米加首脳会談も関税合意できず 鉄鋼・自動車に不透明感
米国のトランプ大統領とカナダのカーニー首相がホワイトハウスで行った会談は、米国が課している鉄鋼などへの懲罰的関税を巡る具体的な合意には至りませんでした。米加経済に直結する通商交渉が難航しており、カナダ国内では首相への政治的な圧力も強まっています。
米加首脳会談、目標の関税解除は持ち越し
地元メディアによりますと、トランプ大統領とカーニー首相は火曜日、ホワイトハウスで会談し、米国がカナダからの輸入品に課している懲罰的な関税の解除を協議しました。しかし、関税撤廃に向けた具体的な合意には至らず、交渉は継続されることになりました。
カナダ・米国通商相のドミニク・ルブラン氏は会談後、協議は「成功しており、前向きかつ実質的だった」と評価しましたが、なぜ合意に至らなかったのかについての詳細は明らかにしていません。
鉄鋼・アルミからエネルギーまで、交渉の焦点
報道によると、ルブラン通商相は首相が帰国した後もワシントンに残り、米側との協議を続ける予定です。交渉の焦点となっているのは、次のような分野だとされています。
- 鉄鋼
- アルミニウム
- 自動車産業
- エネルギー
- 林業
これらはいずれもカナダ経済を支える中核産業であり、追加関税や貿易摩擦が長引けば、雇用や投資に与える影響は小さくありません。特に鉄鋼・アルミと自動車のサプライチェーンは、国境をまたいで密接に結びついているため、企業の戦略見直しを迫る可能性があります。
トランプ大統領「カナダとは自然な競合関係」
会談の中でトランプ大統領は、カナダを米国にとっての経済的な競争相手だと位置づけ、両国は自然な対立関係にあるとの認識を示しました。そのうえで、カナダ製の自動車や鉄鋼を米国産に置き換えたいという意向を語り、国内産業の保護を強調しました。
さらに大統領は、完全に関税のない取引の可能性を否定し、「われわれは関税を設けることになる」と述べたと伝えられています。自由貿易ではなく、関税を通じた産業保護を重視する姿勢が改めて鮮明になったと言えます。
カーニー首相に高まる国内からの圧力
こうした中、カーニー首相に対するカナダ国内の政治的な圧力も高まっています。オンタリオ州のダグ・フォード州首相は火曜日、「合意がまとまらないのであれば、報復関税で反撃を始めるべきだ」と述べ、カーニー首相により強硬な対応を求めました。
また、保守党のピエール・ポワリエーヴル党首も、今回の会談でカナダにとっての具体的な前進が得られなかったとして、「いまだに合意はなく、勝利もない」と首相を批判しています。国内の与野党からの圧力が強まる中で、首相がどこまで譲歩し、どこで一線を画すのかが今後の焦点になりそうです。
米加関係に何が問われているのか
米国とカナダは、安全保障からサプライチェーンまで密接に結びついた隣国同士です。その一方で、鉄鋼や自動車、エネルギーなど、同じ市場を巡って競争するライバルでもあります。今回の首脳会談は、その協力と競争のバランスをどう取るのかが改めて問われた場だったとも言えます。
ルブラン通商相はワシントンにとどまり交渉を続ける予定で、今後の合意の行方は依然として不透明です。日本を含む他の国と地域の企業や投資家にとっても、米加間の関税問題はサプライチェーンや価格に直結するテーマであり、その推移を注視する必要があります。
保護主義と自由貿易の間で揺れる世界経済の中で、米加両国はどのような通商ルールを選び取るのか。今回まとまらなかった関税協議は、その試金石の一つになりつつあります。
Reference(s):
Tariff deal remains elusive after Trump's meeting with Canadian PM
cgtn.com








