再生型農業が国際ニュースに カリフォルニア発の持続可能な食の挑戦 video poster
2025年のClimate Weekで再生型農業が大きな焦点となり、米国カリフォルニア州の農家の取り組みが国際ニュースとして注目されています。本記事では、その背景と意味を整理します。
Climate Weekで浮かび上がった再生型農業
気候変動対策をテーマにした国際的なイベントであるClimate Weekでは、各国・各地域の政府や企業、市民団体が議論を交わします。2025年の会合では、とくに再生型農業が重要なテーマの一つになりました。
再生型農業は、土壌の健康を回復し、食料不安を和らげる手段として位置づけられています。気候変動が進むなかで、農業そのものを持続可能な仕組みに変えていこうという発想です。
中国を拠点とする国際メディアCGTNのエディズ・ティヤンザン記者は、ロサンゼルスから、カリフォルニアの農家が再生型農業に取り組む現場の様子を伝えています。
再生型農業とは何か
再生型農業とは、単に環境への悪影響を減らすだけでなく、土壌や生態系をより良い状態に再生していくことを目指す農業の考え方です。慣行的な農業に比べて、土の中の生命を守り、長期的な生産性を高めることに重点を置きます。
土壌の健康を取り戻す
このアプローチの中心にあるのが、土壌の健康です。土の中の微生物や有機物が豊かであれば、作物は少ない投入資源でも育ちやすくなり、干ばつや豪雨などの極端な気象にも耐えやすくなります。
畑をできるだけ裸にせず、土を守る工夫をすることや、単一の作物だけを栽培し続けないことなどが、再生型農業の代表的な考え方として挙げられます。
食料不安の軽減につなげる
再生型農業が注目されるもう一つの理由は、食料不安への対応です。気候変動の影響で収穫量が年ごとに大きく変動する地域が増えるなか、土壌を健康に保つことは、安定した食料供給につながると期待されています。
土壌が豊かであれば、同じ土地で長期的に生産を続けることができ、肥料や農薬への過度な依存を減らすことにもつながります。こうした点が、世界各地で再生型農業が議論される背景にあります。
カリフォルニアが「実験場」に
こうした流れの中心の一つとなっているのが、米国カリフォルニア州です。カリフォルニアは同国最大級の農業地帯でありながら、干ばつや熱波、豪雨といった極端な気象にたびたび直面してきました。
そのため、持続可能で気候変動に強い農業への転換は、この地域にとって切実な課題です。現地から伝えられた報道によると、州内の多くの地域で再生型農業の取り組みが着実に広がりつつあります。
農家が期待するメリット
カリフォルニアの農家にとって、再生型農業への挑戦には次のような狙いがあります。
- 極端な気象があっても、収穫の安定性を高める
- 水や肥料などの投入コストを長期的に抑える
- 土壌の劣化を防ぎ、土地の生産力を将来世代へ引き継ぐ
こうした取り組みは、地域の農業を守るだけでなく、気候変動時代における世界の食料供給モデルを試す場にもなっています。
科学者が鳴らす「スピードアップ」の警鐘
一方で、専門家や科学者たちは、再生型農業などの気候に強い農業手法の導入スピードが、まだ十分ではないと警鐘を鳴らしています。世界の食料安全保障を守るには、より速いペースでの転換が必要だという見方です。
なぜ急がなければならないのか
警鐘の背景には、次のような懸念があります。
- 気候変動による干ばつや洪水などのリスクが、すでに各地で高まっている
- 土壌の劣化が進むと、回復に長い時間がかかる
- 農業は国境を越えてつながっており、一地域の不作が世界の市場や価格に波及する
再生型農業が「よいアイデア」として語られる段階から、「当たり前の選択肢」として広く採用される段階へ、どれだけ早く移行できるかが問われています。
日本からこのニュースをどう読むか
今回伝えられたカリフォルニアの事例は、遠い地域の話であると同時に、日本の私たちの食卓ともつながっています。国際的な食料市場を通じて、世界のどこかで起きる不作や価格変動は、日本の小売価格や外食産業にも影響を与えます。
土壌の健康や食料安全保障といったテーマは、一見すると専門的に感じられますが、気候変動の時代に何を食べ、どのような農業を支えていくのかという、生活に直結する問いでもあります。
ニュースをきっかけに考えたいこと
再生型農業をめぐる議論から、次のような問いを自分ごととして考えることができます。
- 気候変動の影響を受けやすい地域の農業を、世界はどう支えていくべきか
- 短期的な収益と、長期的な土壌の健康をどう両立させるか
- 消費者として、どのような情報やラベルを手がかりに、より持続可能な選択をしていくか
ロサンゼルスからの報道が映し出すのは、一つの州の農家の試みであると同時に、世界全体が直面する課題の縮図でもあります。再生型農業というキーワードは、これからの国際ニュースを読み解く重要なヒントになりそうです。
Reference(s):
Farmers explore sustainability benefits of regenerative agriculture
cgtn.com








