世界の食料価格、9月は小幅下落 FAO指数が示す安堵と不安
国連食糧農業機関(FAO)が公表した2025年9月の世界食料価格の統計によると、砂糖や乳製品の値下がりを背景に、全体の食料価格指数は前月から小幅に低下しました。一方で、肉類は過去最高値を更新しており、「一息ついた分野」と「なお高値が続く分野」がくっきりと分かれる結果となっています。
忙しい人向け:3つのポイント
- FAO食料価格指数は2025年9月に128.8ポイントと、8月の改定値129.7ポイントから低下。ただし前年同月比では3.4%の上昇。
- 砂糖・乳製品・穀物・植物油は下落する一方、肉類の価格指数は0.7%上昇し過去最高を更新。とくに牛肉価格が米国市場の影響で新たなピーク。
- 別の報告で、FAOは2025年の世界穀物生産見通しを約29億7,100万トンに上方修正。2024年比3.8%増とし、2013年以来で最大の伸びとなる見込みとしています。
FAO食料価格指数とは?9月の水準を読み解く
FAO食料価格指数は、穀物や油脂、乳製品、肉類、砂糖など、国際的に取引される主要な食料品目の価格を総合的に示す指標です。2025年9月の指数は128.8ポイントと、8月の改定値129.7ポイントからわずかに低下しました。
前年同月に比べると3.4%の上昇となっており、2022年3月にロシアとウクライナを巡る紛争の影響で記録した過去最高水準よりは約2割低い水準です。急騰局面からは落ち着きつつあるものの、依然として高止まり感が残るともいえます。
砂糖と乳製品が指数を押し下げ
9月の全体指数を下押ししたのは、砂糖と乳製品の価格でした。FAOの砂糖価格指数は前月比で4.1%下落し、2021年3月以来の低水準となりました。
FAOは、砂糖価格の下落について、供給見通しの改善が背景にあると分析しています。ブラジルで予想を上回る生産が見込まれていることに加え、インドやタイでも収穫見通しが良好なことが要因とされます。
乳製品の価格指数も前月から2.6%低下しました。とくにバター価格の急落が効いており、オセアニア地域での生産拡大期待が影響しているとみられます。
穀物:大きな収穫と需要の鈍さでじわり下落
穀物全体を示すFAOの穀物価格ベンチマークは、8月から0.6%の小幅な下落となりました。
内訳を見ると、まず小麦価格が3カ月連続で下落しました。豊作と国際的な需要の低さが重なり、価格を押し下げています。トウモロコシ(コーン)価格も下落しており、アルゼンチンが一時的に輸出税を停止したことが下落圧力の一因となりました。
米の価格指数も、フィリピンやアフリカ諸国の買い注文が減ったことで、前月から低下しています。
植物油:パーム・大豆が下落も、ひまわり・菜種油は上昇
植物油価格の指数は前月比0.7%の下落でした。パーム油と大豆油の国際価格が下がった一方で、ひまわり油と菜種油の価格は上昇しており、品目によって明暗が分かれています。
家計目線では、植物油は加工食品や外食コストにも直結する品目です。全体としてはやや落ち着きを取り戻しつつあるものの、どの油脂を多く輸入・消費しているかによって、各国・地域の体感は異なりそうです。
肉類は過去最高を更新 とくに牛肉が高値
対照的に、肉類の価格は上昇が続いています。FAOの肉価格指数は前月比0.7%上昇し、統計開始以来の過去最高を更新しました。
とくに牛肉と羊肉の国際価格が上がっており、中でも牛肉は新たなピークを付けました。FAOによると、米国では国内の供給が限られる中で需要が強く、この米国市場の動きが世界の牛肉価格を押し上げています。
全体の食料価格指数が下がっていても、たんぱく源となる肉類が高値となれば、消費者の生活実感としては「食費があまり下がらない」状況が続く可能性があります。
2025年の世界穀物生産、2013年以来の大幅増へ
FAOは別の報告書で、2025年の世界の穀物生産見通しを上方修正しました。最新の予測では、2025年の穀物生産量は29億7,100万トン(2.971 billionトン)とされ、先月時点の予測値29億6,100万トン(2.961 billionトン)から増加しました。
この見通しは、2024年の生産実績と比べて3.8%の増加となり、2013年以来で最大の年次増加となるとしています。上方修正の背景には、小麦、トウモロコシ、米といった主要穀物の生産見通しが良くなったことがあります。
理論的には、穀物の供給が大きく増えれば、世界の食料市場の安定につながる可能性があります。ただし、実際の価格は輸送コストや為替動向、各国の貿易政策など多くの要因に左右されるため、今後も注視が必要です。
日本の食卓への影響は?
今回のFAOの発表は、世界全体の動きを示すものですが、日本の食卓とも無関係ではありません。砂糖、植物油、穀物、乳製品、肉類はいずれも国際市場との結びつきが強い品目であり、国際価格の変動は、時間差を伴いながら国内の食品価格や外食価格に波及しやすいからです。
9月時点では、砂糖や乳製品、穀物などで「やや落ち着き」が見られる一方、肉類は過去最高水準が続いています。中長期的に見ると、2025年の穀物生産が大幅増となる見通しは、市場の安定化要因になり得ますが、各品目ごとの需給バランス次第では、引き続き値動きの大きい状態が続く可能性もあります。
家計の視点では、個々の品目の価格だけでなく、「どの食品の価格が長く高止まりしそうか」を見ておくことが重要になりそうです。今後もFAOの統計や各国の政策動向が、世界および日本の食料価格を考える上での重要な手がかりとなります。
Reference(s):
cgtn.com








