トランプ米大統領が韓国訪問 李在明氏と会談し関税合意の早期妥結を強調
アジア歴訪の最終盤に入ったトランプ米大統領が、韓国(Republic of Korea:ROK)の李在明(イ・ジェミョン)大統領と会談し、停滞している米韓の関税交渉について「近く最終合意に達する」との見通しを示しました。2025年のAPEC首脳会議が開かれている慶州(キョンジュ)で行われた会談では、防衛費負担や原子力潜水艦向け核燃料の問題、朝鮮民主主義人民共和国(Democratic People's Republic of Korea:DPRK)情勢も議題となりました。
今回の米韓首脳会談のポイント
- トランプ米大統領が、未解決の関税・投資合意について「近く妥結」と強調
- 今年7月末に合意された3,500億ドル規模の投資枠組みは、詳細協議が停滞中
- 李在明大統領が防衛費増額を約束し、同盟負担を巡る米側の懸念に応える姿勢
- 韓国側が原潜用核燃料の再処理を改めて要請、二国間協定の見直しが焦点に
- DPRKとの関係について、トランプ大統領は韓国の「問題を正していく」と支援を表明
慶州APEC首脳会議での華やかな演出
トランプ大統領は、アジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議が開かれている慶州で、李在明大統領から豪華な歓迎を受けました。会談に先立ち、両首脳は会場となった国立博物館を訪れ、トランプ氏には金の王冠と、韓国で最高位の勲章とされる大勲章ムグンファ章が授与されました。
トランプ氏は勲章を受け取る際、その場で身に着けたいと冗談を交えて応じたとされ、続くワーキングランチでは「金色のデザート」も登場しました。これらの演出は、米韓関係の親密さをアピールすると同時に、関税交渉など難しい議題を控えるなかで、良好な雰囲気作りを意識したものとも受け取れます。
未解決の関税交渉 投資3,500億ドルを巡る攻防
今回の会談の背景には、今年7月末に米韓両国が発表した関税を巡る暫定合意があります。この枠組みでは、韓国側が今後数年間で米国に対し総額3,500億ドル規模の新規投資を行うことで、米国が検討していた最も厳しい追加関税を回避する、という構図が示されました。
しかし、その後の協議では、どの企業がどの分野に、どのタイミングで投資するのかといった具体的な「中身」を巡って交渉が難航しているとされています。米韓双方の当局者は、APECの期間中に劇的な進展があるとの期待には慎重で、今週中の最終合意はなお見通せない状況です。
こうしたなか、トランプ大統領はAPECの首脳向け演説で、米韓の新たな通商合意は「ごく近いうちに」まとまると強調しました。国内向けには成果をアピールしつつ、実務レベルでは細部の詰めが続くという構図が浮かび上がります。
防衛費負担と原潜用核燃料 同盟の「コスト」をどう分け合うか
ワーキングランチの場で、李在明大統領は防衛費の増額を約束し、同盟国の負担が不十分だとするトランプ氏の持論に配慮する姿勢を見せました。米軍駐留経費や装備調達を巡る議論は、近年の米韓関係の中で繰り返し浮上してきたテーマです。
さらに李氏は、原子力潜水艦に使用する核燃料の再処理を韓国に認めるよう、改めて米側に要請しました。現在、韓国は二国間の原子力協定によって、米国の同意なしに使用済み核燃料を再処理することを禁じられています。原潜保有を視野に入れた技術的・軍事的な自立をどこまで認めるかは、米国の拡大抑止(核を含む安全保障の傘)の在り方とも直結するデリケートな問題です。
トランプ政権としては、同盟国の防衛力強化と地域の軍拡リスクのバランスをどう取るかが問われます。韓国側の要望にどこまで応じるのかは、今後の交渉の重要な焦点となりそうです。
DPRK情勢と米韓協調 「問題を正す」と約束
会談では、朝鮮民主主義人民共和国(DPRK)への対応も主要な議題となりました。トランプ大統領は、韓国が抱えるDPRKとの関係上の問題について「正していく手助けをする」と述べ、米韓の緊密な連携を強調しました。
DPRKの核・ミサイル開発を巡っては、軍事的な緊張と対話の模索が繰り返されてきました。米韓が防衛費や原子力技術を巡る議論を進める一方で、DPRK情勢の安定化に向けた外交努力をどう維持するかは、東アジア全体の安全保障に直結する課題です。
日本と地域への意味合い 「通商」と「安全保障」が同じテーブルに
今回の米韓首脳会談は、通商交渉と安全保障の議題が同じテーブルに並ぶという、近年の国際関係の特徴を象徴しています。関税や投資の話し合いが、防衛費負担や原潜用核燃料、さらにはDPRKへの対応とセットで語られていることは、日本を含む地域の国々にとっても無関係ではありません。
日本にとって米韓関係は、サプライチェーンや半導体などの経済面だけでなく、朝鮮半島情勢に対する安全保障の枠組みにも影響を与えます。米韓の通商・防衛交渉がどのような形で落ち着くのかは、今後の地域秩序のあり方を考えるうえで重要な手がかりとなるでしょう。
慶州のAPEC首脳会議の場で交わされたやり取りは、華やかな演出の裏側で、米韓両国がどのような「取引」を模索しているのかを映し出しています。関税合意の具体像や原子力協定を巡る協議の行方から、2025年以降のアジア太平洋の通商と安全保障の地図が少しずつ見えてくるかもしれません。
Reference(s):
cgtn.com








