米政府閉鎖10日目、トランプ政権が連邦職員レイオフ開始 労組は提訴
米国で続く政府閉鎖が10日目に入り、トランプ政権が連邦職員のレイオフ(人員削減)に踏み切りました。通常の政府閉鎖とは異なる動きとして、労働組合や議会が強く反発しており、事態は一段と緊迫しています。
レイオフ開始をSNSで発表 影響は複数省庁に
トランプ政権は政府閉鎖が10日目となった金曜日、連邦職員のレイオフが始まったと発表しました。ホワイトハウス行政管理予算局(OMB)のラッセル・ヴォート局長は、ソーシャルメディアのプラットフォームXに「The RIFs have begun(人員削減が始まった)」と投稿し、RIF(Reduction in Force=人員削減)の開始を明らかにしました。
投稿には、影響を受ける職員数や具体的な部門などの詳細は含まれていませんでしたが、米メディアによると、今回の連邦職員のレイオフは規模が大きく、影響範囲も広がる可能性があるとされています。国土安全保障省、保健福祉省、財務省などがレイオフを計画していると報じられています。
ホワイトハウスと民主党 責任の押し付け合い
ドナルド・トランプ米大統領とホワイトハウス高官らは、政府閉鎖が続く場合、連邦職員がレイオフに直面すると繰り返し警告してきました。その上で、こうした事態の責任は民主党にあると主張しています。
これに対し、民主党指導部は、共和党側が今回の予算をめぐる対立の中で連邦職員を「駒」として利用していると批判。「威圧」であり「脅し」だとして、トランプ政権の対応を強く非難しています。
約80万人を代表する労組AFGEが提訴
約80万人の連邦職員を代表する労働組合、アメリカ政府職員連盟(AFGE)は、ヴォート局長の投稿をX上で転載し、「訴訟はすでに提起された」とコメントしました。政府によるレイオフ開始の発表を受け、法廷闘争に踏み切った形です。
AFGEのエベレット・ケリー全国会長は声明で、「トランプ政権が政府閉鎖を口実に、全米の地域社会で重要なサービスを提供している何千人もの職員を違法に解雇したことは恥ずべきことだ」と強い言葉で批判しました。
さらにケリー氏は、「連邦職員は、選挙で選ばれた指導者であれ、選挙で選ばれていない指導者であれ、その政治的・個人的な利益のために駒のように扱われることにうんざりしている。議会は自らの職務を果たし、直ちにこの政府閉鎖を終わらせるための交渉を行うべきだ」と訴えました。
なぜ今回のレイオフは「異例」なのか
米メディアは、今回の対応が従来の政府閉鎖とは異なる点に注目しています。通常、米国の政府閉鎖では、「不可欠なサービス(essential services)」に従事する職員は無給のまま勤務を続け、それ以外の何十万人もの職員が一時的な自宅待機(無給休暇)を余儀なくされます。
政府が再開した後、これらの職員には通常、さかのぼって給与が支払われてきました。そのため、多くの連邦職員にとって政府閉鎖は大きな負担でありながらも、一時的な「しのぎ」で済むという認識がありました。
しかし今回は、政府閉鎖の最中に連邦職員を恒久的に解雇するという判断が示されています。米メディアは、こうした「政府閉鎖中の本格的な人員削減」は従来の慣行からの逸脱だと指摘しており、連邦職員の雇用や生活の先行き不透明感を一段と高める可能性があります。
上院で暫定予算案が否決 医療保険をめぐる対立
一方、政府閉鎖の解決に向けた議会の動きは、なお行き詰まったままです。木曜日には、米上院で新たな暫定予算案の採決が行われましたが、民主党案・共和党案の双方が否決されました。
民主党側は、暫定予算案に医療保険(ヘルスケア)給付の拡充を盛り込むよう求めていました。これに対し、共和党側は、政策面の条件を付けない「クリーン」な短期のつなぎ予算をまず通すべきだと主張し、両者の溝は埋まらないままです。
その結果、政府閉鎖は長期化の様相を強めており、レイオフの拡大と公共サービスへの影響が懸念されています。
日本の読者にとっての意味 何が問われているのか
今回の米政府閉鎖と連邦職員レイオフは、単なる米国内の政治ニュースにとどまりません。予算をめぐる対立が、行政サービスの現場で働く人々の雇用に直接影響し、さらには地域社会の医療、安全保障、財政運営といった「生活の基盤」に波及しうることを示しています。
国土安全保障省や保健福祉省、財務省といった中核的な省庁で人員削減が行われれば、国境管理や公衆衛生、税や金融をめぐる業務などにも影響が出る可能性があります。こうした不確実性は、金融市場や世界経済に対する不透明感を高める要因ともなり得ます。
日本を含む世界の投資家や企業、そしてニュースを追う私たちにとっても、「予算をめぐる政治的な駆け引きが、どこまで行政の現場や生活者に負担を強いてよいのか」という問いを投げかける出来事だと言えます。
今後の注目ポイント
- レイオフの対象となる連邦職員の人数や、影響が及ぶ具体的な部門の詳細がいつ明らかになるか
- AFGEが提起した訴訟の行方と、裁判所が政府閉鎖中の人員削減をどう判断するか
- 医療保険などをめぐる対立を含む暫定予算交渉で、与野党がどの時点で妥協点を見いだせるか
政府閉鎖と連邦職員のレイオフをめぐる動きは、今後も国際ニュースとして注視していく必要があります。
Reference(s):
Trump administration begins layoffs on 10th day of government shutdown
cgtn.com








