イスラエル、ラファ検問所再開を拒否 人質遺体巡り停戦に不安
イスラエルがガザ南部のラファ検問所を当面再開しない方針を示し、人質の遺体引き渡しを巡るイスラエルとハマスの対立が、米国仲介の停戦合意を揺るがしつつあります。
ラファ検問所、再開目前から一転「無期限閉鎖」へ
2025年12月上旬の土曜日、イスラエルのネタニヤフ首相は、ガザとエジプトを結ぶラファ検問所を当面閉鎖したままにすると表明しました。再開の条件として、ハマスが拘束中に死亡した人質の遺体を引き渡すことを挙げています。
ラファ検問所は、ガザ住民が出入りするための主要な玄関口とされ、2024年5月以降ほぼ閉鎖状態が続いてきました。在エジプト・パレスチナ大使館は一時、今度の月曜日からガザへの入境が再開されると発表していましたが、その直後にイスラエル側が否定する形となりました。
イスラム組織ハマスは同じ土曜日の夜、今回の決定は停戦合意に対する明白な違反であり、仲介役や保証国に対してネタニヤフ首相が行った約束の反故だと非難し、強く反発しています。
さらにハマスは、ラファ検問所の閉鎖が続けば、瓦礫の下に残された人質の遺体を捜索・収容するために必要な機材の搬入が妨げられ、遺体の特定と引き渡しが遅れると主張しました。
停戦合意の中身:人質解放と遺体・遺骨の交換
現在の停戦は、イスラエルとハマスの間で先週合意された、人質解放と遺体の交換を柱とする枠組みに基づいています。この合意は、米国のトランプ大統領が打ち出した紛争終結に向けた20項目の計画の一部として仲介されたものです。
合意の一環として、ハマスは2年間拘束していた生存中のイスラエル人質20人全員を解放しました。その見返りとして、イスラエルは国内の刑務所などに収容していたパレスチナ人の被拘束者や受刑者、ほぼ2000人を釈放しています。
さらに合意では、死亡したイスラエル人質の遺体の返還と引き換えに、イスラエルがパレスチナ武装勢力の遺体360体を返還することも取り決められています。
イスラエル側によると、土曜日の夜までに新たに2体の人質の遺体を受け取り、これで予定されている28体のうち12体の引き渡しが完了したとしています。一方でイスラエルは、ハマスが遺体の返還に時間をかけすぎていると不満を示しています。
ハマスの反論:瓦礫の中での捜索と「名簿の食い違い」
これに対しハマスは、ガザ地区の広範囲に及ぶ破壊の中で遺体を捜索するには時間がかかると説明しています。瓦礫の下に残された遺体の場所を特定し、収容し、身元を確認するには専門的な機材と人員が必要であり、その搬入をラファ検問所の閉鎖が妨げていると強調しました。
またハマスは、イスラエル軍がパレスチナ側に返還している遺体についても「操作」が行われていると批判しています。イスラエルから返された遺体の名簿と、パレスチナ側が返還を求めている名簿が一致していないとし、この点でもイスラエル側の姿勢を問題視しています。
揺らぐ停戦合意と私たちが見るべきポイント
遺体の引き渡しを巡る今回の対立は、停戦合意の脆さを改めて浮き彫りにしました。ラファ検問所の閉鎖問題は、トランプ大統領の20項目計画に含まれる他の難題と並び、合意そのものを揺るがしかねない火種となっています。
今回のニュースを読み解くための主なポイントは次の通りです。
- ラファ検問所はガザの主要な出入口とされ、2024年5月以降ほぼ閉鎖が続いています。
- 停戦合意は、人質20人の解放と約2000人のパレスチナ人被拘束者の釈放、さらに遺体360体の相互返還を含む複雑なパッケージです。
- イスラエルは「ハマスが遺体を引き渡すペースが遅い」と批判し、ハマスは「瓦礫の中での捜索には時間がかかり、イスラエル側も返還名簿を操作している」と反論しています。
- ラファ検問所の再開が、人質の遺体捜索と引き渡し、そして停戦合意全体の行方を左右する重要な節目になっています。
紛争の行方だけでなく、検問所の一つ一つの判断が、人質の遺体の帰還や当事者の信頼関係にどのような影響を与えるのか。今後の交渉と現場の動きを、引き続き丁寧に追っていく必要がありそうです。
Reference(s):
Israel keeps Rafah closed, blaming Hamas for body handover delays
cgtn.com








