国連気候サミットで習近平国家主席がビデオ演説 中国の新気候目標とは
2025年9月24日、国連気候サミットで中国の習近平国家主席がビデオ演説を行い、新たな温室効果ガス削減目標(NDC)を発表しました。パリ協定発効から10年の節目に、中国がどのような気候変動対策を掲げたのか、日本語で整理します。
パリ協定10年目の節目に示された「3つのメッセージ」
習近平国家主席は、2025年がパリ協定の10周年であり、各国が新たな国別削減目標(NDC)を提出する重要な年だと位置づけました。そのうえで、今後の地球温暖化対策に向けて、次の3点を強調しました。
- 1. 自信を揺るがせないこと
グリーンで低炭素な転換は「時代の大きな流れ」であり、一部の国が逆行する動きを見せていても、国際社会は方向性を見失うべきではないと述べました。各国がNDCの策定と履行を着実に進めることで、地球規模の気候ガバナンスにより多くの「ポジティブなエネルギー」を与える必要があると呼びかけました。 - 2. 責任を果たすこと
気候変動対策では、公平性と公正さを重視し、開発途上国の「発展する権利」を十分に尊重すべきだと指摘しました。世界のグリーン転換は、南北格差を広げるのではなく縮める方向で進むべきであり、各国は「共通だが差異ある責任」の原則を守る必要があるとしました。特に先進国には、率先して排出削減義務を履行し、途上国に対してより多くの資金・技術支援を行う責任があると強調しました。 - 3. 協力を深めること
グリーン技術とグリーン産業について、国際的な協調を強化し、世界的なグリーン生産能力の不足に対応するべきだと述べました。高品質なグリーン製品が世界で自由に流通し、その恩恵が世界の隅々にまで行き渡るようにすることが重要だとしています。
中国の新たなNDC:2035年に向けた数値目標
演説の中で習近平国家主席は、中国の新しいNDC(国別削減目標)を具体的な数値とともに公表しました。主なポイントは次のとおりです。
- 温室効果ガス排出の削減
2035年までに、中国全体のネット温室効果ガス排出量を排出ピーク時から7〜10%削減し、可能な限りそれ以上の削減を目指すとしました。 - 非化石エネルギーの拡大
一次エネルギー消費に占める非化石燃料の割合を、2035年までに30%超に引き上げる目標を掲げました。 - 風力・太陽光発電の大幅増強
風力発電と太陽光発電の設備容量を、2020年比で6倍以上に拡大し、合計で3,600ギガワット(GW)を目指すとしています。 - 森林資源の増加
森林の蓄積量を240億立方メートル超に拡大し、吸収源としての役割を高める方針を示しました。 - 新エネルギー車を「主流」に
新車販売において、新エネルギー車(電気自動車など)を主流とし、脱炭素型のモビリティへの転換を加速させるとしています。 - 全国排出量取引市場の拡大
中国が運用する全国カーボン排出量取引市場について、対象を主要な高排出部門へと広げ、市場メカニズムを通じた削減を強化する計画です。 - 気候適応型社会のほぼ確立
2035年までに、気候変動の影響に備えた「気候適応型社会」を基本的に築き上げると述べました。
「最善の努力」としての目標 求められる国内努力と国際環境
習近平国家主席は、これらの目標はパリ協定の要請にもとづく「中国としての最善の努力」を示したものであると位置づけました。その達成には、中国自身による粘り強い取り組みとともに、「支えとなる開かれた国際環境」が不可欠だとしています。
中国は、これらのコミットメントを実行する決意と自信があると強調したうえで、各国に対し、人と自然の調和がとれた世界というビジョンの実現に向けて行動を一段と強化し、私たちの「共通の家」である地球を守るよう呼びかけました。
国際ニュースとしての意味合い:南北問題とグリーン転換
今回の国連気候サミットでの演説は、単なる一国の長期目標の発表にとどまらず、気候変動と南北問題(先進国と開発途上国の格差)をどのように両立させるかという問いかけでもあります。
習近平国家主席が強調したポイントは、次のように整理できます。
- グリーン転換は世界共通の流れであり、その流れから外れないことが、各国の政策一貫性や投資判断にも影響する。
- 先進国が責任を引き受け、資金・技術を通じて途上国を支えることで、南北格差を広げない形での脱炭素を目指すべきだという視点。
- グリーン技術や製品の自由な流通を重視し、閉鎖的ではなくオープンな国際協力を通じて、世界全体で生産能力を高めていくという提案。
日本を含む各国にとっても、エネルギー政策や産業政策を考えるうえで、今後の国際交渉の方向性を示す材料の一つとなる演説だと言えます。
これから何が注目ポイントか
2025年は、多くの国が新しいNDCを提出する重要な年です。中国の数値目標とメッセージは、今後の国連気候交渉や各国の政策設計にどのような影響を与えるのかが注目されます。
今後は、
- 2035年に向けて、各目標がどのような国内政策として具体化されていくのか
- 先進国と開発途上国の間で、資金・技術支援をめぐる議論がどう進むのか
- グリーン技術や製品の国際協力がどの程度拡大していくのか
といった点が、国際ニュースとしても継続的なフォローが必要になってきます。読者のみなさんにとっても、気候変動と経済、技術、国際関係がどのように結びついていくのかを考えるきっかけとなるでしょう。
Reference(s):
President Xi Jinping delivers video remarks at the UN Climate Summit
cgtn.com








