米国ナショナルガード派遣巡り攻防激化 トランプ大統領と州・裁判所が対立 video poster
【リード】米国のドナルド・トランプ大統領が、野党・民主党が運営する都市にナショナルガードを派遣しようとする中、州や裁判所との法廷闘争が激しさを増しています。2025年10月6日に表面化したこの動きは、移民取り締まりを巡る米国内の分断と、連邦と州の権限の線引きを改めて浮き彫りにしています。
何が起きたのか:10月6日に表面化した法廷闘争
2025年10月6日(月)、トランプ大統領は米国各地で複数の法廷闘争に臨んでいました。狙いは、野党・民主党が市政を担う都市の街頭に、ナショナルガード部隊を展開することです。
CGTNのオーウェン・フェアクロー記者によると、大統領はオレゴン州とイリノイ州で出されている裁判所の命令を迂回しようと試みています。これらの命令は、移民取り締まりの強化を支援する目的でのナショナルガード派遣を禁じる内容だと伝えられています。
今回の国際ニュースでホットスポットとなっているのは、次の2点です。
- ナショナルガードを街頭の治安維持に使ってよいのか
- 移民取り締まりを理由に、連邦政府がどこまで州に介入できるのか
ナショナルガードとは:軍隊とも警察とも違う存在
今回のニュースの主役となっているナショナルガードは、米国の州ごとに編成された予備役の部隊です。災害対応や暴動時の治安維持などで出動するほか、必要に応じて海外派遣されることもあります。
通常は州知事の指揮下にありますが、連邦政府が権限を引き上げ、国家レベルで運用することも可能です。この二重構造が、連邦と州の政治的対立が深まったときに緊張を生みやすい要因となります。
トランプ大統領 vs 民主党系の都市・州
今回トランプ大統領が強い姿勢を示しているのは、野党・民主党が運営する都市です。移民政策を巡って政権と距離を取る地方自治体に対し、大統領はナショナルガード派遣という強いカードで臨んでいるとみられます。
オレゴン州とイリノイ州の裁判所は、ナショナルガードの治安目的の派遣を制限する命令を出しており、これに対し大統領側は法的な抜け道を探ることで対抗しようとしています。
裁判所の命令を迂回してまで部隊を展開しようとする動きは、次のような懸念も呼び起こしています。
- 司法の判断を尊重するという原則が揺らがないか
- 政治的対立が現場の治安や市民生活にどう影響するか
- 軍事力に近い組織を国内政治の対立に持ち込むことの是非
移民取り締まりが火種に:分断が深まる米国内
トランプ政権の下で、移民政策は国内政治の最大の争点の一つとなってきました。今回のナショナルガード派遣問題も、その延長線上にあります。
政権側は移民取り締まりの強化を掲げており、オレゴン州やイリノイ州の一部都市では、連邦政府の方針に距離を置く姿勢が目立ちます。こうした都市は、不法移民の強制送還などに消極的な場合も多く、政権との対立が繰り返されてきました。
ナショナルガードを移民取り締まりの支援に使うという発想は、治安対策を重視する立場からは一定の支持を得る一方、移民の権利保護や人権の観点から強い批判も招きやすいテーマです。
法の支配と民主主義にとっての意味
今回の法廷闘争で問われているのは、単にどこに部隊を派遣するかという実務の問題だけではありません。より根本的には、次のような論点が浮かび上がっています。
- 大統領の権限はどこまで認められるべきか
- 州や地方自治体は、どの程度まで連邦政府の方針に異議を唱えられるのか
- 裁判所の判断が、政治の現場でどのように尊重されるべきか
連邦制の国では、中央政府と地方の間の緊張関係は構造的な宿命とも言えます。しかし、ナショナルガードのような軍事力に近い存在がその綱引きの道具となるとき、憲法や法の支配のあり方がより強く問われます。
これからの注目ポイント
トランプ大統領側が、オレゴン州やイリノイ州の裁判所の命令をどこまで迂回できるのか。そして、州側や市側がどのような法的・政治的手段で応じるのかが、今後の焦点となります。
今後想定されるシナリオとしては、次のような展開が考えられます。
- より上級審での新たな訴訟や判断
- 議会や地方議会での権限を巡る議論の本格化
- 街頭での抗議行動や、移民コミュニティの反応
今回のナショナルガードを巡る攻防は、米国の民主主義がどのように「力」と「ルール」のバランスを取ろうとしているのかを映し出す鏡でもあります。国際ニュースとして距離を置いて眺めるだけでなく、国家の安全と個人の権利、中央と地方の関係をどう考えるかという、自分自身への問いとしても捉えてみる価値がありそうです。
Reference(s):
Fight over National Guard deployment intensifies in the U.S.
cgtn.com








