国際ニュース:アメリカの大学危機 約100万人の留学生と550億ドルのゆくえ video poster
アメリカの大学が、留学生減少と政府による資金・ビザ政策の見直しという二重のプレッシャーに直面しています。国際ニュースとしての影響だけでなく、米国経済全体にも波紋が広がりつつあります。
約100万人の留学生が支える550億ドルと40万の雇用
米シンクタンク「カーネギー国際平和基金」がまとめた2024年の報告書によると、アメリカで学ぶ約100万人の留学生は、同年だけで米国経済にほぼ550億ドルをもたらしたとされています。
留学生が払う授業料や生活費は、大学キャンパス内外で約40万の雇用を支えています。高等教育分野の雇用全体の10分の1にあたるポストが、留学生の存在に結びついている計算です。
大学で働く教職員だけでなく、学生向けの飲食、住宅、交通など地域ビジネスにも、その支出は広く波及していると考えられます。
それでも続く歴史的な留学生減少
こうした経済的な恩恵が明らかになる一方で、アメリカの多くの大学では、海外からの留学生数が歴史的な落ち込みに直面しています。特に、留学生の授業料収入に依存してきた大学にとって、この減少は経営の根幹を揺るがしかねません。
国際ニュース専門チャンネルCGTNのエディズ・ティヤンサン記者は、ロサンゼルスからのリポートで、アメリカの大学関係者の間に広がる危機感を伝えています。キャンパスの国際色が薄れることへの懸念だけでなく、財政面での先行き不安の声も出ています。
背景にあるトランプ政権の政策変更
報告書によれば、こうした留学生減少は、トランプ政権による政策変更とタイミングを同じくしています。政権は大学への連邦資金を制限し、外国人の就労ビザの取得や更新にかかるコストを引き上げています。
連邦資金の制限は、研究費や奨学金など大学の財政に直接影響します。そこへ、留学生や卒業後にアメリカで働きたいと考える人々にとって、ビザ取得のハードルと費用負担が重くのしかかれば、「アメリカを留学先に選ぶかどうか」の判断にも影響を与えます。
アメリカの大学と世界の人材流動への意味
留学生は、米国経済にとっての重要な消費者・納税者であると同時に、将来の研究者や専門職人材の供給源でもあります。約40万の雇用を支えているという数字は、その存在が「教育の問題」にとどまらず、「雇用と経済の問題」でもあることを示しています。
もし留学生の減少がこのまま続けば、アメリカの大学は、財政の見直しのために授業料の引き上げやプログラムの縮小を検討せざるをえなくなる可能性があります。その影響は、国内外の学生、地域社会、そして米国経済全体に波及しかねません。
読者が考えたい三つの視点
- 大学財政への依存度:留学生の授業料に依存するビジネスモデルを、どのように転換していくべきか。
- ビザ政策と競争力:外国人の就労ビザのコストや条件が、アメリカの「留学先としての魅力」にどう影響するのか。
- 日本やアジアへの波及:アメリカの留学生受け入れが縮小したとき、日本やアジアの大学にとってはどんな機会と課題が生まれるのか。
2024年のデータが示すのは、「留学生はアメリカの高等教育と経済を支える重要な存在である一方、その土台は決して安定していない」という現実です。2025年現在、このテーマは、教育政策と国際競争力を考えるうえで、引き続き注目すべき論点だと言えます。
Reference(s):
cgtn.com








