米政府閉鎖が長期化 保健医療と航空に打撃、連邦職員解雇も
米連邦政府の一部閉鎖が長期化するなか、米国の保健医療と航空インフラという生活に直結する分野に深刻な影響が出始めています。国際ニュースとして、日本を含む世界の移動や感染症リスクにも関わる動きです。
保健医療と航空インフラに直撃
現地時間の土曜日、米疾病対策センター(CDC)は、感染症チームの中核スタッフおよそ130人を解雇したと明らかにしました。同じタイミングで、米連邦航空局(FAA)傘下の複数の航空交通管制センターで人員不足が報告されており、中国メディアグループなどが伝えています。
感染症リスクが高まる中でのCDC解雇
米メディアによると、今回の人員削減は、公衆衛生上の課題が山積する中で行われました。報道では、米国内で次のような状況が指摘されています。
- はしかの症例数が1992年以来の高水準に達している
- インフルエンザ流行期の死亡者が増加している
- 百日せきの症例が2年連続で歴史的ピーク水準に近づいている
こうした局面で、感染症対策チームの「中核」とされる人材がおよそ130人も削減されることは、感染症の監視や情報共有、緊急対応の遅れにつながりかねないとして、専門家や関係者の間で懸念が高まっています。
航空管制センターの人手不足とフライトへの影響
FAAの運用報告によると、政府閉鎖の影響で航空交通管制センターの人員不足が各地で発生しました。現地時間の土曜日には、次のような状況が報告されています。
- ニューヨークの航空管制センターが午後2時に人員不足を警告
- アトランタの管制センターでは午後4時30分から午後8時30分まで人手が足りない状態に
- アルバカーキのセンターでは午後6時から翌午前1時まで人員が不足
一部の遅延は経路変更などで吸収できるものの、安全確保のために飛行速度を落とさざるをえない便もあるとされます。政府閉鎖が続く中で、航空管制官や空港保安検査を担う運輸保安局(TSA)の職員など、多くの「必須業務」従事者が無給のまま勤務を続けています。
短期的には安全を最優先する運航調整で対応できますが、無給勤務が長引けば、現場の士気低下や離職につながるおそれもあり、航空ネットワーク全体の安定性が問われています。
トランプ大統領、軍の給与支払いを指示
多くの公務員が給与のないまま働いている一方で、米大統領ドナルド・トランプ氏は土曜日、自身のSNS「トゥルース・ソーシャル」で、軍の給与については予定どおり支払うよう命じたと述べました。
トランプ大統領は、ピート・ヘグセット国防長官に対し「利用可能なすべての資金」を用いて、政府閉鎖のさなかでも10月15日の兵士への給与支払いを確保するよう指示したとしています。「必要な資金を特定しており、ヘグセット長官がそれを用いて軍に給与を支払う」と投稿しました。
軍の給与を優先的に守ろうとする一方で、民間部門の連邦職員の多くは無給勤務や休職を余儀なくされており、政府内での扱いの差や、閉鎖の長期化が社会の分断をさらに深めるのではないかとの見方も出ています。
連邦職員の大量解雇に労組が強く反発
トランプ政権によれば、今回の連邦政府職員の解雇は金曜日から本格的に始まっており、その規模は大きく、影響も広範囲に及ぶ可能性があります。国土安全保障省、保健福祉省、財務省など、複数の省庁が人員削減を計画しているとされています。
約80万人の職員を代表するアメリカ連邦政府職員連盟(AFGE)は、声明で「政府閉鎖を口実に、全国の地域社会に不可欠なサービスを提供している何千人もの職員を『違法に』解雇するのは恥ずべき行為だ」と厳しく批判しました。
AFGEのエベレット・ケリー全国会長は「連邦職員は、選挙で選ばれた者と選ばれていない者の政治的・個人的な利益のための駒として扱われることにうんざりしている。議会は直ちに職務を果たし、この政府閉鎖を終わらせるべきだ」と訴えています。
米メディアは、政府閉鎖時には通常、「必須ではない」と分類された職員は一時帰休(無給の休暇)となり、閉鎖終了後にまとめて給与が支払われるのが慣例だと指摘。そのうえで、閉鎖中に職員を恒久的に解雇する今回の手法は、従来の慣行からの逸脱だと伝えています。
上院の対立と「約7年ぶり」の政府閉鎖
一方、議会の対立は依然として解けていません。現地時間の木曜日には、米上院で新たな暫定予算案が採決されましたが、民主党案・共和党案ともに否決され、合意には至りませんでした。民主党は医療保険の給付拡充を予算案に盛り込むことを求め、共和党は追加条件を付けない「クリーン」な短期予算の先行成立を主張し、双方の溝は埋まっていません。
米連邦政府は2025年10月1日に一部閉鎖に入りました。米メディアによれば、政府閉鎖は約7年ぶりの事態です。12月上旬の現在も閉鎖は続いており、必須業務に分類されない何十万人もの職員が無給の一時帰休を強いられている一方で、必須業務を担う職員は給与の支払いが止まったまま勤務を続けています。
過去の政府閉鎖では、再開後に一時帰休となった職員へ遡って給与が支払われてきましたが、今回のように閉鎖を機に恒久的な解雇を進めるやり方が広がれば、公務員の職の安定性や公共サービスの継続性に対する信頼が揺らぎかねません。
日本からどう見るか──「政治の行き詰まり」が突きつける問い
保健医療と航空という二つの分野は、国境を越えて人と情報が行き交う現代社会の基盤です。米国のCDCは世界的な感染症情報の要であり、米国の航空ネットワークは日本を含む各国との往来を支える重要なハブでもあります。
そうした基盤に直結する人員や機能が、予算をめぐる政治的な駆け引きの中で削られていく状況は、米国の問題にとどまらず、「民主主義のもとで、どこまで政治的対立をエスカレートさせてよいのか」という問いを投げかけます。
政府閉鎖が続く米国では今、生活を支える「不可欠なサービス」と、政治的な優先順位付けとのバランスが改めて問われています。日本に暮らす私たちにとっても、行政の継続性や公的サービスをどう守るのかを考えるきっかけになりそうです。
※本記事は、中国メディアグループおよび米メディアの報道をもとに構成しています。
Reference(s):
Health, flight services hit as U.S. government shutdown drags on
cgtn.com








