米政府閉鎖が核兵器管理に直撃 NNSAで1,400人が無給休暇
米政府閉鎖が核兵器管理にも波及
今年10月20日時点で、アメリカで続いていた政府閉鎖(シャットダウン)が20日目に達し、核兵器の安全管理を担う米国家核安全保障局(NNSA)の職員に大規模な無給休暇が広がりました。政府の政治的な対立が、核兵器という最も重い安全保障分野にまで影響を及ぼし始めた形です。
NNSAとは何か:米核兵器を支える専門機関
今回対象となったNNSAは、アメリカの核兵器の設計、製造、整備、保全を担うエネルギー省所属の機関で、約6万人の契約業者を監督しています。国際安全保障の観点から極めて重要な役割を持つ組織です。
グローバルな安全保障研究機関「原子力科学者会報」によると、アメリカは現在5,177発の核弾頭を保有し、そのうち約1,770発が配備されているとされています。こうした核戦力の維持・管理を支えているのがNNSAです。
約1,400人が無給休暇に、約400人は最低限の業務継続
政府閉鎖が長期化する中で、NNSAの連邦職員およそ1,400人が、無給の一時帰休(フェロー)を命じられることになりました。これはエネルギー省の報道担当者が明らかにしたもので、「民主党による閉鎖のため、約1,400人のNNSA職員が10月20日付で休職となり、約400人が財産の保護と人命の安全を守るために勤務を続ける」と述べています。
約400人の残留職員は、核施設の物理的な安全確保や、緊急時に必要な最低限の業務を担うとされていますが、人員が大きく削られることで、通常時の点検や長期的な維持管理には影響が出る可能性があります。
核兵器組立施設にも打撃:テキサスとテネシー
エネルギー省は詳細なコメントを控えていますが、米CNNは、この無給休暇の波が、テキサス州のパンテックスやテネシー州のY-12といった核兵器の組立や関連作業を行う拠点を直撃すると報じました。これらの施設は、老朽化した核弾頭の解体や保守、新たな部品の製造などを担っており、ここでの人員削減は、アメリカの核兵器体系全体のメンテナンスに直結します。
政府閉鎖20日目で「史上最長」の全面停止に
政府閉鎖は10月20日時点で20日目に入り、「全面的な政府閉鎖としては過去最長、部分的な停止を含めても3番目の長さ」に達していました。議会では、政府機能を再開するための採決が繰り返し行われたものの、この時点ではいずれも不成立に終わっています。
トランプ大統領は圧力を強化、与野党の溝は深く
ドナルド・トランプ米大統領は、政府閉鎖をめぐり民主党に対する圧力を強め、「民主党によるシャットダウンだ」と非難を繰り返してきました。ホワイトハウスでの発言では、「民主党がはるかにまともな対応をすることを望んでいる。彼らもそう感じ始めていると聞いている」と述べ、野党側が譲歩すべきだとの姿勢を崩していません。
さらにトランプ氏は、公共サービスの削減や大規模な解雇の可能性を示唆するなど、「より強い措置」にまで言及し、民主党に政府再開への協力を迫っています。
ホワイトハウス国家経済会議(NEC)のケビン・ハセット委員長も、米CNBCの番組で「政府閉鎖は今週中には終わるだろう」との見通しを示しつつ、長期化した場合には民主党を交渉の席に着かせるための「より強い手段」を取る可能性に言及しました。
核の安全と民主主義:政治対立のコストをどう見るか
今回の政府閉鎖は、アメリカの核兵器管理という国家安全保障の中枢分野にまで影響を与えました。核弾頭の保守や安全管理は、目に見えにくいながらも、日常的な監視と専門人材の継続的な関与が不可欠な領域です。そこでの人員削減や業務停止は、短期的には大きな事故につながらなくとも、中長期的なリスクを高めかねません。
一方で、政府閉鎖はアメリカの民主主義の仕組みの中で起きる政治的な駆け引きの一つでもあります。予算や政策をめぐる対立が行き過ぎたとき、そのコストを誰が負うのか──今回のNNSA職員の無給休暇問題は、その問いをあらためて投げかけています。
日本の読者が押さえておきたいポイント
- アメリカは5,177発の核弾頭を保有し、その維持・管理を行うNNSAで約1,400人が無給休暇となった。
- 政府閉鎖が20日間続き、全面的な閉鎖としては史上最長の長さに達していた。
- トランプ大統領と議会民主党の対立が解けない中、安全保障分野への影響が現実のものとなりつつある。
経済や政治の対立が、安全保障や科学技術など他の重要分野にどう波及するのか。この問いは、アメリカだけでなく、日本を含む多くの国々にとっても考えるべきテーマになっています。
Reference(s):
cgtn.com








