米特使がイスラエル入り ガザ停戦と支援計画を確認へ
週末の空爆で揺らいだガザ停戦を立て直すため、米国の中東特使が8日、イスラエルに到着しました。人道支援の行方と停戦維持の行方が、国際ニュースとして改めて注目されています。
米特使がイスラエル入り ガザ計画の進捗を確認
AFP通信によると、ドナルド・トランプ米大統領の特使スティーブ・ウィトコフ氏と、大統領上級顧問で娘婿のジャレッド・クシュナー氏が8日(月)、イスラエルに到着しました。両氏は、ガザ地区の将来像を示した「ガザ計画」と停戦合意の履行状況を確認するための協議に臨む見通しです。
今回の訪問は、週末に起きた暴力のエスカレーションで、辛うじて成立した停戦合意が揺らぎかねない状況の中で行われています。
国境検問所の一時閉鎖とイスラエル軍の空爆
イスラエル南部とガザを結ぶケレム・シャローム検問所は、日曜にイスラエル兵2人が殺害された事件を受けて一時閉鎖されました。その後、イスラエル側の治安当局者と人道支援関係者によると、8日には支援物資搬入のため再び開放されたということです。
イスラエル軍は、この攻撃に対する報復としてガザ地区各地で数十回に及ぶ空爆を実施し、イスラム組織ハマスの標的を狙ったと説明しています。同軍は、ハマスが停戦合意に対する「明白な違反」を犯したと非難しました。
死者45人と報告 双方は停戦維持を強調
ガザ地区でハマスの統治下にある民間防衛当局は、日曜日だけで少なくとも45人が空爆で死亡したと発表しました。ガザの4つの病院も、この死亡者数をAFPに確認したとされています。一方で、イスラエル軍は民間人被害の報告について「確認中」としています。
イスラエル軍は、致命的な攻撃への空爆実施後、日曜遅くに「停戦の執行を再開した」と述べる一方、今後の違反には「断固とした対応」を取ると強調しました。
ハマス側は攻撃への関与を否定し、関係者はイスラエルが「戦闘再開の口実を作り出している」と非難しています。それでもイスラエルとハマスの双方は、停戦合意自体へのコミットメントを改めて表明しています。
トランプ大統領「ハマスとは非常に平和的な状態に」
トランプ大統領はワシントンで記者団に対し、「ハマスとの状況を非常に平和なものにしたい。厳格に、しかし適切に対処していく」と述べ、停戦合意は依然として有効だとの認識を示しました。同氏は、今回の停戦合意の仲介にも深く関与してきました。
米国としては、停戦を維持しつつ、ガザの安定と再建に向けた枠組みを前進させることが狙いです。ウィトコフ氏とクシュナー氏の訪問は、その具体的な工程表を確認し、イスラエル側の対応を促す狙いがあるとみられます。
2年以上の戦闘を止めた停戦 実行段階で早くも試練
今回の停戦合意は10月10日に発効し、イスラエルとハマスの間で2年以上続いた戦闘を止める役割を果たしました。合意には、人質と被拘束者(囚人)の交換に向けた枠組みや、ガザの将来像についての野心的なロードマップが含まれています。
しかし、その実行をめぐっては早くも試練に直面しています。パレスチナ側の証言によると、イスラエル軍が依然として掌握しているガザ南部ラファ近郊では衝突が発生し、一部地域では「戦争が再開したかのような」状況だといいます。
ガザ中央部アル・ブレイジ難民キャンプ出身のアブドラ・アブ・ハサニンさん(29)は、イスラエル軍の空爆現場に駆けつけた際の様子を次のように振り返っています。「合意が続くことを願っていましたが、占領は何も尊重しません。合意も、何も。現場の光景は言葉にできないほどで、再び血があふれていました」。
人道支援と情報制限 見えにくい現場
ガザへの支援物資の多くは、ケレム・シャロームなどの検問所を通じて搬入されます。検問所の一時閉鎖は、食料や医薬品、燃料といった物資の流れをすぐに細らせるため、人道状況への影響が懸念されています。
一方で、ガザ地区では報道規制や一部地域への立ち入りの難しさから、現地の被害状況を第三者が独自に検証することは困難な状態が続いています。今回の死傷者数も、ハマス側の民間防衛当局やガザの病院の発表、イスラエル軍の説明に基づくものであり、数字の全体像がどこまで正確かは判然としません。
これから数日間の焦点
停戦合意とガザ計画をめぐる今後数日間の主なポイントは、次のような点になりそうです。
- ガザ地区での衝突が再燃せず、停戦が維持されるかどうか
- ケレム・シャローム検問所を通じた人道支援物資の搬入が安定的に続くか
- 人質と被拘束者の交換に向けた協議が実務レベルで前進するか
- 米国の仲介努力が、イスラエルとハマス双方の信頼をどこまでつなぎ止められるか
停戦は成立させること以上に、維持し続けることが難しいと言われます。今回の一連の動きは、その現実を改めて突きつけています。ガザの人びとの生活が本当の意味で落ち着きを取り戻せるのか、そして合意された「ガザの将来像」が机上の空論に終わらないのか。国際社会は、その行方を注視しています。
Reference(s):
cgtn.com








