国連で気候行動ハイレベル会合 COP30へ2035年新計画と「五つの課題」
ニューヨークの国連本部で、気候変動対策をテーマにしたハイレベルの特別会合が開かれています。パリ協定後の進捗を確認しつつ、2035年に向けた新たな削減計画と、COP30に向けた世界共通の課題が議論されています。
国連ハイレベル会合とは
水曜日、ニューヨークの国連本部で気候行動に関する特別なハイレベル会合が開催されています。この会合は、国連総会の一般討論の傍らで行われ、各国の首脳や閣僚級が新たな気候行動計画を提示するための場となっています。
グテレス国連事務総長は、気候危機のスピードと規模が増すなかで、この「気候サミット」を通じて各国が新しい国別の気候行動計画を示し、クリーンエネルギーの新時代の利益を生かすべきだと呼びかけました。
パリ協定後の10年とNDCの現状
グテレス事務総長は冒頭のあいさつで、パリ協定のおかげで、各国が現在の国別削減目標(NDC)を完全に実施した場合、予測される世界の気温上昇がこの10年で摂氏4度から3度未満に下がったと説明しました。
NDCは、各国が自主的に定める温室効果ガス削減や気候対策の計画です。事務総長は、一定の前進はあったものの、気温上昇を抑えるには現行の取り組みだけでは不十分だとの認識を示し、さらなる行動を求めました。
2035年までの「新計画」に求められるもの
グテレス事務総長は、「今こそ、2035年を見据えた新たな計画が必要だ」と強調しました。その計画には、次のような条件が求められるとしています。
- 世界の気温上昇を1.5度に抑える水準と整合した、大幅かつ迅速な排出削減
- すべての排出源と経済セクターを対象とする包括的な計画であること
- 世界全体で「公正なエネルギー転換」を加速させること
単に排出量を減らすだけでなく、エネルギー転換の過程で取り残される人や地域を生まない仕組みづくりが課題となっています。
中国とインドの前倒し達成を評価
事務総長は、各国の前向きな動きとして中国とインドの取り組みを紹介しました。中国については、2030年までに達成するとしていた風力・太陽光発電の目標を、予定より6年早く達成したと評価しました。
またインドは、電力設備容量の50%を非化石燃料によってまかなうという目標を、5年早く実現したと説明しました。こうした事例を挙げながら、再生可能エネルギーの拡大が現実に進んでいることを強調し、他の国々にも行動の加速を促しました。
COP30に向けた「五つの重点分野」
グテレス事務総長は、ブラジルで開かれるCOP30を、世界が進路を立て直すための節目と位置づけました。そのうえで、この会議で「信頼に足る世界的な対応計画」をまとめる必要があるとし、取り組むべき五つの重点分野を示しました。
1. エネルギー:化石燃料依存からの加速的転換
今も世界のエネルギー供給は化石燃料が支配的ですが、クリーンエネルギーへの転換を「一気に加速させる」必要があると指摘しました。再生可能エネルギーの導入や省エネの強化を通じて、化石燃料への依存を短期間で減らすことが求められます。
2. メタン:今十年での大幅削減
メタンは、二酸化炭素よりも強力な温室効果を持つ気体です。事務総長は、この十年のうちにメタン排出を大幅に削減することが不可欠だと訴えました。エネルギー産業や農業など、主要な排出源への対策が焦点となります。
3. 森林:最大の炭素吸収源を守る
森林は、二酸化炭素を吸収する自然の「炭素の貯蔵庫」です。グテレス事務総長は、自然が持つ最大級の炭素吸収源である森林の破壊を止めなければならないと強調し、森林保全と持続可能な利用の重要性を訴えました。
4. 重工業と大型輸送:技術革新の活用
鉄鋼やセメントなどの重工業分野、そして大型輸送の分野では、すでに新たな技術によって排出削減が進みつつあると指摘しました。そのうえで、こうした技術革新をさらに広げ、排出削減のスピードを上げる必要があると呼びかけました。
5. 気候正義:途上国支援と公正さの確保
五つ目の柱として掲げたのが「気候正義」です。気候変動の影響を最も強く受けるのは、多くの場合、排出量の少ない開発途上国や脆弱な地域です。事務総長は、負担の配分や支援のあり方に公正さを確保することが不可欠だと訴えました。
途上国への資金支援を「緊急の課題」に
グテレス事務総長は、開発途上国がクリーンエネルギーの恩恵を生かし、人々の命と経済を守るためには、「資金を解き放つ」ことが急務だと述べました。
再生可能エネルギーへの投資や、災害対策・インフラ整備などの気候適応策に必要な資金へのアクセスを大幅に拡大することが重要だとし、国際社会に対し迅速な行動を求めています。
COP30までに「次の10年」を決める新NDCを
今回の国連ハイレベル会合は、気候危機の進行スピードと影響の広がりを踏まえ、これからの10年をどう設計するかを話し合う場にもなっています。
事務総長は、遅くともブラジル北部の都市ベレンで11月に予定されているCOP30までに、パリ協定のすべての参加国が「次の10年の大胆な行動」を反映した新たな国別削減目標(NDC)を提出する必要があると強調しました。
国連本部で開かれている今回の気候サミットは、各国がこうした新しいNDCの土台となる考え方や方針を持ち寄り、「クリーンエネルギーの新時代」の利益をどう共有していくのかを探るスタートラインと言えそうです。
Reference(s):
cgtn.com








