ハマスとイスラエル、エジプトで間接協議へ トランプ米大統領のガザ停戦案巡り
約2年に及ぶガザ戦争を終わらせる一歩となるのでしょうか。イスラム組織ハマスとイスラエルが、トランプ米大統領のガザ停戦・捕虜交換案を巡り、エジプトで間接協議を始めます。
間接協議の舞台はシャルム・エル・シェイク
ハマスの代表団は日曜日、エジプトに到着し、ガザで続く戦闘を終結させることを目的とした間接協議に臨んでいます。イスラエル代表団も月曜日にエジプトへ向かう予定です。
交渉はエジプトの紅海沿いのリゾート地シャルム・エル・シェイクで行われ、両者は同じテーブルには着かず、エジプト側を仲介役とする「間接協議」となります。
協議の中心となるのは、米国が仲介した停戦と人質解放の枠組みです。ガザではこれまでに6万7,000人以上のパレスチナ人が死亡し、地域は壊滅的な被害と飢餓に直面しているとされています。一方、2023年10月7日のハマスによる攻撃では、イスラエル側で1,219人が死亡しました。
トランプ米大統領の「20項目案」とは
今回の協議で焦点となるのが、トランプ米大統領が提示し、イスラエルのネタニヤフ首相も支持したとされるガザ停戦の「20項目案」です。第一段階は、戦闘の停止と人質解放、そしてイスラエル軍の段階的撤退を柱としています。
エジプト筋によると、今回の間接協議では特に次の点が議題になる見通しです。
- ガザに残る48人の人質と、イスラエルが拘束するパレスチナ人受刑者との交換メカニズム
- 戦闘停止の具体的なタイムラインと監視方法
- ハマスによる武装解除の手順と範囲
米国案では、停戦発効から72時間以内に人質を解放し、その後イスラエル軍が段階的にガザから撤退するとされています。また、ハマスや他の勢力はガザ統治に関与しないと明記されており、ガザの行政は「技術官僚」からなる組織と、トランプ氏自身が率いる移行政権が監督する構想です。
ハマスとイスラエル、それぞれの思惑
ハマス:停戦と捕虜交換を急ぎたいが…
ハマスの交渉団を率いるハリル・アルハイヤ氏がエジプト入りし、組織として今回の米国案に前向きな姿勢を示しています。幹部の一人は、匿名を条件に「戦争を終わらせ、現地の状況に即した形で直ちに捕虜交換プロセスを始める合意を望んでいる」と述べました。
一方で、ハマスはこれまでガザ統治からの排除や武装解除を「越えてはならない一線」としてきました。ガザの将来の政治体制に自らも発言権を持つべきだと主張しており、「ハマスに役割を認めない」とする米国案との溝は小さくありません。
イスラエル:軍事圧力を維持しつつ交渉へ
イスラエルのネタニヤフ首相は、ロン・デルマー戦略問題担当相を団長とする代表団をエジプトに派遣すると表明しました。イスラエル側は、ガザ市制圧を目的とした攻勢作戦を一時停止し、防御的な態勢に移行したとしています。
しかし、イスラエル軍トップのエヤル・ザミル参謀総長は北部ガザを視察し、「政治的努力が実らなければ再び戦闘に戻る」と警告しました。国防相のイスラエル・カッツ氏も、ハマスが人質解放に応じなければ「攻撃の強度を再び引き上げる」と述べ、軍事的圧力を背景に交渉に臨む構えです。
実際、空爆の回数は減少しているものの、ガザ各地では依然として攻撃が続き、市民の犠牲も報告されています。ガザ市の住民は「戦車はやや後退したが、これは戦略的な動きで撤退ではない」と語っています。
米国と地域諸国:早期合意へ「急げ」のメッセージ
トランプ米大統領は、ハマスやアラブ・イスラム諸国との「あまりに前向きな議論」が週末に行われたと強調し、「人質解放とガザ戦争の終結、そして中東の平和実現のために全員が素早く動くべきだ」と呼びかけました。自身のSNSでは「第一段階は今週中に完了するはずだ」との見通しも示しています。
米国のマルコ・ルビオ国務長官は「空爆が続く中で人質を解放することはできない」と述べ、協議に先立つ爆撃停止をイスラエルに求めました。エジプトなど複数国の外相も、今回の協議を「持続的な停戦に向けた現実的なチャンス」と位置づけています。
エジプトはまずハマス代表団と協議し、その後イスラエル側と別々に会談します。両者から得られた結果は、米国の中東担当特使スティーブ・ウィトコフ氏とトランプ氏の側近ジャレッド・クシュナー氏に報告される予定です。
ガザの人々が見つめる「この一週間」
約2年にわたる戦闘でインフラは破壊され、ガザ全域で飢餓が広がっているとされています。ガザの市民防護当局によれば、日曜日だけでも少なくとも20人が空爆で死亡し、そのうち13人はガザ市で犠牲になりました。
アル・マワシ地区の住民アフマド・バルバフさんは、「トランプ氏がネタニヤフ首相に圧力をかけ、戦争を止めさせてほしい」と語り、「捕虜交換が早く進めば、イスラエルが戦闘を続ける口実もなくなる」と期待を寄せています。
ガザに残る人質48人の解放と、イスラエルが拘束するパレスチナ人囚人の釈放が実現するかどうかは、戦闘の行方だけでなく、戦後の和解やガザ再建のスタート地点にもなりうる重要な焦点です。
合意は成立するのか 注目すべきポイント
今回の間接協議がどこまで進むのかは不透明ですが、少なくとも以下の点が今後のカギになりそうです。
- 停戦発効と人質解放の「第1段階」が本当に今週中に実現するか
- 捕虜・囚人交換の対象と順番、監視の仕組みを双方が受け入れられるか
- ハマスの武装解除をめぐる条件と、ハマス側の対応
- ガザ統治からハマスを排除するという米国案に、ガザの住民や周辺国がどう向き合うか
- 協議が不調に終わった場合、イスラエル軍の作戦がどこまで再拡大するのか
約2年に及ぶガザ戦争の転換点となるのか、それとも戦闘の一時的な小休止にとどまるのか。エジプトでの静かな会議室で交わされる文言の一つひとつが、ガザの人々の日常と命を左右する局面が続いています。
Reference(s):
Hamas, Israel to begin indirect talks over Trump's Gaza plan in Egypt
cgtn.com








