アッバス議長「ガザ戦争は世紀最悪級の悲劇」 国連でイスラエルを非難
パレスチナ自治政府のマフムード・アッバス議長が国連総会でのビデオ演説で、イスラエルによるガザでの戦争を「20世紀と21世紀で最も恐ろしい人道悲劇の一つ」と非難しました。ガザ戦争を「ジェノサイドの戦争」と位置づけつつ、ハマスの攻撃も明確に批判し、ガザ統治の行方と二国家解決の可能性があらためて問われています。
国連総会で「ジェノサイドの戦争」と非難
2025年の国連総会一般討論でアッバス議長は、ビデオ演説を通じて「ガザ地区のパレスチナの人々は、ほぼ2年にわたりジェノサイド、破壊、飢餓、追放に直面している」と述べました。
アッバス議長は、ガザで続く戦闘について「イスラエル占領軍によるジェノサイドの戦争だ」と主張。これまでに22万人以上のパレスチナ人が殺害または負傷し、その多くが非武装の子どもや女性、高齢者だと強調しました。
「世紀最悪級の人道悲劇」という位置づけ
アッバス議長は、ガザでの戦争による被害は「20世紀と21世紀の歴史の中でも、最も恐ろしい人道的悲劇の章として国際社会の記憶に刻まれるだろう」と訴えました。
ガザ保健当局によると、2023年10月以降のイスラエルのガザ地区への攻撃で、少なくとも6万5,419人のパレスチナ人が死亡しています。アッバス議長は、こうした犠牲の規模こそが、国際社会が今行動すべき理由だと訴えかけています。
「ジェノサイド」という表現は、特定の集団を意図的に破壊しようとする行為を指す、国際法上でも最も重い言葉の一つです。アッバス議長はあえてこの言葉を用いることで、国際社会に対し、ガザで起きていることを人道危機としてではなく、歴史的な犯罪として認識するよう求めていると言えます。
ヨルダン川西岸の入植拡大と二国家解決への懸念
演説では、ガザだけでなくヨルダン川西岸の情勢にも強い懸念が示されました。アッバス議長は、イスラエル政府による入植地拡大を厳しく批判し、「二国家解決」を脅かすものだと警告しました。
アッバス議長は、ベンヤミン・ネタニヤフ首相が掲げる「グレーター・イスラエル」構想を「全面的に拒否し、強く非難する」と述べ、西岸での入植者による暴力行為を「テロ」と表現しました。占領と入植が続く限り、持続的な和平は成り立たないというメッセージです。
ハマスの10月7日攻撃も明確に批判
一方でアッバス議長は、2023年10月7日にハマスが行った攻撃についても「我々はこれを拒否する」と述べました。この行為はパレスチナの人々や、その自由と独立への正当な闘いを代表するものではないと強調しました。
この発言には、国際社会に対し「パレスチナ人=ハマス」という単純な図式で見ないでほしいという意図がにじみます。ガザ戦争に対する怒りと、人質事件や民間人攻撃への距離の取り方、その両方を示そうとする複雑なメッセージとも受け止められます。
ガザ統治の行方:自治政府は「全責任を負う用意」
アッバス議長はさらに、ガザ地区は「パレスチナ国家の不可分の一部」であり、パレスチナ自治政府はガザの統治と治安について「全面的な責任を負う用意がある」と表明しました。
そのうえで、「ハマスが統治に関与する余地はない」と述べ、戦後ガザの政治体制からハマスを排除する姿勢を明確にしました。ガザ戦後の統治をめぐっては、地域の安定と再建の行方を左右する重要な論点となっています。
同じ日、イスラエル軍はガザ市中心部への地上侵攻をさらに進め、ネタニヤフ首相はニューヨークでの国連総会出席を前に「パレスチナ国家の樹立を認めない」と改めて表明しました。双方の立場の隔たりは依然として大きいままです。
なぜ今回の演説が重要か
今回のアッバス議長の演説は、ガザ戦争の行方と中東和平の枠組みをめぐって、いくつかの重要なポイントを浮かび上がらせています。
- ガザで続く戦争をめぐり、「ジェノサイド」という最も強い表現が用いられたこと
- パレスチナ自治政府が、戦後のガザ統治に復帰する強い意欲を示したこと
- イスラエル側の「パレスチナ国家を認めない」という姿勢とのギャップが、改めて明確になったこと
ガザでの戦闘が長期化する中で、停戦のあり方だけでなく、その後にどのような政治的枠組みを築くのかが問われています。国連総会という場で発せられた今回のメッセージは、国際社会がどのように責任を分かち合い、持続可能な和平への道筋を描くのかを考えるきっかけになりそうです。
Reference(s):
Abbas: Israel's Gaza war among most horrific of 20th, 21st centuries
cgtn.com








