仏フィリップ元首相がマクロン氏に辞任要求 政局混迷が深刻化
マクロン政権に最大級の揺さぶり
フランスのエマニュエル・マクロン大統領の初代首相を務めたエドゥアール・フィリップ氏が、火曜日にマクロン氏へ辞任を求めました。大統領の側近中の側近だった人物による公開の辞任要求は、8年目を迎えたマクロン政権の政治危機が新たな段階に入ったことを示しています。
フィリップ元首相の狙いとは
フィリップ氏は2017〜2020年にかけてマクロン政権の首相を務め、現在は与党系の別政党を率いています。すでに2027年の大統領選への出馬を表明しており、予算案成立後に大統領選を前倒しして実施すべきだと主張しています。この提案は、仏紙ル・パリジャンによって「政治的爆弾」と表現されています。
同氏は、現状の政局を「痛ましい政治ゲーム」と批判し、フランスが「秩序立ち、かつ尊厳を保ったかたちで、この国を傷つけている政治危機から抜け出す」責任はマクロン氏にあると強調しました。ラジオ局RTLの番組では、マクロン氏は「自らの職責にふさわしい決断、すなわち制度の継続性を保証するために秩序立って退くという決断をするべきだ」と語っています。
就任1カ月足らずでレコルニュ首相が辞任
政局の混乱は、セバスチャン・レコルニュ首相の辞任で一段と深まりました。就任から1カ月も経たない月曜日の朝、レコルニュ氏は中道右派連合の支持をまとめられなかったとして職を辞しました。新内閣は議会でも少数派にとどまっていました。
マクロン氏は、連立政権への支持を取り付けるため土壇場の協議を続けるようレコルニュ氏に指示しましたが、極右勢力は協議の場に姿を見せることすら拒否し、進展は見られていません。
2024年総選挙の賭けが生んだ「ねじれ議会」
フランスの政治危機は、マクロン氏が2024年夏に賭けに出て実施した国民議会(下院)選挙が、過半数勢力不在のいわゆるねじれ議会と、極右勢力のさらなる躍進という結果に終わったことに端を発しています。
有力紙ル・モンドは社説で、今回の危機を「2022年の大統領選再選以降、マクロン氏の第2期のほころびがまたもや露呈した」と厳しく批判し、「大統領は重大な危機に直面している」と指摘しました。
マクロン氏に残された選択肢
今後マクロン氏には、レコルニュ氏を再任する、在任中8人目となる新首相を指名する、あるいは再び議会選挙に踏み切る、といった選択肢があるとされています。
一方、レコルニュ氏は首相官邸で各党党首との協議を開始し、行き詰まった状況の打開を模索しています。社会党のオリヴィエ・フォール党首は月曜夜、「路線変更」が必要だと述べ、左派政権の樹立を求めました。
右派・共和党の党首で、退任する内相でもあるブリュノ・ルタイヨ氏は、自身の党の閣僚ポストが減らないという条件付きで、マクロン氏の中道勢力との連立政権にとどまることに否定的ではない姿勢を示しています。
次の首相となる人物には、過去最高水準に達したとされる公的債務のもとで、緊縮色の強い予算案への支持を議会から取り付けるという重い課題がのしかかります。
2027年大統領選と極右の動き
フランスの次期大統領選は2027年に予定されており、多くの関係者が「歴史的な転換点」になるとみています。マリーヌ・ルペン氏が率いる極右政党は、これまでで最も政権獲得に近づく好機だと受け止めています。
ただし、ルペン氏は詐欺罪で有罪判決を受けたことで立候補資格に疑問符がついており、その行方は不透明です。同氏はマクロン氏が辞任するのは「賢明」だと述べる一方で、解散総選挙の実施は「絶対に必要」だと主張しています。
マクロン氏は憲法上、3選は禁止されており、2027年の大統領選には出馬できません。こうしたなかで、すでに立候補を表明しているフィリップ氏が辞任要求を突きつけたことで、権力の継承をめぐる駆け引きが一気に表面化した格好です。
揺れるフランス政治はどこへ向かうのか
フランスは2024年の総選挙以来、ねじれ議会と政権基盤の弱体化に悩まされてきました。今回、元首相という政権内部からの辞任要求が表面化したことで、マクロン氏は早期選挙、連立再編、首相交代のいずれか、あるいは複数を組み合わせた決断を迫られています。
欧州の主要国であるフランスの政局不安は、欧州全体の政治バランスや市場心理にも波紋を広げかねません。2027年を待たずに、フランス政治の大きな転換点が訪れるのかどうか。今後の一手が、フランス国内だけでなく国際社会からも注目されています。
Reference(s):
Ex-French PM urges Macron to resign amid escalating political turmoil
cgtn.com







