国連安保理が女性・平和・安全保障を討論 女性参加の数値目標とデータ革命を提唱
国連安全保障理事会は今週、女性・平和・安全保障をテーマにした公開討論を開きました。国際ニュースとしても重要なこの会合で、グテレス国連事務総長は各国に対し、平和構築の場での女性の参加を大きく引き上げるよう強く呼びかけました。
採択から今年で25年を迎える安保理決議1325を節目に、事務総長は「女性・平和・安全保障アジェンダ」を前に進めるための具体策として、女性参加の数値目標と「ジェンダー・データ革命」を提案しています。
安保理決議1325の25年と現在地
2000年に採択された安保理決議1325は、紛争や平和構築のあらゆる局面で女性の役割を重視し、意思決定への参加や暴力からの保護を国際社会に求めた歴史的な決議です。それから25年、女性・平和・安全保障は国際ニュースの重要なテーマとして定着しましたが、現場での変化はまだ十分とは言えません。
グテレス事務総長は討論の場で、紛争下での性的暴力や妊産婦死亡率の増加、学校から引き離される少女たち、そして公的な場で活動する女性に対する暴力や嫌がらせの広がりに強い懸念を示しました。決議1325の理念と現実とのギャップが、あらためて浮き彫りになっています。
女性参加の「拘束力ある数値目標」を求める理由
事務総長が今回強調したのが、女性の参加に関する「拘束力のある数値目標」です。国連はすでに、国連が主導する平和プロセスに参加する関係者の少なくとも3分の1を女性とする「初期目標」を掲げていますが、これを各国や当事者にとっても守るべき基準として根付かせたい考えです。
なぜ数値目標なのか。その背景には、善意や努力目標だけでは女性の参加がなかなか増えないという現実があります。平和交渉や停戦合意、復興計画のテーブルに女性がいなければ、現場で生活を支える女性たちの経験やニーズが十分に反映されません。
事務総長の提案は、例えば次のような方向性を念頭に置いたものとみられます。
- 国連主導の和平交渉チームや諮問グループのうち、一定割合以上を女性で構成する
- 紛争当事者側にも、女性代表を必ず含めるよう働きかける
- 停戦監視や復興支援などの現場チームで、女性要員の比率を計画的に高める
数値目標を明確にすることは、国際社会が進捗を測り、各国が互いに取り組みを比較・検証するための基盤にもなります。
「ジェンダー・データ革命」とは何か
もう一つのキーワードが「ジェンダー・データ革命」です。事務総長は、女性の経験やニーズが見えなくなっている現状を変えるには、性別ごとのデータを飛躍的に充実させる必要があると訴えました。
具体的には、次のような情報の空白が問題視されています。
- 紛争や災害時に、女性と男性で被害や避難の状況がどう違うのか
- 女性が平和交渉や政治参加のプロセスから排除されている割合
- 性的暴力やオンラインでの嫌がらせなど、女性が直面する暴力の実態
こうしたデータが欠けていると、政策立案の場で女性の声や課題が十分に考慮されません。逆に、細かなデータがあれば、支援が届いていない層を特定し、限られた予算を効果的に配分できます。
事務総長が呼びかけるジェンダー・データ革命は、単に統計を増やすという話ではなく、「女性の経験を可視化し、政策に反映させるための基盤を作ること」に重心があります。
日本と世界の読者にとっての意味
女性・平和・安全保障は、遠い国の紛争にだけ関係するテーマではありません。日本を含む多くの国が国連平和維持活動や人道支援、開発協力に関わるなかで、女性の視点をどう取り入れるかは共通の課題になっています。
今回の国連安保理の公開討論は、次のような問いを私たちに投げかけています。
- 紛争や災害の現場で、意思決定のテーブルに女性は十分に座れているか
- SNSやオンライン空間で、女性が安心して議論や発信に参加できる環境は整っているか
- ニュースや統計のどこに「見えない当事者」が埋もれていないか
国際ニュースを日本語でフォローする私たち一人ひとりにとっても、女性・平和・安全保障の25年を振り返ることは、自分たちの社会のあり方を見つめ直すきっかけになります。
グテレス事務総長が投げかけた女性参加の数値目標とジェンダー・データ革命という二つの提案は、今後の国連や各国の議論の中で、具体的な形を与えられていくことになりそうです。
Reference(s):
cgtn.com








