ガザ停戦に亀裂か ハマスが人質3人の遺体を引き渡し、双方が違反を非難
約2年にわたるガザでの戦闘の多くを止めてきた停戦が揺らぎつつあります。ハマスが人質3人の遺体を引き渡す一方で、ハマスとイスラエル双方が停戦違反を非難し合い、米国が仲介した停戦合意の履行に遅れが出ています。
ハマスが人質3人の遺体を引き渡し
現地時間7日(日)、イスラエル軍はガザ地区で、人質3人の遺体が収められた棺を受け取りました。棺は国際赤十字委員会を通じてイスラエル側に引き渡されたと、ベンヤミン・ネタニヤフ首相の事務所が明らかにしています。遺体は今後、イスラエル国内で正式な身元確認が行われる見通しです。
今回引き渡された遺体は、停戦条件の一部としてイスラエル側がガザからの返還を求めている11人の人質遺体のうち3人とみられます。イスラエルは、ハマス側の引き渡しが遅すぎると批判。一方のハマスは、困難な状況の中で可能な限り迅速に対応していると主張し、双方の認識のズレが表面化しています。
10月からの停戦、履行をめぐる摩擦
今回の人質遺体をめぐるやり取りは、10月10日から続く米国仲介の停戦合意の履行を遅らせている争点のひとつです。この停戦により、約2年続いた戦闘の多くはおおむね停止してきましたが、実務的な取り決めの段階で摩擦が続いています。
人質遺体の引き渡しは、停戦の信頼性を左右する象徴的なテーマになっています。合意事項が予定どおり進まなければ、停戦全体への疑念が高まりかねないためです。
ガザ北部で空爆 イスラエルは軍事的脅威と説明
一方で、現地では軍事的な緊張も続いています。7日(日)には、ガザ北部でイスラエルによる空爆があり、男性1人が死亡しました。イスラエル軍は、この空爆について、自軍部隊に脅威を与えていた武装勢力の一人を攻撃したものだと説明しています。
ネタニヤフ首相は閣議の冒頭での演説で、ガザ地区について次のように述べました。
- ガザでイスラエル軍が制圧している地域の中にも、なおハマスの拠点が残っている
- イスラエル軍はそれらを体系的に排除し続けている
停戦下であっても、現地での個別の軍事行動が続いていることがうかがえます。
イスラエルの掲げる「ガザの非武装化」
ネタニヤフ首相は、ガザ情勢に関するイスラエルの基本方針として、ハマスの武装解除とガザ地区の非武装化を掲げています。首相は、この目標について、ドナルド・トランプ米大統領と合意していると説明し、「一つの方法で達成できない場合は、別の方法で達成する」と強調しました。
さらに首相は、ガザに駐留するイスラエル軍部隊を守るための行動は続けると述べたうえで、作戦については米国の同盟国に通知はするものの「許可を求めることはない」と発言し、イスラエルの「最高の安全保障責任」を譲ることはないと強調しました。
停戦違反めぐり、ハマスとイスラエルが応酬
停戦の行方を不透明にしているもう一つの要因が、停戦違反をめぐる双方の非難です。ハマス側は、イスラエルによる停戦違反とみなす事例をまとめた一覧を公表しました。
ガザのハマス系当局の報道を統括するガザ政府メディアオフィスのイスマイル・サワブタ所長は、ハマス戦闘員が停戦に違反してイスラエル兵を攻撃したとの見方を否定しています。イスラエル側はハマスの違反を指摘し、ハマス側はイスラエルの行動を問題視するという構図で、停戦の解釈と運用をめぐる溝が深まっています。
揺れる停戦 今後の焦点は
今回の一連の動きは、ガザ停戦の行方にいくつかの重要な問いを投げかけています。
- 人質遺体の引き渡し:残る人質の遺体がどのようなペースで返還されるのかは、停戦合意への信頼を測る試金石になります。
- 停戦違反の線引き:どこまでが自衛的な軍事行動で、どこからが停戦違反なのか。双方が納得できるルールづくりが求められます。
- 住民の安全と軍の安全保障:イスラエル軍部隊の防護と、ガザの住民の安全をどう両立させるかも、今後の大きな課題です。
約2年に及ぶ戦闘を経てたどり着いた停戦は、いまも不安定な均衡の上に成り立っています。人質問題と停戦履行をめぐる駆け引きが、ガザの現地情勢と国際社会の外交努力にどのような影響を与えるのか、引き続き注視が必要です。
Reference(s):
Hamas returns bodies of three hostages as Gaza truce faces strain
cgtn.com








