている。
制裁が復活すれば、イラン経済への圧力が強まるだけでなく、原油市場や周辺地域の緊張にも影響が及ぶ可能性があります。国連の場で交わされるメッセージが、どこまで緊張緩和につながるのか、それとも溝を深めてしまうのかが注目されます。
私たちはこのニュースをどう受け止めるか
今回の発言と対立は、「安全保障」と「外交の信頼」のバランスをどう取るのかという、より普遍的な問いも投げかけています。
- 核兵器をめぐる約束事が揺らいだとき、どのように信頼を再構築できるのか。
- 制裁という手段は、本当に相手の行動を変えることにつながるのか。
- 宗教的・倫理的な理由による「核兵器否定」のメッセージを、国際社会はどう評価すべきか。
ニュースのヘッドラインだけでは見えにくいのは、こうした問いの背景にある、各国の立場や歴史的な経緯です。イランとE3の応酬をきっかけに、核問題と制裁外交のあり方をあらためて考えてみることが求められていると言えます。
Reference(s):
Iran denies nuclear arms pursuit, criticizes E3 sanctions move
cgtn.com








