韓国の李在明大統領と石破首相が釜山で首脳会談 シャトル外交が本格再開
2025年の東アジア外交のなかで注目される日韓関係。その中核となる首脳会談が、今年秋、韓国南東部の港湾都市・釜山で行われました。韓国のイ・ジェミョン(Lee Jae-myung)大統領と日本のシゲル・イシバ(Shigeru Ishiba)首相は、シャトル外交の本格的な再開と、地域・世界の課題に対する協力強化を確認しました。
釜山で行われた日韓首脳会談の概要
大統領府によると、イ大統領は火曜日、釜山でイシバ首相と首脳会談を行いました。場所は韓国南東部の港湾都市・釜山で、日韓の首脳が直接顔を合わせて議論する場となりました。
カン・ユジョン(Kang Yu-jung)大統領報道官は記者会見で、両首脳が次のようなテーマについて、幅広く、かつ踏み込んだ意見交換を行ったと説明しました。
- 両国間の実質的な協力を一層強化する方法
- 地域の課題や地球規模の課題に対応するうえでの協力の必要性
国際ニュースとしても、この会談は日韓関係だけでなく、東アジア全体の安定や協力の方向性を占う重要な局面と言えます。
約1カ月間隔で往来 再開したシャトル外交
イ大統領とイシバ首相は、いわゆるシャトル外交の再開を歓迎しました。イシバ首相の今回の釜山訪問は、イ大統領が2025年8月下旬に日本を訪問してから約1カ月後の往来となりました。
両首脳は、次の点で認識を共有したとされています。
- 日韓関係は互いの安全保障・経済・社会にとって極めて重要であること
- 首脳同士が定期的に相手国を訪れるシャトル外交を基盤に、意思疎通と協力を継続していくこと
シャトル外交は、トップ同士が行き来しながら対話を重ねるスタイルの外交です。形式よりも「会って話す」ことを重視するため、微妙なニュアンスの共有や信頼醸成に効果があるとされます。
社会課題・科学技術での新たな枠組み
今回の首脳会談では、両国が共通して抱える社会課題に対応するための協議体(コンサルテーティブ・ボディ)の立ち上げが歓迎されました。
具体的な議題は今後詰められていくとみられますが、少子化や高齢化、格差や地域衰退、デジタル化への対応など、両国が似た悩みを抱える分野が候補になりそうです。こうしたテーマは、国民一人ひとりの生活に直結するだけに、ニュースとしても注目を集めやすい領域です。
さらに、日韓両政府は、二国間の科学技術協力委員会の会合を再開することで合意しました。これは、研究開発、イノベーション、スタートアップ支援などで連携を深めるための重要な枠組みとなり得ます。
防衛・経済の対話も「積み上げ」を評価
両国は、2025年9月に行われた一連の会合についても評価しました。大統領府によると、評価対象となったのは次のような会合です。
- 防衛相会談
- 経済安全保障に関する対話
- 財務副大臣級の会合
これらはいずれも、日韓が安全保障や経済の分野でどこまで実務的な協力を進められるかを測る試金石となる場です。首脳会談でその「積み上げ」が評価されたことは、現場レベルの対話が一過性ではなく、継続的なプロセスとして位置づけられていることを示しています。
イ大統領の協力原則「未来へ進みつつ、過去と正面から向き合う」
会談の中で、イ大統領は自身の協力原則として「未来へ進みつつ、過去と正面から向き合う」という考え方を示しました。
そのうえでイ大統領は、両国が協力を通じた意味のある成果を積み重ねていくことで、未解決の懸案についての対話にもプラスに作用する「善循環」を生み出すことができる、との見方を示しました。
ここで言う懸案には、歴史をめぐる問題、安全保障をめぐる不信感、経済・技術分野での摩擦など、日韓が長年抱えてきたテーマが含まれると考えられます。イ大統領のメッセージは、それらを棚上げするのではなく、協力の成果を積み上げることで、むしろ対話しやすい環境をつくろうというアプローチだと言えます。
今回の首脳会談をどう見るか
今回の釜山での首脳会談は、日韓が単発のイベントではなく、シャトル外交、社会課題の協議体、科学技術協力委員会、防衛・経済対話など、多層的なチャンネルを動かそうとしていることを示しました。
これからの日韓関係を見ていくうえで、日本の読者として注目したいポイントは次のような点です。
- シャトル外交がどの程度の頻度とレベルで継続されるのか
- 社会課題に関する協議体が、具体的にどのテーマで成果を出していくのか
- 科学技術協力が、研究者や企業、スタートアップなど現場の往来や連携につながるのか
- こうした協力の「善循環」が、歴史問題やその他の懸案の対話をどう変えていくのか
日韓関係は、時に「難しい」と語られがちですが、今回のような首脳会談は、その難しさを前提としながらも、現実的な協力の接点を少しずつ広げていこうとする試みでもあります。
東アジアの安全保障や経済、サプライチェーン、テクノロジー、人の往来など、私たちの日常とも無関係ではないテーマが日韓間には数多くあります。ニュースを追いながら、自分自身の生活や仕事、価値観とどのようにつながっているのかを考えてみることが、次の一歩につながるかもしれません。
Reference(s):
cgtn.com








