イラン、IAEAとの協力合意は「無効」と表明 仏英独の制裁復活に反発
イランと国際原子力機関(IAEA)との関係が、2025年末にかけて一段と不透明になっています。イランの高官は8日、今年9月にカイロで結ばれたIAEAとの協力合意について、「もはや無効になった」と表明しました。背景には、フランス・イギリス・ドイツの3カ国が、イランへの国連制裁を復活させる「スナップバック」メカニズムを発動したことがあります。
カイロでの協力合意は「無効」 イラン高官が明言
発言したのは、イラン最高国家安全保障委員会(SNSC)の書記を務めるアリ・ラリジャニ氏です。ラリジャニ氏は8日、テヘランでイラクのカーシム・アルアラジ氏と共同記者会見を行い、IAEAとの今後の関係について説明しました。
ラリジャニ氏によると、今年9月にカイロでIAEAと結んだ協力合意は、仏英独が制裁復活の「スナップバック」を発動した時点で「無効になった」といいます。
イラン学生通信(ISNA)によれば、ラリジャニ氏は「別の結果を望むのであれば、スナップバックの実施は避けるべきだった」と述べ、3カ国の対応を強く批判しました。
仏英独が発動した「スナップバック」とは
今回ラリジャニ氏が問題視している「スナップバック」メカニズムとは、国連による対イラン制裁を再び有効にする仕組みを指します。フランス、イギリス、ドイツの3カ国は、このメカニズムを用いて、テヘランに対する国連制裁を再び適用させました。
イラン側は、この決定がIAEAとの協力の前提を崩したとみているとみられます。ラリジャニ氏の発言は、制裁復活と核監視の協力が、イランにとって一体の政治問題になっていることを示しています。
IAEAとの協力は6月に停止 理由は「攻撃への非難欠如」
イランは今年6月、議会で可決された法律に基づき、IAEAとの協力をすでに停止していました。イラン側はその理由として、
- IAEAがイスラエルおよびアメリカによるイランの核施設への攻撃を非難しなかったこと
- 核施設や科学者の安全への懸念が高まっていること
などを挙げています。
こうした不満が蓄積するなかでの制裁復活となり、イラン側の不信感がさらに強まった形です。
今後の協力再開はSNSCが一括判断へ
ラリジャニ氏はまた、IAEAから今後、協力再開に向けた新たな提案が出された場合について、「すべて最高国家安全保障委員会(SNSC)が精査する必要がある」と述べました。
これは、技術的な協議だけでなく、政治・安全保障面を含めた国家レベルの判断が不可欠だという立場を強調したものです。実務レベルでの柔軟な調整よりも、国家安全保障機関による一括管理を優先する姿勢が鮮明になっています。
IAEA事務局長の発言を一蹴 「報告はもはや影響なし」
ラリジャニ氏はさらに、IAEAのラファエル・グロッシ事務局長が最近、イランの60%濃縮ウランの保有量に言及したことにも触れました。これについて同氏は、グロッシ事務局長の報告は「もはや何の影響力も持たない」と述べ、その評価を退けました。
IAEAの技術的な報告や評価が、イラン側にとって政治的正当性を欠いているという認識がにじんでいます。
核監視体制の不透明感と国際社会への含意
今回の発言は、イランとIAEAとの協力枠組みがいっそう揺らいでいることを示しています。特に、
- カイロでの協力合意が「無効」とされたこと
- IAEAとの協力停止の継続
- 制裁復活をめぐるイランと欧州主要国との対立
といった要素が重なり、イランの核活動を国際的に監視・検証するプロセスが見通しにくくなっています。
核問題をめぐる緊張は、エネルギー市場や地域の安全保障環境にも影響しうるテーマです。イランとIAEA、そして欧州各国や周辺国が今後どのような対話の糸口を見いだすのか、注視が必要だといえるでしょう。
Reference(s):
cgtn.com








