ルーヴル美術館の宝飾品盗難、観光客の動画が残した「最後の輝き」 video poster
フランス・パリのルーヴル美術館で2024年10月に起きた宝飾品盗難事件をめぐり、観光客が同年に撮影していた動画が、盗まれた皇后の王冠やティアラの「最後の姿」を鮮明に映していたことが分かりました。世界有数の美術館で起きた事件は、いま改めて美術館の安全対策に注目を集めています。
観光客のスマホが捉えた「最後の輝き」
報道によると、この動画は2024年にルーヴル美術館を訪れた観光客が撮影したもので、ガラスケース越しに展示されていた皇帝一家ゆかりの宝飾品を、間近から映し出していました。映像には、ガラスの下でまばゆく輝く宝石の細部までが収められていたとされます。
その後、これらの宝飾品の一部が盗難被害に遭ったことで、この動画は「盗まれる前の姿」を記録した貴重な映像として注目されています。スマートフォンで何気なく撮影した一枚や一本の動画が、事件を理解するうえでの手がかりになりうる時代であることを、改めて示した形です。
2024年10月、ルーヴル美術館で何が起きたのか
盗難事件が発生したのは、2024年10月19日午前9時30分ごろのことでした(いずれも現地時間)。世界的に知られるルーヴル美術館は一時閉館を余儀なくされ、多くの来館者が影響を受けました。
盗まれた、または持ち出されたとされるのは、19世紀フランス皇帝ナポレオン3世と関わりの深い人物らの宝飾品です。
- ウジェニー皇后の帝冠(美術館外で落とされ、その後回収されたと報じられています)
- ウジェニー皇后のティアラ
- ウジェニー皇后の聖遺物ブローチ
- マリー・アメリー王妃とオルタンス王妃のコレクションに属するサファイアのティアラ
フランスのロラン・ニュネズ内務大臣によると、犯行には4人が関与したとみられ、犯人らは当時逃走中で、行方を追う捜索が進められていると説明していました。
浮かび上がる美術館の安全対策への不安
今回のように、歴史的価値の高い宝飾品が狙われた事件は、世界の美術館や博物館が直面するリスクを改めて浮き彫りにしました。展示物を来館者のすぐ近くで見せることと、厳重な警備を行うことをどのように両立させるのかは、各館共通の課題です。
ルーヴル美術館は世界中から観光客が集まる場所であり、その安全対策は国際的な関心事でもあります。今回の事件をきっかけに、展示ケースや監視カメラの配置、開館時間帯の警備体制など、運営全般の見直しを求める声が高まったとみることもできるでしょう。
デジタル時代の「証拠」としての観光動画
観光客が撮影した動画や写真は、本来は旅の記録として個人的に楽しむためのものです。しかし、事件や事故が起きたとき、それらが当時の状況を伝える重要な手がかりとなるケースが増えています。
今回のルーヴル美術館の宝飾品盗難をめぐる観光客の動画も、少なくとも次のような点で意味を持ちうると考えられます。
- 盗難前の展示品の状態や配置を、詳細に記録している可能性がある
- 展示ケースや周辺の様子を通じて、当時の警備態勢を間接的に振り返る材料になりうる
- 事件をきっかけに、文化財を守ることの重要性を広く伝えるきっかけとなる
もちろん、来館者の撮影・投稿には、他の来館者のプライバシーや著作権への配慮も欠かせません。それでも、日常的にスマートフォンを手にする私たち一人ひとりが、思いもよらない形で「歴史の目撃者」になりうる時代に生きていることは確かです。
2024年10月のルーヴル美術館での盗難事件は、貴重な宝飾品が失われたという悲しい出来事であると同時に、美術館の安全とデジタル時代の市民社会の役割について、私たちに静かな問いを投げかけ続けています。
Reference(s):
cgtn.com








