トランプ氏「ガザの戦争は終わった」 人質・囚人交換と和平サミット
2025年12月8日、ガザ情勢をめぐり「戦争は終わった」と語るアメリカのドナルド・トランプ大統領の発言と、大規模な人質・囚人交換、エジプトでの和平サミット開催が重なり、中東の行方に世界の視線が集まっています。
トランプ大統領「ガザの戦争は終わった」と宣言
トランプ大統領は7日(日)、イスラエルとエジプトへの和平外交のため出発する機内で、「ガザでは戦争は終わった("war is over in Gaza")」と述べました。今後の見通しを問われると、「情勢は正常化に向かうと思う("I think it's going to normalize.")」と楽観的な見方を示しています。
トランプ氏はイスラエル到着後、まずは2023年10月7日の越境攻撃でハマスに拉致された人質の家族と面会し、その後、エルサレムのイスラエル議会で演説する予定です。ガザ戦争の終結と中東和平構想を前面に掲げる今回の訪問は、両地域の人々に直接メッセージを届ける狙いがあります。
2年ぶりの人質解放と約2,000人のパレスチナ人釈放
こうした中、ハマスに拘束されているイスラエル人の人質が、拉致から2年となる8日(月)にも解放される見通しです。見返りとしてイスラエル側は、250人のパレスチナ人受刑者と1,700人を超える被拘束者を釈放するとされています。
最近合意された停戦協定では、ハマスがガザで拘束している生存中の人質20人と、死亡した人質28人の遺体を引き渡すことになっています。その代わりに、イスラエルはおよそ2,000人のパレスチナ人拘束者を解放する計画です。
しかし、どの囚人を解放するかをめぐって、イスラエルとハマスの間では神経戦が続いています。ハマス側に近い筋によると、イスラエルは一度合意したとされるリストから後退し、ファタハの指導者マルワン・バルグーティ氏や、パレスチナ解放人民戦線(PFLP)を率いるアフマド・サアダト氏といった高い知名度を持つ人物の釈放を渋っているといいます。
ハマス側は、こうした著名な政治囚を含めるよう強く主張している一方、イスラエル側は女性や未成年、比較的短い刑期の囚人を優先して釈放したい考えだとされています。最終的なリストをめぐる協議は現在も続いており、ハマスの囚人問題担当部署は「交渉は継続中だ」としています。
エジプトで20か国以上が集う和平サミット
トランプ氏はイスラエル訪問後、エジプトのシャルム・エル・シェイクへ移動し、アブドルファッターフ・シーシ大統領とともに20か国以上の首脳が集まるサミットを共同議長として主催する予定です。この会合は、ガザ戦争の終結と中東全体の和平をめざすトランプ氏の「20項目の計画」を後押しする場と位置づけられています。
パレスチナ側からは、パレスチナ自治政府のマフムード・アッバス議長が出席する見通しです。一方で、イスラエル政府の当局者はサミットには参加しないとしています。今後の進展は、この会合で各国がどこまで具体的な「約束」を示せるかにかかっている、とも指摘されています。
ただし、トランプ氏の計画の中核部分――戦闘終結後のガザ統治の枠組みや、イスラエルの武装解除要求を拒んでいるハマスの「最終的な扱い」――については、なお合意が見えていません。
ガザで進む国連主導の人道支援拡大
軍事・外交の動きと並行して、ガザ地区では国連による人道支援の拡大も進みつつあります。国連人道問題調整事務所(OCHA)によると、きのう7日(日)、3月以来初めて調理用ガスがガザに搬入されました。
国連とパートナー団体は、ガザ南部と北部の両方で数十万食規模の温かい食事とパンのセットを住民に配布したとしています。燃料や食料の不足が続いてきたガザにとって、日常を少しでも取り戻すための重要な一歩となりそうです。
「戦争は終わった」発言と、なお遠い持続的な和平
人質と囚人の交換、停戦合意、国連の人道支援拡大――こうした動きは、ガザとその周辺の人々にとって確かに希望の光です。一方で、「持続的な和平」と呼べる状況には、まだ距離があることもはっきりしています。
イスラエルのイスラエル・カッツ国防相は、人質が解放されたあともガザでの軍事作戦を続け、ハマスの地下トンネル網を破壊していく考えを強調しました。「ガザ地区がもはやイスラエルとその市民に脅威を与えないような安全保障環境をつくるため、軍は行動を継続する」と述べています。
ベンヤミン・ネタニヤフ首相もテレビ演説で、「われわれの軍事作戦はまだ終わっていない」とし、「イスラエルの前には非常に大きな安全保障上の課題が残されている」と警告しました。「敵の一部は再結集を試みている」とも述べ、今後も強い姿勢で臨む考えを示しています。
一方、ハマスが管轄するガザの内務省は、イスラエル軍が撤収した地域に治安部隊を展開すると表明しました。ただし、武装した戦闘員がどの程度の規模で街中に戻ってくるかは不透明で、イスラエル側は目立つ形での武装勢力の復帰を挑発と受け止める可能性があります。停戦の維持は、こうした「地上の現実」をどう管理するかにも左右されます。
これからのガザ情勢で注目したいポイント
トランプ大統領の「ガザの戦争は終わった」という宣言は、和平への強い意志を示すメッセージである一方で、現場では依然として不確実性が高い状況が続いています。今後、情勢を見ていくうえで、次の点に注目する必要があります。
- 人質20人と28人の遺体引き渡し、約2,000人のパレスチナ人釈放が合意どおりに実施されるか
- 最終的な釈放リストに、バルグーティ氏やサアダト氏といった著名な囚人が含まれるかどうか
- シャルム・エル・シェイクでのサミットで、トランプ氏の和平計画にどこまで具体的な国際的コミットメントが示されるか
- 戦闘後のガザ統治をめぐる枠組みづくりと、ハマスの扱いについてどのような道筋が議論されるか
- 国連による人道支援拡大が続き、ガザの人々の生活改善につながっていくか
ガザ戦争をめぐるニュースは、軍事・外交・人道という複数のレイヤーが複雑に絡み合っています。表面的な「停戦」や「交換」のニュースだけでなく、その裏側でどのような条件や思惑が動いているのかを意識することが、これからの中東を読み解くカギになりそうです。
Reference(s):
Trump says 'war is over' in Gaza as hostage-prisoner swap nears
cgtn.com








