国連安保理がイラン制裁緩和延長を否決 中国が深い遺憾と対話継続を強調
国連安全保障理事会で、イラン核合意に基づく制裁緩和を延長する決議案が否決され、中国代表が深い遺憾の意を表明しました。中東の安定や国際秩序に直結するこの問題で、中国がどのような立場と解決の原則を示したのかを整理します。
イラン制裁緩和の延長案、安保理で否決
国連安全保障理事会は金曜日、2015年のイラン核合意に基づく制裁緩和を6か月延長する決議案を採決しましたが、必要な賛成票を得られず否決されました。
決議案は中国とロシアが共同で提出したもので、内容は次の通りでした。
- 2015年のイラン核合意である包括的共同行動計画(JCPOA)の効力を、翌年4月まで6か月延長すること
- 核合意を支持した国連安保理決議2231の延長
- イランと国際原子力機関(IAEA)の対話と関与の継続を促すこと
採決の結果は、賛成4か国、反対9か国、棄権2か国でした。採択には9か国以上の賛成が必要なため、決議案は不成立となりました。その結果、核合意の下で解除されていたイランへの制裁は、国連による説明の通り、翌土曜の夜から再発動されました。
中国代表「深い遺憾」 地域危機への懸念も
中国の耿爽・国連次席大使は、決議案が採択されなかったことについて「深い遺憾」を表明しました。そのうえで、イラン核問題の行方は中東地域の平和と安定に直結していると強調しました。
耿爽氏は、イラン核問題が行き詰まり「崩壊」すれば、新たな地域安全保障上の危機を引き起こし、国際社会の共通利益に反すると警告しました。これは、今回の否決を一時的な外交上の駆け引きではなく、より長期的な地域秩序のリスクとして捉える視点です。
中国が示した3つの原則
耿爽氏は、イラン核問題の解決に向けた「3つの原則」を提示しました。いずれも、対立よりも対話を優先し、多国間の枠組みを維持しようとする立場を反映しています。
原則1:地域の平和と安定を守る
第一の原則は、中東を含む地域の平和と安定を最優先に考えることです。制裁の再発動や軍事的緊張の高まりは、エネルギー市場を含む世界全体に波及し得るため、安定維持が重要だとする考え方です。
原則2:対話と交渉による解決
第二の原則は、対話と交渉を通じて問題を解決することです。耿爽氏は、イラン核問題は軍事力ではなく外交によってのみ持続的に解決できるとし、関係国に冷静な対話の継続を呼びかけました。
原則3:核合意を「文言」と「精神」の両面で尊重
第三の原則は、JCPOAを文書としての「文言」だけでなく、その背後にある「精神」も含めて守ることです。単に合意の細部をなぞるのではなく、緊張緩和と信頼構築という合意の目的を尊重すべきだ、という立場が示されています。
米国と欧州へのメッセージ
安保理での発言の中で、中国は特に米国と欧州諸国に対して具体的な呼びかけを行いました。
- 米国に対して:イランが提案しているとされる対話再開の呼びかけに応じ、武力行使に頼らないこと
- 欧州諸国に対して:制裁による圧力に依存するのではなく、実質的な外交努力に軸足を移すこと
こうしたメッセージには、制裁と圧力一辺倒のアプローチではなく、多国間協調と交渉を重視する外交スタイルを維持してほしいという意図がにじみます。
中国の姿勢:客観性と「公正な立場」を強調
耿爽氏は、国連安保理の一員として、中国が国際の平和と安全の維持に引き続き取り組む姿勢を強調しました。また、中国は「客観的で公正な立場」を堅持し、イラン核問題の包括的な政治解決に向けて、関係国と協力を続ける用意があると表明しました。
これは、特定の陣営に立つのではなく、合意の維持と地域安定を優先する仲介役としての役割を自らに課しているとも読めます。
今回の否決が示すもの:読者が考えたいポイント
イランへの制裁緩和延長が否決され、解除されていた制裁が再び発動されたことは、核合意の将来と中東情勢にとって大きな意味を持ちます。今後を考えるうえで、次のような論点が浮かび上がります。
- 制裁の再発動は、イランと国際社会の信頼関係をどこまで損なうのか
- 軍事的緊張よりも対話と交渉を優先する枠組みを維持できるのか
- 多国間合意をどう守り、更新していくべきか
中国は今回、安保理での決議案提出と発言を通じて、対話と合意維持を重視する姿勢を改めて打ち出しました。読者の皆さんは、制裁と対話のどちらに重心を置くべきだと考えるでしょうか。また、日本やアジアの安全保障、エネルギー市場への影響という視点から、この問題をどう捉えるかも、今後の重要な論点になりそうです。
Reference(s):
China voices regret over UNSC failure to extend Iran sanctions relief
cgtn.com








