トランプ米大統領、ガザ和平案に3〜4日の期限 ハマスは圧力と葛藤
ガザ情勢をめぐる国際ニュースで、トランプ米大統領がハマスに対し、米国が支援するガザ和平案を受け入れるかどうかについて「3〜4日」の期限を突きつけました。2年にわたる紛争の終結に近づいているとしつつ、拒否すれば「非常に悲しい結末」になると警告しており、ガザと中東情勢の行方に大きな注目が集まっています。
トランプ米大統領が突きつけた「3〜4日」の期限
ワシントンで記者団の取材に応じたトランプ米大統領は、ガザ和平案について「イスラエルの指導者もアラブ諸国の指導者もすでに支持している。あとはハマスの決断を待つだけだ」と述べ、ハマスに対し「3〜4日以内」に回答するよう求めました。
大統領は「ハマスが受け入れるかどうかだ。もし受け入れなければ、非常に悲しい結末になる」とも語り、軍事的緊張が再び高まる可能性を示唆しました。ガザで続く激しい戦闘と人道危機を前に、数日のうちに情勢が大きく動く可能性があります。
20項目から成るガザ和平案とは
今回のガザ和平案は、カタールとエジプトが仲介し、20項目から成る文書として取りまとめられました。イスラエルのネタニヤフ首相がホワイトハウスでトランプ大統領と共に記者会見に臨み、この案が「イスラエルの目標を満たしている」として支持を表明した直後、仲介国からハマス側に共有されたとされています。
報道によると、主な柱は次のような内容です。
- 即時停戦の発動
- ハマスが拘束している全ての人質と、イスラエルが拘束するパレスチナ人受刑者の交換
- 段階的なイスラエル軍のガザ撤退
- ハマスの武装解除
- 国際機関が主導する暫定統治機構の設置
特に、ハマスの武装解除と暫定統治の導入は、これまでの交渉でも大きな争点となってきた項目です。今回の案は、軍事的側面だけでなく、ガザの政治的な統治構造を大きく変える可能性を含んでいる点で、地域の将来像を左右する内容とも言えます。
交渉に参加していないハマスの懸念
ハマスは、この和平案の策定プロセスそのものには関与しておらず、完成した文書を仲介国から共有された形です。案にはハマスの武装解除が盛り込まれており、ハマスはこれまで一貫してこの要求を拒んできました。
協議内容を知る関係者は、ハマス側が「誠実に検討し、回答を行う」としていると伝えていますが、ハマスに近い筋は、この案が「完全にイスラエルに偏っており、ハマスを排除することを狙った不可能な条件が課されている」と批判しています。
また、匿名で取材に応じたパレスチナ側の関係者は、「トランプ氏の提案は、イスラエルの条件を全面的に受け入れたものであり、パレスチナの人々やガザ地区の住民に正当な権利を与えるものではない」と語りました。
ハマスは紛争の初期から、イスラエル軍のガザからの完全撤退と、残る人質の解放を交換条件として求めており、この要求と今回の案との溝はなお深いままです。
アラブ諸国外相らは案を歓迎 強まる受け入れ圧力
一方で、このガザ和平案は、地域の主要アラブ諸国からおおむね好意的に受け止められています。サウジアラビア、ヨルダン、アラブ首長国連邦(UAE)、カタール、エジプトの外相らが相次いでこのイニシアチブを歓迎し、ガザでの停戦と人道支援拡大に向けた前進だと評価しました。
こうした動きは、ハマスにとっては外交的な圧力となります。和平案を拒めば、地域の主要な支援国との関係に影響が出る可能性があり、受け入れれば組織の武装解除など根本的な変化を迫られるという難しい判断を迫られています。
さらに、トルコの情報機関トップがカタールとエジプトの仲介者とともに、ドーハで和平案を協議する予定であると、カタール外務省の報道担当者が明らかにしました。トルコはこれまでの2年間、ガザ和平の主要な仲介役としては前面に出ていませんでしたが、今回新たに議論のテーブルに加わる構図です。ハマス関係者がこの会合に参加するかどうかは現時点で不明とされています。
ガザで続く深刻な人道危機
人道面では、ガザが依然として「常に緊急支援を必要とする状態」にあることが、国連機関から繰り返し警告されています。国連の人道問題調整事務所(OCHA)を率いるトム・フレッチャー氏は、トランプ米大統領のガザ和平案について、大規模で命を救う支援を届ける新たな可能性を開くものとして歓迎の意向を示しました。
しかし現場の状況は極めて厳しいままです。OCHAによれば、ガザ地区全域、特にガザ市では、依然として激しいイスラエル軍の砲撃や空爆が続いています。国連人権高等弁務官事務所は、先週水曜日から日曜日にかけて、ガザ中部デイル・アル=バラフ北西部への攻撃が激化し、少なくとも89人のパレスチナ人が、十数件の別々の攻撃で死亡したと報告しています。
パレスチナ難民を支援する国連機関は、ガザ市内で18カ所の避難所を運営し、4,000人を超える人々を受け入れている一方で、28カ所の施設は戦闘のため立ち入り不能になったか、避難を余儀なくされたとしています。医療インフラも壊滅的な被害を受けており、ガザ市で運営されていた5カ所の医療拠点のうち、現在機能しているのは1カ所にとどまるとOCHAは伝えています。
ガザの人々が抱く期待と不安
ガザの住民の間でも、トランプ米大統領の和平案に対する受け止めは複雑です。空爆と犠牲者が続く中で、戦闘が終わるきっかけとして歓迎する声がある一方で、イスラエルによる統制が本当に終わるのか、根本的な問題は解決されるのかという懸念も消えていません。
ガザ市に住む60歳のサラフ・アブ・アムルさんは、「私たちは戦争が終わってほしい。しかし、何万人もの命を奪った占領軍には、ここから出ていってほしいだけだ」と語ったとされています。住民にとっての最優先は、日常の安全と尊厳の回復であり、その観点から和平案を慎重に見守っている様子がうかがえます。
数日の判断が将来を左右する
トランプ米大統領が示した「3〜4日」という期限の中で、ハマスが和平案を受け入れるのか、それとも拒否するのかは、ガザだけでなく中東全体の情勢を左右する大きな分岐点となります。受け入れれば、即時停戦と人道支援の大幅な拡大につながる可能性がありますが、組織としてのハマスの在り方にも根本的な変化を求められます。
一方、拒否した場合には、トランプ氏が示唆する「非常に悲しい結末」がどのような形で現実となるのか、国際社会は緊張をもって見守ることになります。地域の主要国や国連機関は、停戦と住民保護を最優先に据えた枠組みを模索しており、外交と人道支援の両面で、今後の数日から数週間の動きが問われます。
ガザの和平をめぐる議論は、遠い中東の出来事であると同時に、戦争と和平、人道と安全保障、武装組織と国家という難しいテーマを、私たち一人ひとりに問いかけています。ニュースを追う際には、軍事や外交の駆け引きだけでなく、その背後にいる市民の生活や権利に目を向ける視点も持ち続けたいところです。
Reference(s):
Trump issues deadline on Gaza peace plan, Hamas under pressure
cgtn.com







