ガザ人道危機で停戦要求 国連総会で各国首脳が相次ぎ発言
国連総会第80会期の一般討論2日目となる水曜日、各国の首脳らがガザ地区の深刻な人道危機に強い懸念を示し、即時停戦と人質の解放、二国家解決に向けた政治プロセスの再開を訴えました。一方でイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相はパレスチナ国家の樹立を認めない姿勢を改めて示し、国際社会との溝が浮き彫りになっています。
国連総会で高まる停戦と二国家解決への期待
国連総会の一般討論では、国連加盟国の代表であるおよそ150人の国家元首や政府の長が演説し、ガザ地区の人道状況と停戦の必要性が主要な議題のひとつとなりました。多くの指導者が、イスラエルとパレスチナが共存する二国家解決の構想に改めて言及しています。
ケニアのウィリアム・ルト大統領は、ガザで進行する人道的な惨状に深刻な懸念を示し、恒久的な停戦と全ての人質の無条件解放を呼びかけました。そのうえで、イスラエルとパレスチナが「平和と安全のうちに、肩を並べて生きる」ことを可能にする二国家解決に向け、信頼できる政治プロセスを立ち上げるべきだと訴えました。
ガイアナのモハメド・イルファーン・アリ大統領は、2023年10月7日のハマスによるイスラエル攻撃を非難し、全ての人質の即時かつ無条件の解放を求めました。同時に、イスラエルの行動はもはや正当防衛の名目を保てないと指摘し、「これは戦争犯罪だ」と強い言葉で批判しました。さらに、現在見られるのは「戦闘ではなく大量虐殺であり、パレスチナの男女と子どもたちを系統的に殺害し、追い立てている」と述べました。
スペインのフェリペ6世国王も、ガザにおけるイスラエル政府の行動に深い痛みを表明しました。国王は、ハマスによる2023年10月7日の攻撃を非難しつつも、「この虐殺を今すぐ止めよ。これ以上の死者は要らない」と訴え、イスラエル政府に対し、ガザだけでなくヨルダン川西岸地区でも国際人道法を完全に順守するよう求めました。さらに、人間の尊厳は交渉の対象になり得ないと述べ、力による支配ではなく、ルールに基づく国際秩序こそが最も重要な防波堤だと強調しました。
エストニアのアラル・カリス大統領は、ガザで起きていることはあらゆるレッドラインを越えてしまったと述べ、暴力の連鎖を断ち切るため、二国家を最終目標とする包括的な政治プロセスの必要性を訴えました。
フィンランドのアレクサンデル・スタブ大統領は、ガザの市民が計り知れない苦しみに直面していると述べ、「深刻化する人道危機は、もはや耐えがたい水準に達しており、国際システムの失敗を象徴している」と警鐘を鳴らしました。そのうえで、即時停戦、人道支援物資の安全かつ妨げのない搬入、全ての人質の解放を求めました。
続くイスラエル軍の攻勢とガザ市民の避難
一方、ガザ地区ではイスラエル軍の軍事作戦が続き、木曜日の現地時間には、過去24時間で170か所を空爆するなど、ガザ地区全域で攻撃を強めました。映像には、ガザ市南西部に展開する戦車や、激しい砲撃に追われて避難する住民の姿が映し出されました。
イスラエルの複数のメディアは治安筋の話として、人口およそ100万人とされてきたガザ市から、すでに約70万人の住民が避難したと伝えました。
イスラエル軍は声明で、今回の攻撃がテロリストや軍事施設、武器庫、武装組織のインフラ施設を標的にしたものだと主張しました。一方で、ガザの保健当局によりますと、直近の24時間で少なくとも24人が死亡したとされています。
イスラエル軍はまた、地上部隊が戦闘員を殺害し、兵士への待ち伏せに使われていた拠点など、ハマスのインフラを破壊したと説明しました。別の事案として、ハマス側がイスラエルの戦闘ヘリコプターを対空兵器で撃ち落とそうと試みたものの、命中せず、けが人や被害は出なかったとイスラエル軍は明らかにしました。
ネタニヤフ首相「パレスチナ国家は認めない」
国連総会で演説するためニューヨークに向かう前に、ネタニヤフ首相は記者団に対し、自身の演説では「ハマスを非難する代わりに、イスラエルの中心部に彼らの国家をつくろうとする指導者たち」を批判する考えを示し、それは起こらないと述べました。パレスチナ国家の樹立を認めない姿勢を重ねて強調した形です。
さらにネタニヤフ首相は、ワシントンで米国のドナルド・トランプ大統領と会談すると明らかにしました。トランプ氏の再選後では4回目の会談となり、ガザでの戦闘や、中東各地でのイスラエルによる最近の軍事攻撃が生み出したとされる地域的な機会について協議するとしています。
問われる国際社会の責任
ガザ保健当局によりますと、2023年10月以降のイスラエルの攻撃により、これまでに少なくとも6万5419人のパレスチナ人が死亡したと報告されています。フィンランドのスタブ大統領が国際システムの失敗と表現したように、人道危機の深刻さは国連や各国政府の対応能力が問われる局面となっています。
国連総会の場では、停戦の実現と人道支援の拡充、そして二国家解決に向けた政治プロセスの再構築を求める声が相次ぎました。しかし、現地では軍事作戦と住民の避難が続いていると報じられ、イスラエル指導部はパレスチナ国家の樹立に依然として否定的な立場をとっています。ガザの人々の生活と地域の安定、そして国際秩序の信頼をどう守るのか。今後の外交交渉と国連の役割が一段と注目されています。
Reference(s):
cgtn.com








