フランス社会党がルコルニュ政権に不信任警告 2026年予算巡り対立激化
2025年秋、フランス政治の中心で「誰がどこまで負担するのか」を巡る攻防が激しくなりました。社会党が億万長者への増税を条件に、ルコルニュ政権への不信任をちらつかせたためです。
社会党「月曜までに譲歩がなければ終わり」
フランスの社会党は、2026年予算案の協議を巡り、自らの条件が受け入れられなければ政権を倒す構えを示しました。党首のオリビエ・フォール氏はニュース専門局BFMの番組で、月曜までに政府側の姿勢に変化がなければ、翌週早々にも不信任案を提出すると警告しました。
フォール氏は、これまで首相に対する不信任に踏み切らないよう一定の配慮をしてきたと説明しつつも、現時点では妥協の意思が見えないと不満を示しました。
分断された議会、少数政権を揺さぶる数の力
背景には、フランス国民議会の「ねじれ」があります。議席が細かく分かれるなか、セバスチャン・ルコルニュ首相率いる政権は、少数与党の弱い立場にあります。
社会党は、極左勢力や極右勢力と連携すれば内閣不信任案を可決できる「キャスティングボート」を握っているとされます。両陣営はすでに首相を退陣させたい意向を示しており、社会党の出方が政権の命運を左右する構図でした。
ルコルニュ首相はこれまでに、年金制度改革の撤回を約束することで社会党の協力を取り付けてきました。しかし、2026年予算の歳入・税制部分の審議が国民議会で始まるなか、社会党側はさらなる譲歩を引き出せると見ているようです。
焦点は億万長者課税 「庶民ばかりに犠牲強いられない」
社会党が強く求めているのは、億万長者など超富裕層への新たな税負担です。同党は以前から、巨額の資産を持つ人々に特別の税を課す案を主張してきましたが、政権側は導入に慎重な姿勢を崩していません。
フォール氏は現在の予算案について、高齢者や若者、子育て世帯に過度な負担を集中させていると批判しました。そのうえで、労働者や中間層ばかりが犠牲を払う一方で、最も裕福な層が十分に貢献していない状況は容認できないと訴えました。
社会党は、追加の税収として150億〜200億ユーロ規模を目標にすべきだとし、その財源を富裕層への課税強化で確保するよう求めています。
景気減速と格下げ懸念 市場も政治の行方を注視
こうした政治対立は、フランス経済の先行き不安と重なっています。2025年10月に公表された指標では、フランスのビジネス活動が市場予想以上のペースで落ち込んだことが示されました。
さらに、格付け会社ムーディーズが同年秋のある金曜日にもフランス国債の格付けを判断するとみられており、市場には緊張感が漂っていました。これは、S&Pグローバルがその直前の週にフランスの格付けを引き下げたばかりだったためです。
ユーロ圏第2の経済規模を持つフランスで政治と財政の不透明感が高まれば、国債市場やユーロ相場、ひいては国際金融市場全体に波及する可能性があります。日本の投資家や企業にとっても、注視すべき動きと言えます。
最大の財政赤字をどう縮小するか
ルコルニュ首相には、ユーロ圏で最大とされるフランスの財政赤字を縮小するという難題が突きつけられています。首相は翌年度の予算で、300億ユーロ超の歳出削減や増収策を通じて、財政赤字を国内総生産比4.7パーセントまで抑え込む方針を示しました。
しかし、どこを削り、誰にどれだけ負担を求めるかを巡って、野党だけでなく与党内からも異論が噴出しています。社会党をはじめとする野党は、富裕層と大企業により多くの負担を求めるべきだと主張し、政府案と激しく対立しています。
予定された採決と今後への含意
当時、予算案のうち所得や税収に関わる部分については、11月4日に国民議会で採決を行い、その後は保守勢力が多数を占める元老院に送られる段取りとされていました。不信任案が提出されれば、その前後の政局に大きな影響を与える可能性がありました。
フランスの事例は、分断が深まる議会のもとで少数政権が財政再建と社会的公正のバランスをどう取るのかという、多くの国に共通するジレンマを映し出しています。富裕層課税と庶民の負担、財政規律と景気下支え。この難しい方程式に、各国の政治はどう向き合うのか。日本にとっても他人事ではないテーマです。
Reference(s):
France's Socialists threaten to oust government amid budget talks
cgtn.com








